眩しかった日のこと そんな冬の日のこと

Photo



narcissu 感想

同人ゲーム
「ステージ☆なな」制作
2005年公開
非18禁







■シナリオ


さして体が強くないセツミは中学に入ってすぐ病院通いとなる
最初のうちは友達も見舞いに駆けつけてくれたが、通院生活を送っているうちにやがてセツミの周りから人はいなくなっていった
入退院を繰り返すということはそれなりに重大な病気であることなので、厄介者扱いされたのかもしれない
いつしかセツミは孤独になっていた
そして普通に生きている人の記憶から"セツミ"という存在が抹消されたと同時に、セツミの時間も止まった

8年後

野望も目標もなく平凡に生きていた主人公(名前無し)はちょうど普通免許証を取り終えたところだった
特に感慨らしきものも浮かばず、自動車に乗ることが出来るようになった程度にしか考えなかった
翌日、朝起きると胸の辺りが苦しいので病院に行く
検査を受けた後、通院を勧められた
通院生活が長くなるに連れて、どんどん薬の量が増えていった
家族の表情もどことなく冷たい
この時点で主人公はなんとなくある予感を感じていた

そしてある日、談話室みたいなところで父親と先生を交えての話し合いが始まった
端的に言えば『死ぬ』らしい
それくらい主人公の病気は進行していた
どう治療に専念しても助からない人達用にこの病院の7Fには"ホスピス"が設けられている
主人公も登録手続きを済ませて7Fの住人となった

高い天井、白いビニールの腕輪、15cmしか開かない窓

どこか無機質な様相を呈している7F
談話室に先客がいた
少女はつまらなさそうにテレビを見ていた
主人公も隣に腰掛け二人してテレビを会話もなく見続ける

唐突に「・・・あなた、何回目?」と少女が聞いてくる
何のことだかさっぱりわからない主人公はどういう意味かと聞き返す
それで少女は主人公が初めてここに来たことを理解したらしく、この7Fにおける『ルール』を話す

『3回目に仮退院させてくれたら、覚悟しろ。4回目はまずない。もう家には帰れない』
『もしも逃げたい時は、A駅ではなくB駅へ行くこと』
『何も食べるな。それが一番の近道。家族にとっても一番負担が小さくて済む』
『死ぬのは7Fか自宅かのどちらか』

と外部に漏れたら只事ではない情報ばかりだった
これは未来が閉ざされた者達同士のみで紡がれてきた7Fの掟
少女も新しくやってきた主人公にしっかりと掟を聞かせた
看護婦が少女の名を呼ぶ
そうして主人公はその少女がセツミという名前なのを知った

諸々のルールを聞いた主人公は早速偵察に向かった
B駅の下見に行ってみる
別段変わったところはなく逃げ出そうとすれば簡単に逃げられそうだった
抜け出そうとすれば簡単に抜け出せそうだったのにセツミはどうして逃げ出さないのだろうか
主人公に一つの疑問が浮かんだ
深夜に帰ってくるとセツミが談話室にいた
もうすぐ帰れる、といきなり言い出す
ただし、『3回目』らしい
後少しの時間しかセツミは生きていられないということになる

セツミは主人公に「あなはどっちで死ぬつもり?」と問う
まだ1回目の主人公にはどちらを選ぶか即座には答えられなかった
躊躇しているとセツミが「わたしは家も病院も嫌」と答える
ならどうするんだ?主人公が答えるがどこか自力で歩いて行ける場所で眠りにつくのだという
死を享受するようにセツミは無表情だった

来る日も来る日も、気付けば二人してテレビを見るのが恒例となりつつあった
テレビに映った白い花を見てセツミは声を漏らす
それはちょうど窓際に飾ってある白い花と同じだった
主人公が問うと、厳密には違うと返事が返ってくる
この手の物について詳しそうだったので何という花か訪ねてみることにした

『ナルキッソス』

普段は無愛想なセツミだったがその時は少し笑っているように見えた

3度目の仮退院がやってきた
セツミの母親がやってきてセツミを実家に送ろうとする
ところがセツミは急に胸が痛いと訴える
それがその場凌ぎの仮病だったのかどうかはわからない
だけども、さすがに容態が急変した患者を移動させるわけにもいかないだろう、ということで3回目の仮退院は見送られた
セツミの行く当ては本当はなかったのかもしれない

数日後、主人公の父親が医師と談話室で保険がどうだのという話をしていた
生々しい話に目を背けて自室に戻ると小さな机の上に置いてあった車のキー
迷う必要は無かった、家で死ぬのは嫌だった

「私は7Fで死ぬのも嫌・・・」

談話室でそう言ったセツミを連れ出し、病院を脱出する決意をする
駐車場まで来ると止めてあったのは銀のクーペ
とりたてだった免許証が役に立つ時がきた
拙い運転ながらも公道を進み始める
アテもない旅の始まりだった

走り続けて夜になったところで雨が降ってきた
コンビニで買ってきた晩飯を食べながらふと前方に目をやるとナルキッソスの花があった
ナルキッソスとは日本語名だと水仙のことのようだ
でもそこにあるナルキッソスも「厳密には違う」とセツミは言う
どこが違うのか?と疑問に思っている主人公
唐突に「淡路島が有名」と言い出す
しかし淡路島と言ってもここからでは700kmぐらい離れている
その前にお金とガソリンが尽きてしまうので到底行ける距離では無かった
セツミは別に行きたいわけではないと付け加えた

明けてからもひたすらクーペで走り続ける
ここいらの地名がさっぱりわからない主人公はどこをどう走っているのかもわからなかった
だがセツミは何故か熟知しているよういとも簡単に地名を答えてみせた
もし地名とか地図に詳しかったら淡路島までの短縮ルートがわかるかもしれなかった
晩になって、二人は海辺へ来ていた
突然、波打ち際に寄り今にも海に入水しそうな勢いのセツミ
もしこのまま進んだら止めてくれるか?とセツミは質問するがその時になってみないとわからない、というのが主人公の返答だった
セツミの真意はわからずじまいだった

そろそろガソリンが底を付く頃だったのでスタンドにて補充
なにぶん何もかもが初めての主人公は店員の質問に戸惑うがセツミが色々と教えてくれる
彼女は車に詳しいのだろうか
早速聞いてみたところ、驚くべきことに車種から内部構造に至るまでピッタリと当ててのけた
セツミはとんでもない量の知識を有しているのかもしれない

差し当たっては何か目的が欲しい
主人公はただ立ち止まっているのが嫌だからずっと走り続けていた
残金2000円ではもう出来ることは限られていた
そこで少しでもお金を確保するために主人公はパチンコ屋に寄って箱を大量に積み上げている人の退席を狙ってかっぱらおうとする
トイレに消えた客の箱をさりげなく強奪して現金に換算してもらおうというところで失敗した
自分の筋力が明らかに落ちていて、ドル箱すらまともに持ち上げることが出来なかったのだ
慌てて店内を後にする主人公
車に戻って息も絶え絶えに発進する
なんとか逃げ出すことが出来た

数日後、またもやガソリンの危機がやってくる
入れた分を支払うだけの残金がないので入れた終わったと同時に素早く乗り込み、そのままとんずらしてしまおうという算段だ
しかし間の悪いことに奥の建物の中にいた店員が気を利かせて窓拭きやらを始めてしまった
ガソリンを入れ終わったのなら次は清算
いつまでも何もせずにいると怪しまれてしまう
そんなもの知ったことかという勢いで運転席に乗り、急発進させようとしたところで横から声が掛かった
なんとセツミがお金を差し出してきたのだ
危機一髪というところで難を逃れた
主人公はセツミがお金を持っているはずがないと思っていたようだが、セツミからすれば聞かれなかったから答える必要が無かったという至極単純なものだった
セツミから渡された封筒には1万円札がまだ4枚も残っていた
この状況で5万円は大きい
これだけあれば十分淡路島までは行けそうだった
それでもセツミに目的らしい目的などは無くて「行きたくないか?」という質問には「別に・・・」で返すだけだった
もうそのやり取りも通例のものとなったのか主人公も何を言うでもなく目的地を淡路島に指定する
カーナビなんか無くても問題無かった
何しろセツミは日本の全地図を完璧に暗記していたのだから・・・

幾日か走り続けて豪雪地帯に入った
道沿いにあった湖の側に車を止めて眺める
セツミは湖を見て簡単に死ねそうだったからまた自殺紛いの事を言うが、主人公にはまだセツミが死ぬことはないと知っていたから止める必要も無かった

セツミの身に異変が起きたのはそれから少し経った後
嘘偽りなく辛そうだった
持ち合わせの薬が切れたのだから当然である
ここで問題になるのがその持ってきた数少ない薬だった
7Fの患者は投与されている薬が一般病棟のとは全然違うの並の病院では置いていない
そこで主人公は大きい病院に別個で建てられている薬局を探した
病院の隣に薬局なら普通の薬局では取り扱っていないものも出してもらえるはず
セツミの薬の袋を持っていって同じものを頼んでみる
ここの病院にもセツミが服用しているものと同じヤツがあったようで一安心――――かと思われたがこれを買うには処方箋が必要だと言われる
臨床用の薬だったからだ
当然、そんなものを持ち合わせているわけはない
主人公は意を決して薬を引っ掴むと即座に逃げ出した
もたつきながら逃げていたが誰も追ってくる気配はなかったようである

薬を入手してから再び淡路島を目指す
もうだいぶ近くなってきたようで、標識には"淡路島"の文字も見えるようになってきた
明石海峡大橋まで来たところで車を一旦止めて車外に降りる
その見晴らしの良さに辺りでは記念撮影をしている人がちらほら見られた
ダッシュボードに使い捨てカメラが残っていたのでセツミを撮ってあげようとする主人公
と、そこでカップルが近づいてきて写真を撮って欲しいと言ってきた
主人公はカップル2人をカメラに収めた後、お返しとセツミと二人で並んで撮ってもらった

しばらく走ってついに淡路島に到着
900kmという距離をメーターが示していた
セツミは車が好きそうだったので主人公は砂浜で操作方法を教えてあげた
おっかびっくりではあったがセツミはハンドルを握って運転してみせた
予想外に運転上手だったため主人公は自分の免許証をセツミにあげた

夜になってから水仙が見える場所まで移動した
車内で一夜を明かし、朝日が昇る頃――――

辺りには満開のナルキッソスが咲き誇っていた
これが"厳密に言っても同じ"だというナルキッソスだった

そろそろセツミの体も限界が来たようだ
もともと3度目の仮退院だったはずなのだからそろそろ死期が近くてもおかしくはない
その証拠に薬を飲んでいるにも拘わらず病状が悪化してきていた
前に強奪した薬も尽きてしまったのでまた買いに行こうとする主人公をセツミは止める
何をしたって助からないことは承知済み
ネガティブなセツミに「少しは前向きになってもいいじゃないかよ」と言うが、前向きになんかなれるはずがなかった
胸に出来た大きな傷の影響で人間としての自由を大幅に失ってしまったセツミ
やりたいこと、また以前に出来たことは途端に出来なくなり未来は一寸先も見えぬ闇に覆われた
したいことは全部空想で済ませた、体で出来ない分それを全部頭の中で行った
知識だけは膨大な量になった、でもそれを実行することは永遠に出来ない
最初から出来ないもの出来ないと分かっていたからこそ、出来なかったときの「あの時頑張っていれば・・・」
言い訳を取っておきたかった
自由を奪われたセツミにとって7Fでもなく家でもない死に場所を求めたのは自分にも自由はある、という最後の反抗だったのかもしれない
セツミは主人公の前で初めて涙を見せた

波打ち際を少し楽しそうに歩くセツミ
いきなりビキニの水着が欲しいと言ってきたが無いものは無いのでタオルで代用して、海辺を歩く彼女を写真に収めた

微笑ましい時間も過ぎ、ついにやってきた
セツミは腕に巻かれた白いビニールの腕輪を主人公に渡すと海に向かって歩き出した
以前は波際で立ち止まった彼女も今度は止まることなく歩いて行く
それが彼女の"答え"だった

こうして主人公にとっては15日間、セツミにとっては22年間の旅が終わった
彼女の多くを語る者は少ない
だが主人公はその中でもとびきり彼女の一面について詳しく知っていた


END






■キャラ

セツミしかいないので割愛






■曲、BGM


挿入歌







BGM



・エメラルドの海
・エメラルドの海 ver.2
・終末の過ごし方より
・ラムネ 79's
・7F
・スカーレット



BGM良すぎるwwwwwwwwwなにこれwwwwwwwww

この6つが特によろしい
世界観と気持ち悪いほどマッチしてて言うことない
独特の雰囲気を醸し出してて感銘を受ける
BGMだけずっとループして聞いていたいくらいの良さ



■シナリオ感想&総合


圧 倒 的 死 生 観


俺大好きこういうのw
死を抱えた人間はどういう物の考え方をするのか?というのがひとつのテーマだと思う
だけど案外「あなたは死にますよ」って告げられてもイマイチ実感が湧かないもんなんだよね
主人公も最初は「は?」って感じだったし
少なくとも体に異常を来すまでは普通の生活を送ろうとするもの
どこか客観的に自分の事を見てしまう
それとは別にセツミは死を完全に受け入れているタイプの人間だったので(これは通院歴が長いからかもしれないが)黙って時間が過ぎるのを待っていた
本当はセツミも死ぬまでの間に色々なことをしたかったんだけど胸の大きな傷がそれを諦めさせた
だからその分、知識だけが増えたセツミとそこへ突然現れた知識は無いが、"足"がある同じ7Fの住人となった主人公
死を享受するセツミと死について考えたくなくて動き回っていた主人公
この対比が素晴らしいね
結果的にはセツミにとって主人公は渡りに船だったってわけだ
二人の病名とかが出てこないのは少し残念だったけどホスピスに入るくらいだから相当な重病であることは間違いない


・作中に出てくる『厳密にいえば・・・』というナルキッソスの違いについて


これはあくまでも俺の想像でただの妄想に過ぎないけど、セツミがテレビに出てくるヤツや花瓶に生けてあるのと"違う"と言ったの人工的であるか自然的であるかの違いではないかと
要は何かしら目に付くところにある花ってのは少なからず人の手が介入しているわけで
でも淡路島にあるナルキッソスはまさに大自然の力のみで咲き誇っている純粋さがある
それがセツミにとっては憧れというか本来なら病院生活なんて送らず元気に生きていたはずなのに・・・という意図があるように感じる
それとも自らの力のみで咲き、誰の手も借りない淡路島のナルキッソスに自分が失くしてしまった自由を見ているのかもしれない
解釈の仕方は人それぞれなのではないかと


同人だと思って侮る無かれ
同人の枠には収まらないシナリオの良さ、立ち絵はないけど文章が立ち絵を補ってくれるほど深い
さらにBGMの雰囲気が出過ぎててテキストともよく絡む


たったの2時間程度で終わってしまうゲームなのになんと考えさせられる内容か
よくこれだけ濃く中身を凝縮させたと思う
あとで調べたらライターの片岡ともって普通に有名な人じゃないですかやだー!
とりあえずこの人の描き方のすごいと思ったところは『言外に膨大な意味を持たせる』ってこと
こういうシナリオだからこそかもしれないけど、とにかく一言一言が"ものすごく重い"
特にセツミの台詞はズシンと心に来る



ボイスありとボイスなしの二種類が選べる
ボイスは後から付け加えたらしい
製作者的にはボイスなしの方がこの作品には合っているとのこと
確かにBGMとテキストだけでも十分なクオリティだとは思った

全世界で100万ダウンロードがされたらしい(ホントかよw)


死生観がメインなのでどうしても暗い話になっちゃうけど個人的にはかなり好みです
ネットの評判がやたらいいのでやってみた次第
最初は「良いのかコレぇ? ちょっと過大評価し過ぎじゃないの~?」という疑念を抱いていたものの、プレイ後には「調子こいてすみませんでしたOTL」と平伏してたwwwwwwww


いやマジでnarcissuにしかない独自的なオーラが琴線に触れました
ていうかこれアニメ化すればいいのに・・・
短いし、一本道だから矛盾も出来ないし1クールぐらいでちょうど綺麗に終わると思うんだけどな


Photo



明石海峡大橋での一枚が印象的です
凄いだろ・・・セツミってこの容姿で22歳なんだぜ・・・


以上






S(神)

Ever17 -the out of infinity-   Steins;Gate   この世の果てで恋を唄う少女YU-NO
BALDR SKY Dive2 "RECORDARE"    WHITE ALBUM2 -introductory chapter-
WHITE ALBUM2 -closing chapter-    家族計画 ~絆箱~

A(優良)

車輪の国、向日葵の少女    G戦場の魔王    装甲悪鬼村正
11eyes -罪と罰と贖いの少女-    素晴らしき日々~不連続存在~
グリザイアの果実    キラ☆キラ    euphoria
BALDR SKY Dive1 "LostMemory"    そして明日の世界より――
真剣で私に恋しなさい!    最果てのイマ    英雄*戦姫       
リトルバスターズ!エクスタシー    あやかしびと
-atled- everlasting song    この青空に約束を―    narcissu←NEW

B(良)

CROSS†CHANNEL    車輪の国、悠久の少年少女   CHAOS;HEAD
俺たちに翼はない    3days -満ちてゆく刻の彼方で-    Rewrite
BALDR SKY DiveX "DREAM WORLD"    天使のいない12月
WHITE ALBUM    輝光翼戦記 銀の刻のコロナ
Sugar's Delight    もしも明日が晴れならば

C(普)

装甲悪鬼村正 邪念編    家族計画 ~そしてまた家族計画を~

D(微)

fortissimo//Akkord:Bsusvier







2ndも終わったのでまた近々感想書きます
関連記事
[ 2013/01/16 ]
ギャルゲ・エロゲ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://hissy00.blog39.fc2.com/tb.php/1943-b3ab20db