眩しかった日のこと そんな夏の日のこと

Title_2



narcissu SIDE 2nd 感想

2007年
「ステージ☆なな」制作
1と同じく非18禁

2ndは1から約6年前を描いた作品
過去に遡ります






■シナリオ

ビニールの腕輪の色が青色から白色に変わったセツミは目的の病室を目指すためにエレベーターの7Fのボタンを押す
辿り着いた先で一人のおばさんに声を掛けられる
セツミがここに来たのが初めてだったことを知ると"例のルール"をセツミに話してくれる
でもセツミは既にそのルールのいくつかを知っていた
もしかしたら、自分がいつしか7Fに来ることを以前から悟っていたのかもしれない


偶然にも協会のすぐ側に家があった姫子は今日も鐘の音を聞いた
そろそろミサの時間なので彼女の妹である千尋が姫子を呼びにやってきた
誘われたが姫子は断った
断ったというものの、特に忙しいというわけではなく、ただいつも通りに車いじりをしているだけだった
1ヶ月ほど前に買った車の修理をしているところへ彼女の親友である優花がやってくる
近所に住んでいるため昔馴染みだった
ただ姫子とは全くの正反対の性格をしており、とても趣味が合う友人とは言えなかった
対極にいる存在だからこそ2人は友達になれたのかもしれない
来週にはレストア完了する予定だったので優花とドライブに出ることにした

一方、千尋は大学に通いながら病院のヘルパーのボランティア活動を行なっていた
それもあの7Fのヘルパーである
姫子は千尋には荷が重いと忠告したが姫子は自分から進んでやりたかったらしい
かつては姫子も7Fでヘルパーをしていた
どこの病院も人手不足で千尋はまた姫子にヘルパーを勧めてみるが千尋は苦い顔をして拒否する

数日後、優花と予定通りに修復が終わったユーノス:ロードスターでお出かけする
気の赴くままに走り続けて辿りついたのはなかなか風情のある海辺
景色を思う存分楽しんで夕方になったら帰宅
優花は姫子にたまには教会にも顔を出したほうがいいんじゃない?と千尋と同じような事を言ったが、姫子は「所詮私はエセカトリックだから」と言ってはぐらかした

それから一週間後、本来ならまた優花と共に例の砂浜でのんびり駄弁っていたはずなのに姫子の姿は病室のベッドの上にあった
千尋と優花は姫子のお見舞いに来てくれた
優花の相変わらずの無遠慮っぷりに姫子も普段と変わらぬように振舞い、「たまには病気も悪く無いかな」とそのときは思っていた

だがそれから数ヶ月――――なおも変わらず姫子は病室のベッドにいた
さらに月日が経ってついには姫子の見舞いに来るのも千尋、優花の二人のみとなっていた
ある日千尋が部屋を出て行ってから、姫子は優花に一つのお願いをする
「もし私が7Fに行った時は、もう・・・お見舞いには来ないでね
優花は縁起でもないことを言うな、と姫子を叱りつけるが姫子には既にそんな予兆があった
3ヶ月経っても退院出来ずに病院にいるなんて通常ではありえない
それなりに重い病気を患っているはずなのだ

冬になっても姫子が退院することは無かった
いつもならアイスや肉まんをふざけて頼んでも病人にはそんなものを食べさせられない、と千尋に却下されたが、何故か今日に限ってはやけにすんなりと要求を受け入れてくれた
つまり、"そういうことらしい"
いつの間にかヘルパー口調になっている千尋の言動に気づいた時、姫子は7F行きを否応無しに理解した

クリスマス
7F行きが決定した姫子は優花にお願いとばかりにユーノスを持ってきてくれと頼む
親友のたっての願いならばと優花は了解する
どうしても7F行きになる前に乗っておきたかったのだ
優花と夜の街に繰り出す
気付けば半年前くらいに行ったあの砂浜に到着していた
優花は姫子に何か欲しいものはないか?と問う
姫子はその問いに対して『地図』が欲しいと言う
そして地図のかわりにユーノスをあげると言った
それはもうこうして二人でドライブするのはこれが最後だということ
優花はこれから姫子が7Fの住人になることを想像して泣いた

冬の寒さが本格的になってきた頃、姫子のビニールの腕輪は青から白へと変わった
結局優花はユーノスを受け取らなかったけど地図を贈ってくれた


1999年夏
最後に見舞いに来てくれた人から半年が過ぎた
セツミの見舞いにはもう誰も来ないと判断した後、セツミの家族は住み慣れた一戸建てから病院の近くのアパートに引越しをした
父親と母親には負担を掛けることになるだろうが2人とも不平なんか一切言わなかった
愛娘のためならばどんな苦難だって受け入れる、セツミは両親に愛されていた
だがそういった両親の愛情がセツミにはどうすることも出来ないほど痛かった
現状、その愛情に報いる唯一の方法は母親がパートで一杯作って余り物となった、本当はあまり好きじゃないポテトを"美味しそうに"食べる他思いつかなかった

病院まで徒歩3分という距離でも母親が心配して同伴しようとしてくれたがその厚意を断わって病院へ向かっている途中で小学校の校庭に目が留まる
夏休みだから人気のない学校
鉄棒を見て、一旦家へと引き返す
そしてセーラー服を取り出して着込むと先程の小学校へと戻って鉄棒へと向かう
腕に力を込めて地面を蹴る
どうにか持ち上がる体を自分で感じて安心感を感じていた
"まだ"私は『あちら側』にいると・・・

毎回のように同じ医師と会話をする通院生活
そんな変わり映えのしない無味乾燥な日々に少しだけ変化が起きた
提げていたトートバッグのボタンが解れているのを売店にいた女の人が優しく注意してくれた
親切にもソーイングセットを持っているようで「直してあげる」と言ってきた
その女性のビニールの腕輪の色は白
自室へ向かうために一緒について行くセツミ
エレベーターの7Fというボタンを押した時、少し疑問に思った
7Fとは並の人間には縁のないところである
そこに出入り出来るということは・・・そこでセツミは察したようだった
7Fに着き、談話室のような場所でバッグを直してくれる
7Fの住人というだけで色々なことを憚られるものだが女性はあっけらかんと「死亡確定者ってことね」言ってみせた
あまりにもさっぱりした物言いに気圧された
「通院ついでにまた寄ってよ。頑張ってもあと半年くらいだからさ」と言って少しだけ笑ってくれた

後日、別にわざわざ会いに行く必要はこれっぽっちも無かったがセツミは7Fに向かっていた
病室まで辿り着くと愛想よく出迎えてくれる
ここでようやく二人はお互いの名前を示し合った

姫子とセツミの長い夏が始まろうとしていた――――

一度主体的に訪れてからはもはや日課のように姫子の元を訪れるセツミ
セツミが来てくれたあかげで姫子の自分の中で決めている『死ぬまでにした10つのこと』が残り3つになったらしい
事も無げに『死』という単語を使う姫子に少し戸惑いながらも、残りの3つも付き合ってくれと言われた
なし崩し的に姫子と一緒にいる時間が多くなっていた
家に帰ると母親が先に帰宅していた
というのももう19時前だったからである
珍しく遅く帰宅したのでどうしたの?と聞かれる
友達と一緒にいたとありのままに話した
それを聞くやいなや母親は憂いそうな顔をした
何せ友達なんてものはもうセツミには出来ないと思っていたからだ
只ならぬ病気持ちとなれば常人ならば敬遠する
母親はいつになく上機嫌だった
たった3分の距離でも戻ってくるのは面倒だろう、と言って弁当まで作ってくれるようだ
しかしセツミは母親に一つだけ言えなかった事があった
それは姫子が7Fの住人だということ
もしこの事実を母親に伝えた時の反応を見るのが怖かった
7Fの人なんかと付き合ってはダメと言われるのが怖かった

翌日、病院に向かうと入り口に姫子の姿があった
セツミの姿を見つけるなり病院の裏手に連れ込む
そこでいきなり園芸活動を始まる
花が生えてない地面があったのでそこへ二人で穴を掘って球根を埋めていく
花の名前を聞くと姫子は水仙だと教えてくれた
植え終わってからよく手を洗い昼食とする
病院食で飽々していた姫子はセツミの母親お手製の弁当を見て羨ましそうにする
コロッケをあげると美味しそうに食べてくれる
コロッケを食べ慣れているセツミは外見だけで中身の具がわかる
姫子にはそれが凄いことらしくてセツミのことを『コロッケ博士』として崇めるようになった

帰り際に一人の少女とすれ違う
その少女はセツミを見るなり引き止めた
7Fにヘルバーと患者以外の人がいるのはとても稀なのだ
姫子の友達ということだけを告げると少女はなるほどと得心がいったようだった

今日も今日とて姫子と過ごすセツミ
セツミの弁当をつついている姫子はセツミがポテトを食べてないことに気付く
昨日もとうとう手を付けず姫子に全部食べてもらったのだ
そこで「嫌い」とセツミが白状すると当然「じゃあどうして入っているの?」と返答
母親に面と向かって嫌いと言うことはどうしても出来なかった
私のためにあんなに頑張ってくれてる献身的な母親
言えるはずもなかった
だからたとえ嫌いだとしても無理に食べるのだ
しかしそんなセツミの言を姫子は「でも・・・それは優しさじゃないわよ」と一刀両断
相手を気遣っているのなら、大間違いだと、そういってのけたのだ
セツミにはまだ姫子の言葉を解せるだけの情緒はなかった

昼食後、姫子に買い物を頼まれて戻ってきたら何やら剣呑な雰囲気
昨日にあった少女と微妙に言い合いになっているようだ
姫子は少女を無碍に扱うとこっちへやってきた
セツミが事情を聞いても「ただのヘルパーよ」と不満気に返すだけ
普段が明るいだけにこういう冷たい態度を取る姫子は珍しかった
姫子はセツミに自分もヘルパーをやっていた時があると話す
この病院はキリスト教を重んじているし、姫子の家がカトリックだったからでもある
でも姫子は自分はエセカトリックだと公言している
自分はただ生まれた家のすぐ近くに教会があっただけだから、と
またそういう考え方が自分をエセカトリックたらしめる原因だとも言った

少し寝坊したセツミは恒例の行事の如く姫子に会いに行く
病室を訪れる姫子は地図を眺めていた
面白いかどうか訪ねてみると当然「つまらない」
だったら見なきゃいいのに、と思うのは必然だが姫子はまた意味深なことをいう

「まだあなたには必要のないものよ」
「それはいつか必要になるってこと?」
「さぁ、それもあなた次第かしら」

禅問答のような受け答えしかしない姫子
地図を眺めつつ、もしどこか行きたい場所があるとしたらどれくらいあれば足りると思う?と問う姫子
姫子に言わせれば"5万円"あれば日本中のどこへだって行けるそうだ

検温の時間なので一旦姫子と別れたセツミ
そこで以前からちらほら見かけているヘルパーの少女=千尋が声を掛けてくる
セツミは姫子との経緯をかいつまんで千尋に話した
千尋に言わせれば姫子は"以前"は優しかったがあんなふうに――――という
以前どころ現在進行形で優しいと感じるのはやはり姫子にとってセツミは特別な存在なのだろうか
少なくとも千尋に接する態度とは明らかに違っていた
姫子にどうして妹の事を邪険に扱うのか?と聞くと「優しくて良い人だからよ」と理解し難い返答だった

翌日、病院前にまた姫子が待っていた
今日はどこかへ外出するらしい
残り3つのしたことの一つが関わっているようだ
セツミも姫子のフリーダムさに振り回されつつも付いて行く
電車で片道2時間の場所に行くらしいのだが、それだけあればかなり遠くの場所まで行ける
早速A駅まで向かうのだが・・・
不運なことにA駅には姫子とセツミが世話になっている医師や看護婦たちの通勤駅らしく辺りに見覚えのある顔ぶれがあった
見つかると面倒なのでとあっさり引き返す姫子
ついでに洋服店でセツミに服でも買ってあげようかと提案する
ワンピースが似合うと言われて購入しても構わないようだったがセツミは断った
姫子がパジャマでいるのに自分だけそんな私服を着ていては悪いと思ったのだ

もはや姫子に会うことが義務のようになってきた毎日
いつものように向かっていたら千尋と出くわした
千尋もこれから病院へ向かうところだったがその前に寄るところがあるという
セツミも折角なので千尋の後を付いて行った
千尋の向かった先は教会だった
中に入り数珠みたいなものを取り出すと祈りを捧げる
セツミにも祈ってみない?と勧めてみる千尋
祈りはそれぞれなんでもいいのだそうだ
セツミは妹がここまで敬虔なカトリックだというのに姉はどうしてあそこまで違うのかという疑問を口にする
千尋に言わせれば姫子はとても敬虔なクリスチャンなのだという
教会やら宗教のことはセツミにとってまだまだわからないことだらけだった

少し遅れて病室に行ってみると姫子はいなかった
中庭に赴くと姫子は花壇水やりをしていた
そういえば姫子は以前からこの病院では我が物顔で振舞っているように思う
何か特別な権限でもあるのかと思ったがそいうわけではなく、ただ単に昔からヘルパーをしていたこともあり顔が効くだけだそうだ
千尋と会ったばかりだったからか姫子に「もう祈る事はないのか?」と聞いてみた
「無いわ」ときっぱり言う姫子
ついでに「祈りがあるってことは呪いもあるってことだと思わない?」とまた意味深な台詞

とまぁこの話はここまでで置いておいて姫子がこの前の続きであるお出かけの話を持ち出した
この前は行けなかったので再チャレンジというわけだ
セツミはこの事を母親に話して弁当を2人分作って貰えないか相談してみた
母親は喜んで作ってくれた、と同時にまだ母親に真実を打ち明けられないことが痛かった

少し早い時間に病院へと向かう
入り口前で千尋が待っていた
姫子に渡して欲しいものがあると言われ手にしたもの
車のキーだった
果たして7階の住人である重病患者が車なんぞ乗って大丈夫なのだろうか?と不安を感じずにはいられなかったが姫子は自分の体のことは自分が一番良くわかっているといった風で全く意に介してない様子
ドライブと洒落こむことになった
走り続けて目的地まで辿り着く
そこは姫子のお気に入りスポットにもなっている場所
フェニックスの木が立ち並ぶ見渡しの良い海辺だった
昼食時になって二人でセツミの母親が作ってくれた弁当を突く
ポテトが入ってるのを見て姫子はまだ正直には伝えられていないか、呟く
「でもいつかは言えるといいわね」と励ましてもくれた
同時に「ワガママ言いまくるくらいで、ちょうどいいのかもよ」とも言った

死ぬまでにしたい10つのことの1つがここでフェニックスの木を切ってみることだった
本当にあんな分厚い木を切るつもりなのだろうかと疑問に思っているセツミ
夕方になって人も少なくなり決行しようとしているところに一台の車がやってくる
車から降りてきた人物は優花だった
もう優花とも会わなくなって随分時間が経っていた
それは姫子が7Fに行ったら見舞いに来ないでと言ったからだった
だから彼女なりに最大限の気を使ったのだろう
『病院じゃなかったらいいでしょ』という本当なら見舞いに行きたくて仕方がなかったはずの優花なりの足掻き
どこまでも律儀でどこまでも姫子の事が好きな一番の親友だった
優花と別れた後、フェニックスの木を弓ノコで切ってみたが1cmも切れていなかった
でも姫子は何事も行動することが大事なのだといい、別に成否はどうなっても構わなかったようだ
夜の浜辺で年甲斐もなくはしゃぐ姫子
どこからか取り出したワインをセツミに無理矢理勧めて乾杯をした
親友の優花に会えた事が嬉しい誤算だったためしたいことが2つ消化されて残り1つになってしまった

波打ち際から戻ってきた姫子はセツミが色々と聞きたそうな顔をしているのを察して質問を受け付けることにした
死ぬと聞かされた時誰かを恨んだか?
誰を恨むのか? もし神様ってのがいたら恨んだかもね
元カトリックなのに神様の存在を信じていないのか?
神様はいると思っている、でもどうやら『多忙』か『無関心』らしい

姫子はここでフランダースの犬の例を出した
「ネロとパトラッシュとアロア。あなたは誰になりたくて誰になりたくない?」
セツミは「誰にもなりたくないと答えた」
「そりゃあ無理な相談」と姫子

『人には・・・この三択しかないのよ』

つまりなりたいなりたくないに拘わらず、人である以上この3つのどれかには当てはまってしまうわけだ
姫子は厳しい顔をしながら過去に思いを馳せていた


まだ姫子が大学生だった頃、ヘルパーのボランティアをやる事に生き甲斐を感じていた
だからといって自分が敬虔なカトリックだとは思っていない、ただの一信徒というだけ
慈愛の精神のみが姫子の信条と重なっていただけ
今回7Fの患者を担当させてもらうことになった姫子はより一層意気込む
なにしろ今回の患者は身寄りをなくした子供なのだから
ここでは末期患者の事を『ネロ』そしてヘルパーを『アロア』として呼ぶようになっていた
本当は『ネロ』に対しては『パトラッシュ』を設けるべきなのだろうが、ヘルパーは一緒に死んであげることは出来ない
だからせめてネロの一番の親友である『アロア』になることにしたのだ

意気込んで少女の待つ部屋を開ける姫子
少し驚いていたように少女は姫子を見つめる
自己紹介をしたあと雑談に興じる
姫子は少女を気遣い、出来るだけ好きなことをさせてあげた
少女が何も望まないのならば自分から何かを提案し、様々なことを体に負担が掛からない程度に少女にさせてあげることにした
姫子が病院に離れている間に少女は他の患者から7Fに伝わる"ルール"という言葉を耳にしていた
姫子はまだ噂にしかなっていないその言葉を半信半疑にしか思っていなかった
暇があったら少女を中庭に連れていってあげてロザリオを出して少女のために祈りを捧げてあげた
少女が興味津々とばかりにしていたのでロザリオを一個あげることにした
少女にとっては主の言葉は『魔法』にも等しかったみたいだ
祈りについて興味を示している少女のために姫子は教会へ少女を連れてくる
そして少女について祈りを捧げる――――ただし"半分"の
もう"半分"は真実を少女に話せない自分へのものだった

こうして深い絆を築いた少女との交流だったがある日を境にプッツリと切れてしまう
食事も満足に食べずにどこか表情が暗い
ここに来てずっと先送りにしてきた問題に直面したのだ
そう遠くないうちに『死ぬ』ということ
今まで姫子はずっとそれについて触れないようにしてきた
しかし人の口に戸は立てられない
7Fの住人だった少女は既に他の7Fの住人から死にゆく当事者のみのルールを聞かされていた
私、死ぬの?という直球で言われるとどうしようもなく返答に困る
泣き止まない少女に対して姫子は適切な言葉を見つけられなかった
「神様はどこ?」という少女の質問に対しても答える事が出来なかった
自分の無力感に苛まれる一方だった
もっと高い場所で祈れば神様に届くかもしれないと少女は屋上へ行きたいと言う
屋上からの少女の祈りを聞いて姫子は思った
『もし私の言葉が"本物"だったら、今こそ奇跡を起こすのに』
どんなに親しくしてもパトラッシュにはなれないのがアロアなのだ
祈り続ける少女に向かって姫子は「あなたはもうどうやっても助からないの・・・」という一番言ってはいけない言葉を口にしてしまう
あまりにも少女の祈る姿が痛々しかったからだ
それで救われるのならばまだするだけの価値はある
どう足掻いたとしても逃れられぬ運命

だが少女は自分のために祈っているのではなかった
"泣いている姫子のため"に祈っているのだった
早くお姉さんが泣き止みますようにと


病院へ通う途中、教会に寄ってみるセツミ
千尋に車のキーを返しに来た
姫子が直接千尋に渡せばいいのに・・・と思わないでもなかったがどうにも姫子は千尋と会うのを嫌がるようで仕方がなかった
返却後「あなたの上に、主の豊かな恵みと祝福がありますように」と千尋はセツミに祈ってくれた
病室に行くと風呂の準備をして待っている姫子
セツミと一緒に入浴するつもりだったらしい
入浴時に姫子の胸に見えた自分のものとは比べ物にならないほどの大きな傷跡
姫子もこの傷が出来たときはショックだったと嘆いていた

姫子は相変わらず地図を眺めていた
セツミが来てから目を上げると髪切ってあげようかと言って屋上へ向かう
看護婦の了承を得てから階段を上がって鉄扉を開けた先には見晴らしが良くて街を一望出来る屋上
本来なら"一番患者に来させたくない"場所なのにどうして姫子はこうも簡単に出入り出来るのだろうか?
セツミの疑問を見越したように姫子は答えてくれた
『自殺はカトリックに置いて"禁忌"』だったのだ
自ら命を経つことはあってはならない
看護婦は最初から姫子が自殺することはあり得ないとわかっているからこそ屋上へ向かう許可を出した
"元"カトリックのくせに妙に信用されている姫子だった
日本人形みたいな髪型にされるセツミ
姫子はセツミを別の誰かと重ねていた
そして屋上から戻る時に、最後の1つのしたいことがそろそろだとセツミに告げる
同時に「こんな高さじゃ、足らないわ」とも言った
やはり自殺するつもりなのだろうか
"元"だから別に自殺したって構わないと思うが・・・
「日帰りは無理かもしれないけど良かったら付き合ってよ」と姫子に言われ少し戸惑うセツミ
本当なら姫子はもう2回目の仮退院ぐらいの病状だそうであまり先は長くない

家に帰って母親に今度は泊まりがけで遊びに行くことを伝えた
色良い返事は期待出来ないかと思われたが母親は喜色満面で快く承諾してくれた
逆にセツミは困惑していた
ここまで母親に姫子の事を信用してもらえるのはとても嬉しいが姫子の事をまだ全部は話していない
姫子の言葉を脳裏で反芻する、これは本当の優しさじゃない・・・
覚悟を決めたセツミは姫子の事を自分が知ってる限り洗いざらい全部話した
7Fの患者であること、ホスピスであること、死が避けられないこと
姫子の事を聞くなりみるみる顔色が悪くなっていく母親
そういう人と付き合うのはやめてくれ、とも言われてう
それは姫子を非難しているのではなくて確固たる根拠はないが"セツミもそういう道を辿るような気がした"からである

翌朝、これ以上母親を困らせまいとして姫子に遠出は遠慮させてもらおうとしたところで部屋をノックする音
母親は母親なりによく考えた結果、やはりセツミが一番笑っていられるような状況を選んだようで姫子とのお出かけを喜んでくれた
病院前には千尋が待っていてくれて前回と同様にキーを預かる
今回が最後だという事を伝えると「どうしてあなたなんだろうね」と不満を漏らす千尋
実の姉妹なのに、今まで20年間も一緒に過ごしてきた姉妹のはずなのに最後のドライブにセツミを選ぶ理由
それは「千尋が良い人だから」という点に尽きた
千尋には意味がわからなかった
でも姫子はそんな良い人だからこそ千尋を"アロアにはしたくない"のではないだろうか

パジャマではなく作業用のツナギを着てくる姫子
どうやら今日は特別らしい
高いところという抽象的な表現だけで車を走らせる姫子
実は普段から姫子が地図を凝視していたのは日本中を全て覚えるためだった
本当かどうかはわからないがこの時点で全て覚えたと言っていた
セツミは姫子の事を7Fの患者であることも含めて母親に話したと伝えた
姫子はそれを聞くなり、ちょっと見直したとばかりに感心
でも弁当を見る限りではまだポテトの事は正直に話せていないようだ
そこで姫子はとっても簡単な解決方法を提示する
「あながた『好き』になってしまえばいいのよ」
簡単なことを言ってくれる・・・とはいえ「病気を治すよりはよっぽど簡単だと思わない?」と追加で言われてしまったら確かに容易だった
やっぱり高い場所といえば富士山、というわけで富士山を目的地に指定した
5合目までは車で行けるみたいだった
雨に打たれながらも5合目まで到着してから一旦車を降りて一息つく

自分にとってとても親しい人がいて、その人が段々と弱っていく姿を側でずっと見ていたいか、それとも自分の知らない間に亡くなっていて欲しいかという質問を投げかける姫子
セツミは「わからない」と返答、姫子は「ずっと側にいてあげたい」と言った
でも自分が去る立場なら逆で「自分の側には誰も居て欲しくない」と矛盾を孕んだ言い分だった
去る者と残される者は決して交わることはない
自分の痛みには耐えられても、人の痛みには耐えられない
姫子はそういうことを言いたいのだとセツミは思っていた

夜が明けてから姫子は登山を決意する
「神様とやらに文句を言ってやらねば気が済まない」との一心で
それが最後の1つだった
体の都合もあって頂上までは行けなかったが7合目の見通しの良い場所まで登った
これが最後とばかりに姫子は自分の持っているロザリオをセツミに手渡す
例えそれが死にゆく者へのエゴだったとしてもセツミは姫子に自ら命を立って欲しくなかった
「止めてほしい」と自然と泣き顔になってしまうセツミ
そんな顔をされたら神様への文句が言えなくなってしまうと困り果てる姫子
少女の面影がセツミと一致したのか姫子も一緒になって泣き出してしまう
しばらく二人で泣いた後、やっぱり神に文句を言うことはやめた
その代わりにセツミから返品されたロザリオを身につけ、「自分の事でいつまでも心を痛める人がいないように。そして出来るだけ早く立ち直れるように」
自分のことはどうでもよかった、ただやはり他人の痛みだけには耐えられない
"残される者"に最大限の配慮をとった祈りだった
帰路にて7Fのルールに『友達は作ってもいい』と独自のルールを追加する姫子
そうして「これからあなたが誰を選んでも、最後の最後には心まで殺しちゃダメよ」とまたもや意味深な台詞
それはある種の予言だったがセツミには現時点でわかるはずもなかった

病院には寄らずに教会まで直通で車を走らせる姫子
「じゃあここでお別れしましょ」
文字通りの意味だった
セツミは姫子に最後の問いかけをする
「アロアは・・・ネロは幸せだったの?」
少し考え、空を見上げて――――
「さあ、どっちなんだろうね・・・あはは、よくわからないね」
まもなくこの世界から消えるはずの彼女はいつも通りの笑顔で微笑んでくれた

こうして世界総数10億人にも及ぶカトリック信者から一人が消えた

冬になってセツミの元へ贈り物が届いた
中身はひまわりがあちらこちらに刺繍されているワンピースだった
かつて姫子が買ってあげるとしつこく言い寄ってきたもの
でもこれは持つに値する人に渡すべきだとセツミは教会を訪れる
千尋を見つけて姫子からの贈り物を手渡した
ところが千尋はまるでセツミが来るのを予知していたかのようにワンピースを受け取るかわりにセツミに地図を渡す
前もって姫子から「もしかしたらセツミが来るかもしれない」と聞かされていたようだ
姫子はワンピースではなくセツミなら地図を選ぶと予想していたのだろうか
逝く瞬間に笑ってみせた姫子

自分もいつかああいう風に笑える日が来るのだろうか


END


■エピローグ

主人公とセツミが無茶な大冒険をしてから早一ヶ月が過ぎた
予想通りの愚痴を言った両親、何故か感謝の気持ちを述べてくれたセツミの両親
両者は対極的だった
そうして再び病院内に舞い戻って後、新しいヘルパーとして千尋がやってきた
普通にセツミのことについて知っていたのでちょっと面食らう主人公
先の一件が原因でここ半年ほどは新しい患者は7Fにはやってこないのだという
となればしばらくの間は7Fは空席になってしまう
本来患者ではない千尋には関係の無いことだけど、主人公は"ルール"を千尋に一旦委ねることにした
そうしてセツミが付け加えた新ルール『残す者には、笑ってあげて』という新たな項目と共に千尋に継承された
いずれ千尋の手を離れたとしてもずっと続いていくのだろう――――






■キャラ


プレイした後でwikiを見て知ったんだが一応キャラ毎に本名が設定されていたらしいw

・阿東優
・篠原姫子
・篠原千尋
・佐倉瀬津美
・昭島優花



主人公の阿東っていう名字にちょっと違和感あるんだけどww

あとは声優について
姫子がまきいずみなのが案外すんなりと受け入れられたかな
一枚絵とは全然雰囲気違う人なんだけどさwww
千尋が後藤邑子でセツミの人はあまり知らない人だった
名も無き少女が能登麻美子で結構驚いたわ
同人ゲーに出てるとはてっきり思ってなくて
優花の声優も岩居由希子だったし、声優に関しては結構金使ってるんじゃないかと
セツミのママンも一色ヒカルだったしw






■曲、BGM


OP



eufoniusキター!


full




挿入歌



15cm死ぬほど好き


BGM










やっぱり『ラムネ'79』がナンバーワン!!
やっぱり『ラムネ'79』がナンバーワン!!
やっぱり『ラムネ'79』がナンバーワン!!


総合的に見るとBGMは1の方が好きなの多い





■シナリオ感想&総合

2は1へ繋げるまでの布石なんだけどこれまた1に負けず劣らず素晴らしい
1で消化されてなかった伏線(セツミがどうしてポテトを率先して食べていたのか、とか地図がどうして好きになったのかとか)が上手く描写されている
2をやってから思ったのは1のセツミの生き方に少なからず姫子の影響を受けているということ
1のセツミは姫子がいなかったらあり得ないということになるね
1を別観点から補強してる感じかな
だから私的には1→2の順でやったらもう一度1をやって見ることをオススメする
あーなるほどな、と言えるポイントを結構発見出来ると思う
時系列的にどうしても2は過去になっちゃうので整理するためにも

2のシナリオについてはやっぱ姫子の生き方かっけぇーって思う
1だとセツミが達観していて良いなとは思ったけど姫子はセツミとは対照的なので別観点的な意味で良い
同時にやっぱり去る者の言葉ってすごく重みがある
1ではセツミが去る者だったからセツミの言葉は凄く重いけど、2は姫子の名言が多すぎて困るww
2の姫子が生きている時点ではまだセツミが7F行きとは決まってなかったし、あまりセツミ自身に対してはそれほど感慨が湧かなかった
けどセツミの家族の心情については心が揺さぶられたね
病院の近くに引越ししてきた時のセツミの父親の「ここは空気が良くていい場所だな」には泣きそうになったw
なんて子に愛情が注げる両親なんだろう、って
それに報いる事の出来ないセツミの心情がまたなんとも・・・

でも個人的に一番の見所は姫子と優花の以心伝心っぷりだよ
「こいつらなんでこんなに心と心のキャッチボールが上手いんだ・・・」と素直に思ってしまった
言わなくてくも伝わるって本当に凄いよね、会話すらしなくていいんだもん
それくらいお互いの事分かってるってこと
欲を言えば最後の方でもう少し優花を出して欲しかったんだけどまぁ優花は姫子の葬式には出てただろうし、最後の浜辺で存命中はこれで会うのが最後だってけじめを付けたんだろうね
シナリオの部分で書き忘れてたけどずっと放ったらかしだったユーノスが何故あんなに整備されていたかっていうとあれも実は優花がちゃんと手入れを怠らずいつでも万全に動くようにしてくれていたんだよね
ここら辺の優花の気遣いがたまらんですね

2はちょっと宗教的な要素が絡んでくるので多少は好き嫌いが分かれるかも
1と2、どちらが好きか?って問われたら迷うけど俺は1の方が好きです
1には1の良さ、2には2でしか味わえない良さがある
つまり1+2=最強
2の方がボリュームちょっと増えてて3~4時間程度と公式では発表してる

死生観、死生学について興味がある人は是非
短いけど完成度が高いです







S(神)

Ever17 -the out of infinity-   Steins;Gate   この世の果てで恋を唄う少女YU-NO
BALDR SKY Dive2 "RECORDARE"    WHITE ALBUM2 -introductory chapter-
WHITE ALBUM2 -closing chapter-    家族計画 ~絆箱~

A(優良)

車輪の国、向日葵の少女    G戦場の魔王    装甲悪鬼村正
11eyes -罪と罰と贖いの少女-    素晴らしき日々~不連続存在~
グリザイアの果実    キラ☆キラ    euphoria
BALDR SKY Dive1 "LostMemory"    そして明日の世界より――
真剣で私に恋しなさい!    最果てのイマ    英雄*戦姫       
リトルバスターズ!エクスタシー    あやかしびと
-atled- everlasting song    この青空に約束を―    narcisu
narcissu SIDE 2nd←NEW

B(良)

CROSS†CHANNEL    車輪の国、悠久の少年少女   CHAOS;HEAD
俺たちに翼はない    3days -満ちてゆく刻の彼方で-    Rewrite
BALDR SKY DiveX "DREAM WORLD"    天使のいない12月
WHITE ALBUM    輝光翼戦記 銀の刻のコロナ
Sugar's Delight    もしも明日が晴れならば

C(普)

装甲悪鬼村正 邪念編    家族計画 ~そしてまた家族計画を~

D(微)

fortissimo//Akkord:Bsusvier
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[ 2013/01/18 ]
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