
沙耶の唄 感想
↓
2003年
ニトロプラス
ジャンル:サスペンスホラー ADVもう沙耶の唄って今から10年近くも前なのか・・・
平々凡々な日々を送っていた匂坂郁紀の日常はある日を境に一変する
交通事故で生死を彷徨うほどの重症を負った郁紀は確実性においては完全に信頼出来ないが、現時点で最先端の技術を駆使した手術を受けた
手術は無事に成功し、郁紀は一命を取り留めた
そこまでは良かったものの、当の郁紀自身の脳内には明らかな異常が発生していた
"自分以外の全ての物"がこの世には到底あり得ないほどの異形に見えたのだ
例えば人はブヨブヨした肉塊で近づくのはおろか、視界に入れるのも憚られるほどのグロテスクっぷりだった
人以外の建造物や食物ですらとても食べる気など起こるはずもない奇怪なものに変形していた
触覚、嗅覚、味覚・・・およそ正常の人間が普通に持っているそれですら郁紀にとってみれば逸脱したものになっていた
もはや郁紀にとってこの世界は絶望以外の何物でもなかった
古くからの親友である3人、戸尾耕司、高畠青海、津久葉瑤との会話においてもまともに話せる状態ではない
とても人語を話しているようには聞こえてこないのだ
怪物特有のノイズの入り混じった吐き気を催すような異常な言語
たとえどれだけ親しい友人だとしてもこうまで変貌してしまっていては今まで通りに会話することに生理的嫌悪感を抱かずにはいられなかった
だがそんなこの世の終わりを連想させる世界で『ただひとつの例外』があった
"沙耶"という少女
病室で眠っている時に突如出会った少女
彼女だけは唯一、例外に漏れた存在だった
外見は華奢だが狂気に満ちたこの世界でただ一人"人間の形"をしていた
郁紀は沙耶に希望を見た、この少女がいればこの狂った世界でも生きていけるかもしれない・・・
沙耶の方も郁紀が自分の事を怖がらないのが嬉しいらしく次第に郁紀と密会する回数が増えていった
そうして退院の日が迫ってきて、我が家に戻るという段階で郁紀は沙耶に「一緒に来ないか?」と誘ってみる
駄目元だったが沙耶は快諾してくれた
沙耶と二人きりの生活が始まった
沙耶だけが郁紀の心の安らぐ在り処だったため段々と耽溺していってしまう
どっぷりと沙耶に甘えてしまっていた郁紀はもう沙耶さえいれば他のものはどうでもよくなっていた
それ故、事故に会う直前に瑤から告白されていたことすら上の空だった
郁紀以外の3人は郁紀が事故に遭う前と遭った後では態度が明らかに違っているのを感じており、郁紀に接するにあたっては各々気を使っていた
以前はもう少し気さくだった郁紀は今や親友ですらも素っ気なく扱うようになっており、3人も少し戸惑っている
引っ込み思案だった瑤はそれでも郁紀の事を想う気持ちは変わっておらず、勇気を出して郁紀に返事を聞いてみることにした
しかし郁紀の返事は冷酷且つ罵倒を含んだものだった
瑤はあまりのショックに涙を堪えながらその場を立ち去り、物陰で隠れてその様子を見守っていた耕司と青海は郁紀の酷薄さに怒りを感じた
耕司は泣いている瑤を慰めに行き、青海は友人をあそこまで貶める郁紀はさすがに叱責せねばなるまい、と郁紀邸に向かった
青海は郁紀の家に着き、扉を開けるなり強烈な異臭が漂ってきたので顔を顰めた
何かおかしいと感じながらも郁紀に会って話さなければならないという半ば使命感めいたものに駆られて室内をひとつずつ見回っていく
すると、天井からピチャピチャ液体のようなどろりとしたものが垂れてきているのに気付いて頭上を仰ぎ見る
そこに居たものに衝撃を受けて悲鳴を上げようとするが既に遅かったようで、それきり青海の意識は途絶えた
青海が居なくなった事を不審に思う瑤と耕司
耕司は青海が郁紀の家に向かったことを知っていたので郁紀に聞いてみる
だが郁紀の返事は「知らない」と素気無く返ってくるだけ
嘘を付いてるわけでもなさそうだった
郁紀が関与していないにせよ、郁紀の最近の様子はどうにも気掛かりであったため耕司は郁紀の行動を尾行しながら監視することにした
大学の講義が終わると郁紀は帰宅するかと思われたが自宅がある駅方面の電車に乗らず、反対路線の電車に乗った
何か怪しいと思った耕司は早速後を付ける
辺鄙な場所で降車した郁紀は目的地に向かって歩を進める
見失わないように後を付けると一件の家の中に入っていった
郁紀が出てくるまで辛抱強く待ち続けて出てきた後で耕司も中に入ってみる
人気は全然なく、まるで廃家だった
こんなところで一体何を探しているのか、と心底疑問に思った耕司が考えていた矢先突然背後から名前を呼ばれる
ぎょっとして振り返るといつの間にか郁紀が戻ってきていた
どうやら誰かに尾行されていることに気付いていたようだ
耕司は観念して郁紀に何を探しているか聞いてみた
郁紀は"奥涯雅彦"について調べていると案外呆気無く答えた
耕司に話すなり耕司の方でも何か手掛かりがあったら知らせて欲しいと言う郁紀
一方耕司は奥涯について何も知らなかったので郁紀が定期的に問診を受けているT医大の丹保凉子に相談してみることにした
凉子は奥涯について何か知っているようだったが秘匿にするつもりらしい
他人には漏らすつもりはないようだった
奥涯は元はこのT医大の医師だったがある不祥事を起こして隠居してしまった
郁紀が奥涯に執拗に拘る理由は沙耶の頼みだからであった
沙耶は奥涯を父親と呼んでずっと独自に探し回っていた
郁紀にとっては沙耶が人型に見えるだけでもとてつもない恩恵を受けていると思っているのでお礼に、と父親探しを手伝うことにしたのだった
沙耶の方でも自分なりに色々と捜索していたが、ある日沙耶はT医大に侵入して何故か郁紀のカルテを盗んできていた
どうしてそんなものが必要なのか、と疑問に思う郁紀
そこで沙耶は郁紀に2つの選択肢を提示する
・在りし日の郁紀に戻るか
・それともこのまま変わらぬ日々を続けていくか
郁紀はどちらかを選ばなければならなかった
END2≧END3>END1★END2元の日常に羨望を抱かないわけではない
それはもうどれだけ郁紀が望んでも手に入らなかったものだ
しかしその選択をしてしまうと沙耶とは金輪際会えないような気がした
沙耶がいれば生きる糧になる、郁紀にとって沙耶は総てなのだから
決意したのはいいが沙耶と生きていく上で大きな障害が山ほどあった
まずは世間の目だ
つい先程、どういうわけか錯乱して沙耶に襲いかかっていた鈴見氏に殺意を覚えてしまって肉切り包丁で斬殺してしまったのだ
時間が経てばいずれ鈴見一家を最近見かけなくなったと思った近所の人々が探りを入れてくるだろう
さらに障害はまだある
郁紀と縁のある人物は徹底的に排除しなければならない
いついかなる形で郁紀に接触してくるかわからない不穏分子は根絶しなければならない
差し当たって友人関係である、耕司と瑤だ
これら全てを駆逐してようやく郁紀と沙耶は真の安寧を得る事が出来るのだ
郁紀は奥涯の調査という名目で耕司を栃木の奥涯が所有している山奥の別荘まで連れ出した
表向きは奥涯について何か得られれば良い、と思っていたが同時に耕司の始末も考えていた
何しろ東京から100kmほど離れたここならば殺人を犯したとしても足が付きにくい
まさに好都合な場所だった
さらに耕司ときたら不用意にも涸れ井戸の縁にもたれ掛かっていたので隙を付いて押してやったらいとも簡単に落下していった
幸い、打ちどころが良かったため即死は免れたがどう足掻いてもその高さ故脱出する術はなく耕司は今や憎き敵となった郁紀にすら助けを請うた
そんな願いを聞き入れるはずもなく嘲笑いながら郁紀は去っていった
耕司の車を使って帰っても良かったのだが、それでは証拠が残ってしまうことにもあるので用心に用心を重ねて徒歩で帰ることにした
その頃、沙耶は沙耶でもう一方の仕事をしてくれていた
郁紀は瑤をどう始末するかずっと悩んでいたのだがやっとの思いで帰宅すると沙耶がニコニコ笑っているので何事かと思いきや、「見せたいものがある」と言い出したので二階へと向かう
部屋の片隅にはなんと、"人間の姿に見える"瑤が蹲って啜り泣きしていた
どういう原理なのかわからないが、まさか沙耶以外に他の人型を見るとは思ってもみなかった
しかし瑤は何故か人間の容姿をしている癖に手足が満足に動かせないらしく移動もままならない
でもようやく人間に見えた二人目なのだから郁紀は瑤もついでに家族として迎えるようにした
為す術もなく死へのカウントダウンが始まっていた耕司
意識も朦朧としている中、幻聴かもしれないが車の音が聞こえてくる
しばらくして井戸の中を覗きこむ人物がいた
意外な事に耕司を救出しに来たのは丹保涼子だった
耕司は井戸に落とされる前に携帯電話で凉子にも電話を掛けていたのだ
都合悪く出られなかった凉子は後ほどコールバックしたのだが反応が無いのを怪しいと見て、わざわざここまで駆け付けてくれたらしい
ザイルを井戸に引っ掛けて凉子も井戸の底に降りてくる
凉子は耕司そっちのけで井戸を調べ始めた
しばらくして井戸に隠された仕掛けを発見したようだ
カラクリを作動させると通路が出来上がり、その先には一つの扉があった
扉を開いて入ってみると一つの部屋だった
そこで目を引くのはあまりの異様さだった
家具や調度品、部屋全体の模様までが狂気の沙汰とした思えないほどの禍々しさを放っていた
直接見てしまうと精神汚染を起こす可能性があるかもしれないので凉子は耕司に控えさせた
この場所こそが間違いなく奥涯雅彦の隠れ部屋だった
ついでに安楽椅子に奥涯の死体が白骨化して座っていた
奥涯の残した資料を回収してから部屋を後にした
凉子は早速その資料について解読を進める
解読すれば解読するほど奥涯の残した資料のおぞましさが身を苛む
凉子はこれがただの空想でも妄想でもなく真実なのだと理解し、同時に沙耶を排除すべき対象として認識した
しかし耕司にとってはどちらかというと郁紀を殺す方が先決らしかった
凉子は郁紀と一緒にいる沙耶という少女の詳細がわかるまでは下手に動かない方が良いと制止したが耕司に凉子の忠告も無視して別荘から東京へと一足先に戻ることにした
耕司は優位に立つために郁紀に電話してやった
さすがの郁紀もまさか既に死人になっているであろう人物から電話が掛かってくるのは完全に予想外で驚いていた
胸がすく思いで優勢になった耕司
このまま全ての事を洗いざらい警察にぶち撒けてもいいのだが、耕司の内からメラメラと沸き上がる怒りがそれを許さなかった
郁紀だけはかつての友人だったこともありこの手で始末を付けなければならないと心に誓っていた
郁紀は住処を変えたらしく、より鬱蒼とした廃墟で待ち構えることにした
今度こそは耕司を仕留めなければならないと決意を固めて
一方何故これだけ耕司が強気に勝負に出られるかというと、別荘から前に凉子から拳銃を授かっていたからである
まがりなりにもトリガーを引けば"人間なら"当たり所によっては一発で仕留められる心強い武器だ
弾倉には4発しか入ってなかったがこれだけあれば郁紀を殺すのに十分事足りるだろう
日が落ちてから耕司は郁紀の指定した廃墟に向かった
屋内に入るつれて気を引き締める
相手はどこから襲ってくるかわからない
月の光が差して室内を照らしてくれるがそれだけでは心許ないので聴覚を総動員して音で判断するしかない
とある一室を通り過ぎた後、ふと自分の名前を呼ばれた気がした
声のする部屋に入ってみるがいまいち暗くてよく見えない
声の主は確かに耕司と自分の名前を呼んでいた
その呼び方は確かに瑤のものだった
それにしても何かがおかしい
果たして瑤はこんな機械的で雑音の混じった声をしていただろうか・・・
一人悩んでいる間にも瑤は相手が耕司だと分かると近づいてくる
しかしこのズルズルと何かを引き摺っている音が気にかかる
結局耕司は相手の方から姿を現すまで待つことにした
耕司が目視出来るようになるまで近づいてきた瑤の姿を見て怖気が走った
声そのものはかろうじて瑤のものと判別が付くが姿形は耕司が思い描いているものとは一線を画していた
どうみても異形の化け物にしか見えなかった
耕司は半狂乱になりながら瑤に向けて拳銃を撃ちまくる
瑤は「痛い」と応答するものの息絶える気配は全くない
手近にあった錆びた鉄パイプを握りしめ瑤の声をした怪物をこれでもかというほどに打擲する
異型が完全に沈黙するまで鉄パイプを振り下ろし続けた
そうすることでしか理性を保つ事が出来なかったのだ
変わり果てた瑤を片付けて息をつく間もなく、背後から殺気
手斧を持った郁紀がそこに立っていた
ついにこの時が来たとばかりにお互いに殺意を剥き出しにする
引導を渡す時がやってきた
ところが決着は呆気無く着きそうだった
郁紀は端的に言って喧嘩慣れしていなかった
武器もロクに使ったこともなければ喧嘩のイロハも知らないようだ
駆け引きを熟知している耕司は体格的にも上だったので有利だった
郁紀の肋骨に鉄パイプを思い切り叩きつけて膝を付かせる
止めの一撃を見舞おうとしたところで背後から急に足を取られる
尻餅をつくと同時に体に触手らしきものが纏わりついてくる
やがてそれは耕司の脊髄にまで達し圧力を掛けてポッキリと折れると耕司は絶命した
沙耶と二人で共闘し、ついに自分達の存在を知るものを亡き者にしたと喜ぶや否や沙耶の様子が急変する
熱病に浮かされたように苦しそうで今にも逝ってしまいそうだ
沙耶に言わせればこれは『兆し』らしくて郁紀と沙耶の新しい時代の到来なのだという
そして沙耶は背中から勢いよく花弁を出現させた
鱗粉が辺りに舞う中、沙耶は咲いていた――――
奥涯の別荘で一人翻訳に勤しんでいた凉子はついに解読を済ませた
だがこの時点で既にもう人間と呼べる動物は世界から絶滅しつつあった
それは凉子も例外ではなく、体組織が変質してきていた
人間でなくなったとしても酒の味くらいは分かるといいのだが
凉子は過ぎ行く時間に身を委ねた
END
★END3狡猾な郁紀相手に一人ではやはり荷が重かったのか耕司は凉子の力を借りることにした
凉子は入念に準備を済ませ先に東京へ帰っていた耕司と合流してから郁紀が待ち構える廃屋に向かう
協力者がいることを感付かれないために凉子は一旦トランクの中に隠れてもらうことにした
頃合いを見計らって耕司に加勢する手筈になった
耕司は瑤を撲殺して郁紀と対峙し、後少しで勝利というところで沙耶の邪魔によって逆に殺されかけていた
そこに凉子が颯爽と登場し沙耶に向けてショットガンを躊躇なく撃ち込む
沙耶が奇怪な悲鳴を上げて苦しみながらのたうつ
郁紀にショットガンを向けて動きを封じつつ耕司にとある魔法瓶を渡す
それを沙耶にぶっ掛けろと言うのだ
指示された通りに魔法瓶の中身を沙耶目掛けて投げつける
魔法瓶の中身は液体窒素だった
沙耶の体を凍てつくような冷気が覆い、一際大きく絶叫する
体半分が凍ってしまっていた
沙耶を痛めつけられたことで頭に血が上った郁紀は凉子のショットガンを恐れずに斧を振りかぶる
凉子は涼しい顔をしてショットガンの引き金を引くが――――弾倉が空になっていた
二連式ショットガンの片方には銃弾が装填されていなかったのだ
前もって確認しておかなかったことに舌打ちしながらも新しい弾丸を取り出そうとするが郁紀の方が早かった
凉子は郁紀の斧によって見事に袈裟斬りにされた
鮮血が吹き出す中、口端を釣り上げて凉子は笑った
ショットガンの銃身を郁紀ではなく沙耶に向け、躊躇うことなく引いた
それと同時に凉子は力尽きた
凍っていた部分に命中した弾丸は沙耶の体を無慈悲に吹き飛ばす
凍結していた部分が無くなり沙耶の体から液体が飛び散る
しばらくして沙耶は動かなくなった
郁紀はその意味を察して、自害した
沙耶が居ない世界に生きるくらいなら自分もここで死んだほうがマシだったのだ
耕司は一連の顛末をただ生きた心地のしない心境で見ているしか出来なかった
目の前で起きたことが到底現実だとは信じられなかった
ぞわり、という音と共に背筋に悪寒が走った
くたばったはずの沙耶がまだ蠢いていたのだ
沙耶はじりじりとゆっくりではあるが確実に郁紀の骸に接近していた
これ以上郁紀を汚すな!とばかりに無我夢中になって沙耶に鉄パイプを振り下ろし続ける
だが沙耶の進行を止めることは叶わず、郁紀の側まで到達すると沙耶は愛しむように郁紀と共にあの世へと旅立った
全てが終わった後、ただ一人だけあそこから生還した耕司は日々悪夢に魘される羽目になっていた
かつての友人達が頻繁に夢の中で語りかけてくるのだ
うんざりしながら目を覚ますと今度は幻覚に囚われる
死んだはずの丹保涼子が耕司に何食わぬ顔で話しかけてくるのだ
もうそういう生活にも慣れた
生前の凉子はちゃんと忠告してくれた
「最後の一線を踏み越えてない君はまだ日常へと戻ることが出来る」と
こうなったのは耕司の意志で真実を知ってしまったからである
発狂しそうな現実に苛まれながらも耕司にはまだ一つだけ縁となるものがあった
それは凉子から渡された一丁の拳銃
郁紀と対決する時に貰ったものだ
弾丸はあの時瑤に撃ち込んで空になってしまったが新たに調達した
もちろん購入した数は一発だけ
その一発だけが耕司の"最後の理性"を保っていられる唯一の拠り所なのだ
END
★END1在りし日の日常に戻れるのならば・・・と郁紀は沙耶が推奨する方を選ぶ
沙耶は頷くとこれが最後とばかりに別れを告げた
郁紀は意識が遠退いていくのを感じながら昏倒した
目覚めると景色が事故を起こす前と同じ、"通常"のものになっていた
そして沙耶がいなくなっていた
郁紀は久々に人の肉声を聞くことが出来て涙した
これがもう二度と手に入らないものだとばかり思っていた
自分は大多数の人がいう『日常』へと還ってきたのだ
郁紀は今までの罪を全て告白した
当然、逮捕はされたが精神的異常があったことが考慮され郁紀は一面真っ白で清潔な部屋で一生を過ごすこととなる
郁紀にはある予感があった
また沙耶が自分の元を訪れてくれるのではないかと
全てが元に戻った後でも会いに来てくれるのではないかと
案の定その時はやってきた
ズルズルと何かを引き摺るような音が聞こえたかと思うと郁紀の扉の前でそれは止まった
郁紀がドア越しに沙耶と呼びかけるが沙耶は返事をしない
かわりに携帯電話の文章作成のページを開いてそこにメッセージを打ち込むことで応答した
郁紀は沙耶が姿も見せてくれない、声も聞かせてくれないことを少し残念に思ったが他ならぬ沙耶の頼みならばと甘んじて受け入れた
これからも沙耶は父親探しをするのだという
郁紀はもうここから出ることは出来なくなってしまったが、いつでもここを訪れていいと沙耶に告げた
ひと通りの会話?が終わってから沙耶と別れた
恐らくこれが最後の逢瀬となるだろう、と内心思いながら――――
END
■シナリオ感想
なんという虚淵玄ッッッ!!!これが虚淵玄のシナリオッッッ!!!いや、もうなんて言うんでしょコレ?
言葉では形容し難いものがあるわwwwww
常軌を逸しているシナリオなのは間違いない
なんていうかもうマジで狂気の沙汰って感じwだってさ

いっちばん最初の文章がこれだよ?気味悪いを通り越して笑ってしまったよwwwwwwさて肝心の内容だけど取り上げるのは主に沙耶について
そもそも沙耶という知的生命体は一体何がしたかったのか?
これはEND2(ここでは仮にEND2とさせてもらう)の奥涯の資料の内容で一目瞭然なんだけどそれに加味して個人的な解釈等
沙耶はどうやって現出したのかはわかってない
簡単に言ってしまえば本来の沙耶は繁殖、生殖行動を根源としていた
つまり自分の同類をもっとこの世界で増やそうとしたっぽい
同類を増やすにあたってその惑星で一番知性がある生き物(ここではヒト)に近付き学習するのが効率的だと判断した模様
人ならざる姿をした物体は人の数十倍のスピードで人間の知識を吸収していってもう人間より高度な生き物になっていた
そして吸収するだけ吸収したら後は繁殖するという段階になった
しかし人間の生殖行為をも知識として取り入れていた沙耶は"恋愛"という行為だけはどうしても理解出来なかったらしい
繁殖するだけなら性行為だけをすればいい、そこに恋愛が絡む要素は見当たらない
そう思っていたところで郁紀と遭遇した
他の人間のように脳神経に干渉しながら脳内をメチャクチャに引っ掻き回したのに郁紀の反応は他の患者のように怯えなくて、沙耶を"好き"や"愛する"という感情で包んだ
それが沙耶にとっては今まで味わったことのない、人間という知的生命体の温かい一面だった
沙耶は温情を与えてくれた郁紀には感謝した
だから最後まで沙耶と一緒にいたいと言った郁紀(あくまで推測なんだけどEND2が一番虚淵が伝えたかったことが多いルートなんじゃないかと勝手に思ってるw)のために沙耶は努力した
沙耶によって脳内を弄られたため、『一般人(正常な人間)』は郁紀にとって異形の怪物にしか見えないわけだ
でも逆に言えば、沙耶によって脳内を弄られて肉塊となってしまったモノは郁紀にとって人間の形として見えるわけで(瑤みたいに)
END2で沙耶が最後にやったことっていうのは郁紀のために家族を作ろうとしたんだと思う
未来をあげるとかなんとか(あやふやw)言ってたから郁紀にとっての"人間"を増やそうとしたんだと思う
本当なら私利私欲のために繁殖活動をしても良かったけど郁紀のためにあえて人の形に見える物体に造り替えたんだと思う(ややこしいけど通常の人間から見たらただのグロテスクな肉塊ねw)
郁紀と出会った事により沙耶は恋愛という感情を最後の最後には理解出来たんだと思う
最終的には地球も自分の同類で侵略出来たし、郁紀にためにもなったってことで一石二鳥みたいなw
ということは地球で人類は郁紀だけになっているのかな?
その辺のテキストは無かったのでどうなったのかはよくわからないけど・・・
ともあれ沙耶は郁紀に恩返しをしたってことで俺は締めておくw
あとは知らんw
■キャラ丹保涼子>津久葉瑤>沙耶>高畠青海●丹保涼子特に好きなキャラはいなかったんだけどあえて一番を選ぶなら――――この人って感じw
仕事しているときは礼儀正しく慎ましやかだけど、素はパラノイアに毒された割りとイカれてる人ですwww
頭のネジが飛んでる方が地なのかわからないけどこっちの方が好き

MADMAXマジでカッコいい
●津久葉瑤出番が少ないのでちょっと残念だけど一応次点で
他に特筆すべきところがびっくりするほどねぇwwwww
●沙耶健常な人間からしたらグロテスクな肉塊だから多少はね?
異常者から見た沙耶は少女だから超かわいいよ!!
でもさ、それって普通の人から見たら気色悪い肉団子と会話してるってことだよね・・・
OH MY GOD!!
●高畠青海ハイ、出番が最も少ない人ですwwwwww
最初に殺されちゃうから最下位になっちゃうのは仕方がないんだよなぁw
■曲、BGM曲
BGM
Spooky Scapeが一番ヤヴァイwww
怖気が走るわw
■総合賛否両論分かれる作品かと思ったんだけどこれ思ったより高評価が多いんだよねw
それが凄く意外だと思ったんだ・・・
これはもう感性の域かな、俺はそこまで良いとは思わなかったんだよw
虚淵の言わんとしていることはEND2に大体集中してるからわかるんだけどね・・・・
人間は自分達を凌ぐ高度生命体なんていないと慢心しているけど、それって人間がまだ知らないだけで「何かの拍子に突如人間が侵略される側に回ってもおかしくないよ」という危機感の無さを示唆しているように強く感じた
「驕り高ぶった先に必ずしっぺ返しを喰らうよ?」っていう訴えがひしひしと身に感じた作品だった
作中ではその驚異が沙耶に当てはまるってこと
とにかく異彩を放つ作品である事は間違いない
この感覚は『素晴らしき日々』とよく似ているw
独特の世界観だね、マジで
グロテスクだと思ってたんだけど全然グロくはない
ただBGMの雰囲気が情景とマッチしているところは割りと怖いww
俺が並以上のビビリ性ってのもあるけど、「うおっ!びっくりしたぁ~!」って思わず言ってしまったシーンが

この場面w
「もう郁紀はいないから大丈夫だろ」と高を括っていたらいきなり現れて糞ビビったwwwwwまぁなんか後ろにやけにスペースがある一枚絵だったから「もしや・・・」とは半ば予想してたんだけど本当に来るとは思ってなかったわけでwww
ここ以外は驚きはしなかったかな
短いんだけど中身が濃密なので中弛みすることはなく最後まで一直線で楽しめるかと
結末がどうなるのかはやっていて楽しめるポイントだった
病んでる人にはあまり薦めたくないゲームw
精神的に余裕がある人はやってみてもいいんじゃない?
あんまり根を詰めてのめり込まない方が良いとだけは言っておくw
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