その出会い、まさに青天の霹靂。
僕にとって絶対に忘れる事が出来ない日となった。
天空には暗雲が立ち込め、辺り一帯は闇が支配する。
不意に魔法陣が現れたのを確認すると女の子が中心に立っている。
少女の口から紡がれるは黒魔術。この世界の理から外れた異界の言葉が紡がれる。僕はただ彼女を黙って見ていることしか出来なかった。
突然、彼女が振り返って僕を正眼に捉える。そしてこう言った。
「一緒に堕天、しない?」
衝撃的だった。この時のために僕は生きてきたのだと真剣に思った。心を満たすのは安堵でも恐怖でもない。そんなものは突如現れた大海嘯が奪い去ってしまった。
圧倒的なまでの服従が完全に心を支配していた。常人ではまず到達出来ない神域に彼女は存在している。そこから彼女は堕ちようというのだ。喜んでお供したいと思う。
「善子、一生付いていくよ……」
「ヨハネ!」
おっと失言だった。彼女の名前は"ヨハネ"だった。
冥界より来たりし堕天使。いや善子という時代錯誤の名前も可愛いと思うのだが。「冗談はよしこさん」なんて言ったら怒られるだろうか。昭和真っ盛りの名前だから今時珍しくて強みになるのに。柳眉を逆立てた姿も見てみたいな。
僕が何故彼女を愛してしまったかというと圧倒的なまでの存在感に他ならない。他のキャラを大きく凌駕する独特の言葉遣いに所作、全部に虜にされてしまった。31歳のおっさんが年齢が倍違う16歳の少女に骨抜きにされるなどあってはならないことだが、本気で愛してしまったのだから仕方ない。中二病の影で普通の女子高生をしようと努力しているのも見逃してはならない。彼女はちゃんと空気の読める女性なのである。皆に合わせようと思っているが時折疼くと真なる闇が顕現してしまうのだ。そんな所も愛おしい。
僕は彼女のリトルデーモンとなり、どこまでも堕ちて行こうと思う。
「ヨハネ――堕天」
- 関連記事
-