最初に言っておく 糞 長 い よ(この記事が) 本家のリトルバスターズから約1年後に発売された18禁+追加
2008年発売、メーカーは知ってのごとくKey
アニメ化するということでプレイ(今更って感じだけどw)
■エクスタシー追加要素 ・各キャラHシーン追加 ・笹瀬川佐々美、二木佳奈多の2名がメインキャラに昇格 ・エクスタシーからの新キャラ、朱鷺戸沙耶追加 ■シナリオ●葉留佳 風紀員からいつも目の敵にされている葉留佳
何故かと言えば、追いかけてきた風紀委員にたいしてビー玉をバラ撒いて転倒させたり、いつも風紀委員に対して喧嘩を売るような真似をしていた
寮生活が大半の学校で葉留佳は何故か家に帰っていた
理樹がその事を疑問に思うも葉留佳は曖昧に誤魔化す
遅刻ばかりしている葉留佳から言い訳として「家が遠いから」と聞かされた理樹は葉留佳の誘いに応じて家に赴くことにする
葉留佳の部屋で会話していると車の音が聞こえて誰かが家に帰ってくる
それを聞くやいなや葉留佳の様子が激変
まるで何かに怯えたように震えるがその場は何とか体裁を取り繕って誤魔化す
帰ってきたのは葉留佳の両親だった
折角だからということで理樹も夕飯を頂くことに
だが食事中の葉留佳の顔は暗かった
廊下で理樹と葉留佳が風紀委員について学校で話している最中に風紀委員のトップ、二木佳奈多が現れる
理樹に忠告、「三枝葉留佳と関わるのはやめなさい」と刺のある冷たい言い方をする
葉留佳は怒って反論するが佳奈多に言い負かされておどおどしてしまう
葉留佳はピリピリした空気に耐えられなくて逃げ出す
葉留佳と佳奈多の間に何か事情があると踏んだ理樹は葉留佳のクラスを訪れようとする
だが葉留佳のクラスがわからない
葉留佳はいつも唐突に理樹達のクラスに現れて風の如く去っていくので聞く暇もなかったのだ
仕方がないので職員室で名簿で確認することにする
教室には居なかったが葉留佳を発見
イライラしている葉留佳だったけど葉留佳のクラスのことについて聞くと気まずいながらも自分のいるクラスを肯定
どうやら授業中以外は自分のクラスには居ない模様
放課後、佳奈多が理樹の前に現れ葉留佳と関わるな、と厳しく言い聞かす
もちろんそれを素直に聞く理樹ではなかった
だが佳奈多は「二人が傷つく前にね」と意味深な台詞を残す
とある放課後、葉留佳がベンチを直そうと理樹を連れ出す
中庭の壊れかけのベンチを金槌と釘で修理しようと言うのだ
実は葉留佳にとってこのベンチは理樹が初めて話しかけてくれたという(理樹は忘れていたが)思い出深いものであり密かに大事にしていた
補修完了、というところでまたもや現れたのは風紀委員の二木佳奈多
なんと他の風紀委員達に命じてそのベンチを叩き割ってしまう
近々新しいものに取り替える予定だったらしい
葉留佳の直したベンチは既に廃棄予定になっていた
あまりにも横暴な佳奈多達にさすがの理樹も怒りを抑え切れない
しかしそこで葉留佳が泣いて理樹を制する
「やはり葉留佳と佳奈多の両者には何かがある」と考えた理樹
その最中に寮長から風紀委員会へ報告書を持って行ってと頼まれる
気が進まない理樹だったが珍しく葉留佳が参加しているということを聞くと顔を出してみる
風紀委員会では素行不良の生徒(主に葉留佳)の話題が取り上げられていた
あまりにも理不尽な風紀委員の連中に葉留佳は抗議する
しかし待ってましたと言わんばかりに葉留佳の前に立ちはだかるのは二木佳奈多
尻込みしながらも虚勢を張る葉留佳
だが完全に言い負かされて「あなたはゴクツブシのロクデナシ、ヤクタタズだものね?」と言われ激怒
机をひっくり返し暴れまくる
佳奈多に今にも突っ掛かろうとしている葉留佳を理樹が何とか取り押さえる
「あいつ、きらい」
「私も嫌いだわ三枝葉留佳」
とことんまで相性の悪い二人だった
夕方、寮の前で佳奈多を発見した理樹
無視して通りすぎようとしたが珍しく佳奈多の方から話しかけてくる
佳奈多は唐突に幸せの定義について語り始める
佳奈多の持論はこうだ
幸せは平等な物だと思う?
幸せは誰にでも等価値であるか?
誰かが幸福になれば誰かが不幸になるゲーム
幸福と不幸が巡り巡ってプラスマイナスゼロになるゲーム
だが理樹はその理論をもとに考えるのなら「世の中には不幸が多すぎる」という
佳奈多もそれには賛同した
しかし理樹にはどうして佳奈多がそんな話をしたのかわからなかった
佳奈多はそれで満足したように去ってしまう
理樹が寮に帰る際に靴箱を開けたら一枚の新聞紙が入っていた
事件は勃発する
何者かはわからないが至る所に三枝葉留佳の父親に関する傷害罪の記事が学校中に蔓延していた
わんわんと泣く葉留佳
理樹は恭介と手分けして学校中から記事を回収した
葉留佳を宥める理樹
ここまで自分を心配してくれる理樹についに葉留佳は自分に纏わる過去を話す
三枝の家には子孫を絶やさないしきたりがあって"一人の女性に対して二人の男性を充てがう"というもの
その際、葉留佳の母親は異父重複受精と言って父親違いの双子で生まれてしまった
そのうち一人が葉留佳、そしてもう一人が佳奈多だった
今回問題になっているのは葉留佳と佳奈多の父親の一人である本家の三枝晶
三枝昌は三枝のしきたりに反対した人物で後から来たもう一人の父親(名前は明かされていない)が気に食わなかったらしい
で、警察沙汰になってしまった
その際、三枝本家はプライドを守るため"三枝昌の娘ではないほうを引き取る"ことにした
だがこの時点で両親達は勘当されておりどちらが三枝晶の娘であり、どちらがそうでないかの判別が出来なくなっていた
そこで二人の娘をあらゆる面で競わせ優れた方が分家の二木へ行くことになり、残った方が汚名の三枝の姓を名乗ることになる
そこで差がハッキリでた
佳奈多は何をするにも葉留佳より優秀だったし聞き分けが良かった
逆に葉留佳は何をするにしても佳奈多には劣っていた
中学生になる頃にはそれは明確になっており、佳奈多が二木、葉留佳が三枝を名乗ることになった
それから葉留佳は三枝達の人間から何も悪くないのに不当な仕打ちを受け続けた
ある日、佳奈多が現在一緒にいる両親達を葉留佳に送り届けてくれた
でも葉留佳にとってそれは佳奈多の嫌がらせにとしか解釈出来なかった
全てにおいて劣っているあなたへのせめてもの情けよ、とばかりに
それから葉留佳は決意した
"あいつ(佳奈多)の嫌がることをとことんまでしてやろう"って
葉留佳が風紀委員に対して悪意があるのも全ては佳奈多への嫌がらせのためだった
佳奈多の評判が貶められれば佳奈多の面目に傷が付くと考えていたのだ
高校生になって毎日毎日佳奈多に嫌がらせをするのが葉留佳の生き甲斐になっていた
全てを理樹に打ち明けた葉留佳
自分の不甲斐なさについに自分を責めてしまう
今にも壊れてしまいそうな葉留佳に理樹は支えになろうと決意
事件の翌日以降から三枝晶の噂は広まってしまい、さらには葉留佳と佳奈多が姉妹であることも伝播していた
佳奈多がまたもや葉留佳に釘を刺しにくる
だが葉留佳は強気だった、まるでどうとでもなれと言わんばかりに
一緒にいた理樹は佳奈多の意図を知りたくて聞く
まるで葉留佳を学園から追いだそうとしているかのような振る舞いをする佳奈多
だが本人は「全くの逆」と言う
まだ理樹には佳奈多の真意が計り知れなかった
週末に再び三枝家に向かうことになった理樹
いつもの食事風景、いつも同じ会話しかしない葉留佳の両親
機械みたいな両親に嫌気が差した葉留佳は出ていってしまう
どんなつまらない会話も『楽しい』と言う両親
楽しくない雰囲気なのに何故無理やりそう言う必要があるのか?
もし葉留佳に対して楽しくないと両親が一言でも言ってしまえば拠り所のない葉留佳の心が壊れてしまうのは明白だった
だから葉留佳の両親は心を痛めながらも楽しいと言い続けていた
葉留佳の両親は葉留佳と一緒にいるだけで幸せ
だが、葉留佳にとってはそうではないのだ
幼い頃から酷い仕打ちを受け、実の親達ともあえず、ましてや今の父親が本当に自分の父親なのかわからない
そんな状況で両親に心を許せるはずもなかった
理樹は提案する
どっちが葉留佳の父親なのか教えてあげればいい
しかし目の前にいる両親たちはそれを否定する
理由はわからないが頑なに否定した、「親だから出来ない」と
苛立ちを感じる理樹だった
意外にも事態は葉留佳の一言から進展する
「私が『ハズレ』だったのか知りたい」
自分を卑下している言い方ではあったが前向きになってくれた葉留佳に理樹は少し安心した
調査を開始することに
戸籍や母子手帳があればわかるかもしれない
早速行動を開始
昼休みに理樹が中庭にいると葉留佳から呼び止められた
かねてより練習していたシフォンケーキがようやく完成したらしい
出来栄えは良くて理樹も満足
次の機会のためにジャムのリクエストもしてお開き
手掛かりがありそうな場所はとことん漁っていく二人
葉留佳の家の押入れからダンボール箱発見
たくさんある書類の山を地道に見ていく
学校にいる間には事件当時の新聞記事を探すことにした
しかし見つかったのは判決日のものだけで、他の記事はすっぽりと抜けていた
あくる日、葉留佳から弁当箱を渡される理樹
感謝しつつ、昼食をいただくことにする
放課後に葉留佳と待ち合わせ
今日は葉留佳が「商店街の本屋で双子の本を探したい」と言うので付き合うことに
異父重複受精について調べるためだ
葉留佳一人で本屋に入っていき、理樹は外で待っていた
そこでお婆さんを脅しているチンピラ風の男を発見する
後に葉留佳もやってきてそのことを伝える
葉留佳は怪訝な顔をした
分かったのは異父重複受精というのは『72時間以内に二人の男性と性交をした際に起こりうる可能性がある』ということだった
ついに葉留佳が"もう一人の父親(三枝晶)"と会う日程が決まったらしい
葉留佳は浮かない顔だったが、手掛かりが得られるかもしれないと判断したので頑張って会いに行こうとする
理樹も付き添ったが結局目的の人物は来なかった
「会わない」と直接電話が来たらしい
三枝晶は本来は今も服役中らしいが仮出所していた
葉留佳は三枝晶とは写真は見たことあるが会ったことはない
今更会いたいとも思っていなかった
会いたくないほど嫌いになっていた
そして商店街を理樹と歩いている時、偶然にも葉留佳は発見してしまう
ベンチでふんぞり返って座っている三枝晶の姿を
ずかずかと歩いていき名前を聞く
男は肯定すらしなかったものの意表を付かれたようだ
「違う」と言うも「違わない」と真っ向から否定する葉留佳
写真で見た顔は鮮明に脳裏に焼き付いていた
間違うはずがない、この男こそがもう一人の父親・・・三枝晶だ
しかし頑ななに否定する男
だが葉留佳という名前を聞いた瞬間顔色を変えた
予想外だったみたいだ
一瞬顔色を変えたもののすぐに元の顔を取り戻し、気分を害したようにベンチを蹴り倒して去っていく
男のあまりの態度に葉留佳はより一層憎しみの色が強くなっていた
帰り際、寮の入り口付近で佳奈多と遭遇
葉留佳はそそくさと去っていき、理樹は佳奈多に父親と会ったことを報告
三枝晶の身元引受人は葉留佳と佳奈多のもう一人の父親と母親になっていたということを佳奈多の口から聞く
佳奈多もいつの間にか以前と比べると物腰が柔らかくなっていた
翌日、葉留佳が昼食を取っている理樹のところに来た
やっと満足のいくシフォンケーキが焼けたそうだ
早速いただくことに
(あれ?前食べたシフォンケーキのほうが上手に出来ていた気がする・・・)
些細な疑問を感じつつも「失敗することもあるよ」と励ました
それよりも調査の方が行き詰っていた
色々と試してみるも一向に手掛かりが得られない
八方塞がりな状況に辟易する葉留佳
理樹がまだもう一人聞いていない人物が残っている、と言う
「佳奈多さんに話を聞いてみようよ」
「嫌」
即座に拒否する葉留佳
佳奈多とだけは絶対に交わりたくないようだ
もはや話すのも嫌になっていたし、一緒の空気を吸うのも嫌というほどの犬猿の仲になりつつあった
佳奈多は駄目っぽいので今度は三枝晶に話を聞いてみようと提案する
先程の強い拒絶ではないがそれも嫌と言う葉留佳
現状を少しでも打開しようとなんとか葉留佳を説き伏せ、理樹も同行して三枝晶と会いに行くことにする
この間と同じ場所にいた男
理樹が早速「あなたは三枝晶ですか?」と聞くもやはり「違う」と強気に言われ、何か他のことを聞こうとすると「帰れ」の一点張り
その時点で葉留佳はもううんざりしていて理樹に帰ろうと催促する
理樹は粘るつもりだったが仕方なく撤退した
今度は理樹単独で佳奈多にコンタクトを取ることに
寮長に佳奈多の居場所を聞くと書類整理をしていた佳奈多がぬっと出てきた
「もう一人の父親に話を聞きたいんだ」と単刀直入に言う理樹
佳奈多には三枝晶との面識もありそうと踏んだからだ
そして佳奈多がついに動く
「条件を飲んでくれたら考えてもいいわ」
条件付きでありながらも今は藁をも掴む思いだった理樹には佳奈多が動いてくれるのには有り難かった
「私と一緒に行くこと」
それが条件だった
理樹はその条件を飲んだ
佳奈多も葉留佳を救いたいという理樹の熱意に心を動かされたのかもしれない
善は急げということで佳奈多は今からすぐに行くと言い出す
あまりの変わり身の早さにびっくりしながらも理樹は付いて行く
三枝晶は佳奈多に「父さん」と呼ばれるなりすぐに「佳奈多か」と認識する
この前、葉留佳が来たことはやはり予想の範疇を超えていたようだ
理樹がまともに三枝晶と話をするために佳奈多も協力するがやはり三枝晶は話そうとしない
「他人話す義理はない」
もっともなことだ
複雑な事情をおいそれと他人に話すなんて真っ当な人間のすることじゃない
三枝晶の言葉は至極当たり前のことだった
だが理樹が「僕にとって大事な葉留佳さんについてだ」と言うと「言ってみろ」と返事が帰ってくる
あなたは三枝晶か?と聞くとやっと肯定してくれた
だが「あなたは三枝葉留佳の父親か?」と聞くともう次には「帰れ」しか出て来なかった
佳奈多が食い下がるも三枝晶は帰れとしか言わない
佳奈多は理樹を残して去っていく
それでも「どっちが本当の親か知りたい」と理樹は食い下がる
だが三枝晶は
「本当がどうとか、知ったって百害あって一利無しだ」と言う
結局、佳奈多がいても詳しい話は聞けずに終わってしまった
誰も本当のことを話すつもりがない、という結論に行き着く
誰も口を割りはしないのだから当然だった
そんなことを中庭のベンチで考えていると葉留佳がやってきた
またこの前と同じくシフォンケーキを焼いてきてくれたようだ
「あれ・・・こないだのよりおいしいね」
「この間?」
「生地がね、ぱさぱさしてたんだ」
「ぱさぱさ?」
引っかかる、何かが引っかかる
その時、フォークが落ちてしまってお互い取ろうとした二人は頭がごちんとぶつけてしまう
葉留佳の髪からはふわりと"ミント"のいい匂いがした
リクエストしたジャムの小袋を持ってきた葉留佳は"右手"で封を切ろうとするが引っ込めてしまった
シフォンケーキは余ったので真人達にも分けてあげることにした
「やっぱり、ここで止めようかな」
不意に葉留佳がそんなことを言い出す
もちろんそれは調査のことだった
もし本当の事を知って"逆"だったとしたら今度は佳奈多が酷い目に遭う、ということになる
それは結局のところ"マイナスを押し付けあっている"ということ
そんなことをしても誰も幸せになれない
葉留佳は今一度理樹に決断を迫る
だが理樹は諦めなかった
むしろ葉留佳のその態度の変わりように違和感を覚えていた
あれだけ知りたいと本人が望んだのに今更その姿勢を崩すなど考えられないことだった
しかも佳奈多のことをまるで擁護するような発言
「きみは・・・誰だ?」
「遅れてごめーん、りきく――――」
向こうからやってきたのは紛れもなく三枝葉留佳
今理樹の隣にいる少女もまた三枝葉留佳
瓜二つの少女が今こうして理樹の目の前にいる・・・
後から来た葉留佳はたじろいでしまう
誰かと聞くも葉留佳は無言
理樹は理解し、同時に疑問を抱く
「どうしてこんなことを!」
それは段々憤りに変わっていく
葉留佳?は無言でその場から立ち去る
雨が、降りだした――――
纏っていたものを全て剥ぎ取ると葉留佳とは似て異なるもう一人の少女の姿があった
葉留佳はついに我慢の限界を超えて怒りを全て目の前の佳奈多にぶつける
葉留佳は佳奈多に卵アレルギーがあると思っていた
しかし佳奈多はそれを聞くなり嘲笑う
それは葉留佳の勝手な思い込みだった
佳奈多は別に卵が駄目なわけではなく、柑橘類が少し苦手な程度だった
「食べたの?あんたのを理樹くんが・・・?」
「食べたわよ。おいしいって言ってくれたわよ。あなたのはまずかったって」
どん底まで堕ちる。ひたすら奈落の底まで葉留佳を貶める佳奈多。その意図はどこにあるというのか・・・
とことんまで葉留佳を貶す佳奈多
葉留佳は佳奈多が卵が苦手だということを勘違いして認識していたため卵を使った料理は佳奈多にはなく、自分だけの取り柄だと思っていた
そう、何もかも佳奈多より劣っていた葉留佳に取って唯一の――――
だがそれも今こうして打ち砕かれた
正体がバレてもなお開き直った佳奈多はひたすら葉留佳を罵倒する
我慢の限界に来た葉留佳は佳奈多に掴みかかろうとするが理樹が取り押さえる
「しんじゃえっ!あんたなんかいなくなっちゃえ!」
感情を抑えることが出来ない
「悲劇のヒロイン気取り?自分だけが不幸だと思っているあなたには反吐が出るわ」
だが佳奈多も負けじと言い返す
葉留佳はハサミで佳奈多を突き刺そうとするが簡単にかわされてしまう
よく見ると切っ先が震えていた
そうまでしてどうして葉留佳を追い詰めるのか、理樹は全くわからずにいた
何か考えがあるはずなのに・・・
だからただ佳奈多を非難することしかできなかった
佳奈多はそのまま去ってしまい、葉留佳は泣き崩れるだけだった
葉留佳を自宅まで送り届けて葉留佳を落ち着かせた後、「両親がどんな気持ちで葉留佳を産んだのか」を聞いてみることを考案する
翌日、葉留佳と一緒に両親に聞きに行くことにした
「私はどうやって生まれてきたの?」
「『どうやって』?『どうして』ではなくて?」
葉留佳の母親はそれで察したようだった
「訊いてくれてありがとう葉留佳」
それからぽつぽつと話し始めた
葉留佳の母親は昔なじみだった二人の男性、三枝晶ともう一人の父親とはどちらも同じくらい親しかった
どちらも好きだった
それは三枝のしきたりで"そういうふうに育てられたから"
それが普通だと思っていた
しかし事が終わった後、何か違うと思い始めた
籠の鳥のような生活の中でそれを教えてくれたのは三枝晶だった
三枝家にいる限り、全ては三枝の手のひらの上で踊らされていることだったのだ
三枝のしがらみから逃れるために3人は夜逃げを決行する
問題はここから
だが葉留佳の母親はこの先は「言えないの」といきなり手のひらを返す
無理矢理葉留佳と佳奈多を産んだわけではない、お互い好きあって産んだことは間違いないとだけ言う
葉留佳にとってそんなことはどうでもよかった、その先が知りたかった
母親曰く、ここからは三枝晶じゃないと話せないという
望まれて生まれてきたことだけは確実とだけ付け添える
「佳奈多に協力を頼みなさい、葉留佳」
信じられないことを言ってきた
つい最近屈辱の上に泥まで塗られた佳奈多に協力するなんてもっての他だ
しかし「二人で協力したらあの人(三枝晶)は話してくれるでしょう」と言う
そうすれば話すという約束のようだ
「絶対に嫌!!」
でもこの先へ進むためには佳奈多と協力するしかない
崖っぷちの一本道を通るような局面
残された手段は佳奈多に協力を仰ぐしかなかった
理樹が説得するも葉留佳は戸惑う
葉留佳は迷っていた
「どうしたらいいの?」
葉留佳はまた"どうして"を使う
そんな葉留佳に理樹はどうすることも出来ない
だって葉留佳のことだから
他人はどれだけいっても所詮は他人
自分のことは自分で決めるしかないのだ
今一度理樹は葉留佳にそれを言い聞かせる
「話・・・してみる」
葉留佳は一歩を踏み出した
佳奈多を見つけるなり理樹は「葉留佳さんが話をしたいと言ってる」と言う
佳奈多も葉留佳からの積極的なアプローチに驚いたようだ
「行かないわよ」と語気を強める
佳奈多も苛立っていた
あれだけコテンパンにしてやったのに今更何が話したいのかと
中庭で待っているとだけ伝えた
行かないと行っていたが佳奈多は緊張気味に来てくれた
何かを期待している目でもあった
「協力して」
葉留佳が動く
「あの人達があんたと協力しろって」
ひたすら言葉を投げかける
「嫌よ」
「どうして」
佳奈多は失望した
「どうしてあなたは"どうして"ばっかなの?その先を考えようとはしないの?」
佳奈多は葉留佳の主体性に期待していたのだ
それなのに葉留佳の言うことは結局「~がどうしろとか」そんなのばかり
「あなたに協力するメリットがない」
とまで言われさすがの葉留佳もウンザリ
佳奈多は踵を返して去った
"少なくとも"来てくれた
希望はまだある
理樹はその後卵アレルギーのことを佳奈多に聞いた
子供の頃作った料理対決で題目が「卵焼き」になった日のこと
佳奈多は味噌汁をあえて作った
それは三枝に対するせめてもの反抗心だったが葉留佳が「どうして卵焼きにしなかったの?」と聞くなり佳奈多は「卵に触れないから」と言い訳したのだ
それがきっかけで葉留佳は佳奈多が卵嫌いだと認識してしまった
だが葉留佳に言わせればその後、佳奈多にアレルギーのある食べ物を無理矢理食べさそうとしたという二木の怒鳴り込みがあって葉留佳が殴られるハメに
葉留佳にとっては踏んだり蹴ったりだ
そこで葉留佳は気付く
悪いのは三枝や二木の人間であって"私達"は悪くない、ということに
自分は悪くない、相手が悪い
果たしてその"相手"とは誰だ?
葉留佳は迷う
その"相手"とは本当に佳奈多なのか?
片割れが悪い、でも実は片割れは悪くない
じゃあ次は誰を憎めばいいの?
憎む対象を見失えば次の対象を求める
そしてその対象が見つけられなかった場合は――――自分に回ってくる
自我が壊れかけてた
葉留佳は誰かを憎むことで己を保っていたのだ
幼い頃からずっと佳奈多を憎んでいたからこそ今まで生きてこられた
そうでなかったらとっくに自滅していたかもしれない
居場所を求めていた
憎悪があるから居場所があった憎悪がなくなりつつある葉留佳に居場所も同時になくなりつつあった
理樹は壊れつつある葉留佳に居場所を提示してあげた
誰も憎む必要はない、これから何をするべきか考えるべきだ。それこそが居場所になると
そして理樹は葉留佳の居場所になると誓った
「協力して」
「・・・」
「協力してください」
「・・・」
ひたすら佳奈多に協力を持ちかける毎日
段々と葉留佳に誠意が込められつつあった
そんな葉留佳に佳奈多は焦り始めていた
母親に言われたからそうしている、と佳奈多は思い込んでいた
しかし今や葉留佳は昔の葉留佳ではなかった
自分の意志で、明確に協力を申し込んでいる
「じゃあ土下座して頼んでみなさいよ」
「お願いします。協力してください」
葉留佳は佳奈多の前で土下座して頼んで見せた
「・・・っ!」
今度は佳奈多が怒る番だった
そこまで真実を知りたいのか?本当は私のほうがハズレだったということを望んでいるのか
憤りの感情をぶちまける
しかし抵抗せず大人しく土下座し続ける葉留佳
「もう、逃げられないもん。逃げてもしょうがないもん。だから、向き合うしかないんだ」
佳奈多に衝撃が走る
何かが折れた瞬間だった
知ってしまえば全てが無くなる。今までの日常が全部無に帰すかもしれない
それでも協力して欲しいのか?と佳奈多は問う
葉留佳は肯定
全てに決着を付ける時が来た
佳奈多は語り出した
親戚たちは何とかしてどちらが三枝晶の娘でそうではないないのかを判断しようとした
三枝晶のカルテを手に入れようとした
しかし三枝晶が拒んだ
結局判断材料を失くした親戚達は佳奈多と葉留佳を競争させて判別しようとした
そんなことをしてもどちらがどちらなのかわからないのに不毛な争いを幼い子供達に強いた
勝負に勝ち続けた佳奈多だったがそれでもハズレの可能性はあったわけだ
勝負に手を抜こうものなら二木の叔父たちの制裁が佳奈多を待っていた
つまり佳奈多も葉留佳と同程度の仕打ちを受けていたのだ
佳奈多は跡継ぎになろうとひたすら努力した
もし、どちらも継嗣にふさわしくないと判断されれば二人とも用済みなるからだった
佳奈多は親戚達に命令されていた
「葉留佳を意識するな。葉留佳という人間を見下せ。葉留佳に優しくなんかするな」と
たった一人の大切な妹に佳奈多はそんなことを肯定出来るはずもなく拒否する
すると「だったらお前が葉留佳になれ」ととんでもないことを言ってきた
佳奈多は頷けなかった。そこで頷けなかった自分が怖かった
それは自分が葉留佳みたいにはなりたくない、というほんの少しの思い
妹を大事に思っているのならばそこでためらうこと無く頷かなければならなかった
そこに罪悪感を感じていたのかもしれない
それも嫌なら「間引くか(ここでの間引くは引き離すという意味。"間引く"には殺すって意味もあってびびったw)」と言われた
葉留佳と離れ離れになるのは嫌だ。だったら言うことを聞くしか無い
だから佳奈多は葉留佳をひたすら罵り続けた
それは悪意があったわけではない、そうしなければいけなかったからだ
だがそんなのは事情を知らない葉留佳側からしてみればただの罵詈雑言にしか聞こえない
そして佳奈多がもっとも悔やんでいたことは親戚たちに逆らえない自分の不甲斐なさ、葉留佳の味方に付く勇気がなかったことだった
だからそんな自分に葉留佳に協力する資格などあるはずもない
「もう・・・いいよ」
今度は葉留佳の番だ
自分だけがいつも辛い目にあっていたと思っていた
自分だけがいつも理不尽な仕打ちを受けていたと思っていた
決してそんなことはなかった
"片方の幸せが片方に寄っていたわけでない"
お互いが不幸だった
生まれからして既に二人は不幸だった
お互いの境遇を初めてお互いに知った時、全ての誤解は解けた
そして理樹も含めた3人で三枝晶の元を訪れる
二人一緒のを見ると柔らかな表情を浮かべた
これなら話してくれそうだ
事件を起こした理由は脱出のためだった
本当は事に及んだ後、三枝晶ともう一人の父親はばっくれるつもりだった
しかし葉留佳と佳奈多の母親をここに置いておくわけにもいくまいと連れ出すことに
でも逃げ出せる保障がなかった
それで事件を起こして少しでも振りかかる火の粉を自分が多めに背負おうとしたのだ
そしてどちらがどちらの父親なのかの理由を伏せていたのは"望み"を持たせるためだった
もしどちらかが判別してしまえばもう一方は酷い中傷を受けることになる
だが"どちらか判別がつかない状況"を作っておけばどちらにも望みが出来る
たとえ今自分が不幸だとしてもひょっとしたら違うかもしれないという希望
それが三枝晶の願いだった
結果的にはそれが二人を苦しめたわけだが
知られないために母親達は転々としていた
収監されていた三枝晶は一切語らずにいた
だから今まで秘密が保持出来た
「幸福になろうとして、全員で不幸になった滑稽な話だ」
三枝晶は自嘲気味に笑った
最後の質問
『どちらがどちらなのか?』
葉留佳は首を振った
それは聞かないという意思表示
葉留佳の疑問はもうそれではなかった
葉留佳が真に知りたかったのは「世界に悪者がいないかどうか」
ただそれだけだった
今まで悪意にしか塗れて生きて来なかった葉留佳にとって悪意以外のものが本当にあるのか?ということが今の葉留佳の問いだった
今三枝晶の話を聞いて悪意がないことがハッキリした
もうそれだけで十分だった
三枝晶にお礼を言って別れた
週末に葉留佳が初めて家族に最初の写真を撮りたいと提案した
みんな快く賛同してくれた
こんな日が来るなんて誰が夢見ただろうか
理樹は緩みつつある表情を隠しきれずにシャッターを切った
そこには満面の少女2人が仲睦まじく写っていた
END
ちょっと葉留佳シナリオ好きすぎて長く書きすぎてんよ~
●小毬 屋上を密かな穴場としている小毬
理樹小毬に誘われるにつれてそれが日常になっていた
屋上でお菓子を食べるのがもはや日課になっていた
小毬はいつも絵本を持ち歩いていた
茶色く色褪せただいぶと古い絵本だ
内容はにわとりはひよこのことを忘れ、ひよこは卵のことを忘れる
しかし最後にはにわとりは卵を見て自分がそこから生まれたのだと思い出す、という哲学的なお話
それは忘れるということを繰り返しているということ
小毬も夢に見るだけでイマイチそれがどういうことを意味しているのか覚えていなかったりする
小毬のお兄さんに纏わる話というのだけは確かなようだ
考えるのは一旦やめにして、小毬がボランティアの話を持ち出す
老人ホームで老人達とお話するようだ
介護経験が無くても大丈夫らしい
理樹も行くことに
正直理樹は経験もなくて不安だったが小毬に元気付けられてなんとかやる気になったようだ
手慣れた様子で気さくに声を掛けていく小毬
理樹も各部屋を掃除しつつ老人たちと会話をしていく
そこで閉まっているドアがあることに気付く
空き部屋かと思って覗いてみるといきなりものすごい剣幕で怒鳴ってくるじいさんがいた
いきなり一喝されびっくりする理樹
名を聞くと小次郎というじいさんらしい
話をしているうちに気に入られたようだ
その後小毬に話を聞くとどうやら小次郎のじいさんは普段滅多に人と会話をしないで引き篭っているらしい
理樹が話出来たのを機に小毬も入室するが出入口で理樹同様一喝され、臆した小毬はすぐさま退散してしまった
いきなり驚かしたら駄目だと小次郎に注意する理樹
小毬という名を口にすると小次郎の表情が少し変わる
昔、小次郎と一緒にいた連れも"こまり"という名前だったようだ
じいさんの本名は神北小次郎
理樹が思考を巡らしているといきなり「あの小娘をわしに近づけるな」と釘を刺される
あの娘と関わりたくないときっぱり言う
理樹が何かを尋ねようとしたが「余計な詮索はするな」と言われその場を後にする
だが神北小次郎、神北小毬、同じ名字を持っているということに既に疑問を感じ始めている理樹だった
小毬は何回もこの場所に来ているが小次郎は一回も会ってくれたことがないそうだ
何か小毬のお兄さんについて聞けるかと思ったがそううまくはいかない模様
「流れ星を見に行きましょう」
発端は学校の屋上
いつものようにお菓子を食べてる小毬が提案してきた
なんか学校の屋上(要は今いるここ)が一番綺麗に見えるらしい
流星群が来るらしい
流星群と聞いて理樹は早速図書館で調べてみるがどうもそれらしいものが見つからない
1998年に突発的に観測されたものがあるらしい
運が良ければ見れるかもしれない程度
で、日程を小毬に確認しにいくといきなり今日見られるとか言い出す
理樹も面食らったようだ
午後10時に学校の屋上へ向かう
暗い校舎をゆっくりと進んでいき、目的の屋上まで二人で行く
あとは待つだけ
だが待てども待てども一向に流れ星はやってこない
小毬がうつらうつらし始めるがなんとか起きてるために理樹とお話をすることにする
理樹が話に気を取られるうちに小毬が「今流れたよ」と言う
運悪く見逃してしまった
理樹は楽しそうな小毬を見て「小毬さんは素敵なことを見つけるのが上手なんだと思う」という
小毬は「あなたの目が、もう少し、ほんのちょっとだけ見えるようになりますように」と妙な願い事をした
そしていきなり童話の話を始める
童話というのは元の話が結構悲しいものだったり、報われないものが多いらしい
それが色々脚色されてハッピーエンドになっているものが多いのも事実のようだ
外国の映画のフランダースの犬は悲しいことは何もない終わり方で最後はネロもパトラッシュもすごく幸せな終わり方をするらしい
小毬はそれを見た時笑ってしまったがそんな結末を小毬は喜んでいた
それは悲しいお話を誰かが救ってあげたってことだから
だからそういう脚色された話が大好きだった
そんな話をしていると理樹にも見えるように流れ星が一筋走った
今度は二人で一緒に見ることが出来たようだ
「マッチ売りの少女って知ってる?」
小毬が今度は有名な童話を持ちかけてきた
理樹は知っているがいつ頃の話かはわからなかった
小毬は大晦日の話だと言う
「私が、絶対好きになれないお話」
何か因縁深いものがありそうだ
翌日の昼、小毬に会うために屋上へ行く理樹
小毬は無防備に寝ていた
やがて目を覚ました小毬がいつも見ている夢を見ていたと言う
理樹がそれについて詳しく聞こうとする
何か"白いひらひらしたもの"がいっぱいある夢だったようだ
夕方、真人がお茶をシーツにお茶をこぼしてしまったらしく、理樹がシーツを干すことに
そこで白くてひらひらしたものに思い当たる
それがいっぱいある場所といえば――――
「病院の、屋上」
小毬のお兄さんの手掛かりを少しでも知るために知恵を振り絞る理樹
どう考えても知っているのはあの小次郎のじいさんだけのようにも見えるが簡単には口を割ってくれない頑固な人だ
もしかしたら夢にだけ出てくる小毬のお兄さんは死んでいるのかもしれない
小毬にそのことを伝えていいのかどうか悩む理樹
だがひょっとするとどこかで頑張って無事に生活しているのかもしれない
小毬の夢にだけ出てくるという不確かな情報で生死を判断してもいいのか?
悩みどころだった
もしかしたら全てが嘘かもしれないし、本当かもしれない
難しい局面であった
屋上でお兄さんに会ってみたいということを小毬に再確認する理樹
小毬は夢から覚めた後、何回も反芻してお兄さんのことを思い出しているようだ
探す手掛かりも夢だけじゃ心許ないと思いつつも、「もうこの世にはいないかもしれない」なんて理樹には口が裂けても言えなかった
放課後理樹はまた小次郎がいる老人ホームへと足を運んだ
小次郎に小毬のお兄さんのことを尋ねる
"神北"という名字はそんなに多くはない
だから絶対に何か関係があると踏んだのだ
病院に関係があることかと尋ねると、小次郎はここのことだという
どこまで知っているか理樹に尋ねる小次郎
まだ全然知らない理樹に小次郎は言う
「ただの親切心のつもりならば、それ以上関わるな」と
理樹が考えていることは小次郎の言わせれば恐らく的中しているらしい
そしてそのことは小毬には伝えないで欲しいと小次郎は言う
お兄さんがまだどこかで生きていると思っている小毬にとって事実を伝えることはただ小毬を悲しませることになるだけだからだ
屋上でまたもや小毬からお誘いを受ける理樹
湖に行こうとのこと
そこには小毬の思い出があるらしい
当日、電車で少し遠出することになった
目的の駅に着く
小毬は昔はこの辺りに住んでいたらしい
湖に到着
ボートに二人で乗る
そこで理樹は話を切り出す
もしお兄さんのことを思い出しても会えなかった意味がないんじゃ・・・と
でも小毬は意味はあると言う
亡くしものを取り戻したい、それだけだ
「見つからないならさ、見つけなくていいんじゃないかな」
理樹はそういう結論を出す
無理に見つけ出すようりは思い出にしまって美化してしまったほうが良い
理樹は小毬にそう勧める
翌日、雨が降っていつもの屋上に行けなくなった理樹と小毬
仕方なく教室で昼食を食べることにした
放課後になってもまだ降り続いていて今日のリトルバスターズの野球練習は中止になった
そこで小毬と理樹は適当に遊びに行くことに
帰り道、不意に理樹が息絶えた子猫を発見する
小毬にそれを見せるや否や状況が一変する
いきなり小毬が泣き崩れてしまう
そして小毬の心の何かが壊れてしまった
このままではいけないと思い、寮に連れ込む理樹
真人も異常事態を察知してくれたようだ
いつもの元気な表情とは裏腹にうつろな瞳
何かに怯えるように佇んでいる
唐突に小毬がはっきりした口調で喋り始める
「ぜんぶ・・・思い出した」
あの猫の死骸を見た瞬間に何かが小毬の中で弾けたようだ
小毬は少しずつ当時の出来事を教えてくれた
小毬のお兄さんの名前は神北拓也といい、八歳も離れていた
小毬が幼稚園の年中組に上がった頃にお兄さんは血を吐いた
自分が血を吐いているのに泣き叫ぶ小毬のことを心配するお兄さん
小毬のお兄さんは自分よりも他人に気を使うタイプの人間だった
小毬もそれを多少なりとも受け継いでいる
血を吐いてから検査の日々
お兄さんの病状も最初の頃はまだマシで小毬をよく病院の屋上に連れ出していた
そこには大量のシーツが干されていた
小毬が年長組になった頃お兄さんはあまり歩き回らなくなっていた
その動けないお兄さんが小毬に読んであげた本が童話のマッチ売りの少女
そこで死という概念を幼いながらも小毬は理解したようだ
それから死というものがある作品をお兄さんは避けるようになった
またそれだけではなく出来れば自分で独自に作り上げた作品を読んで聞かせるようになった
小毬が小学生になったあたりにお兄さんは一冊の本を制作していた
もうその時にはかなり体調が悪くなっていたみたいでその一冊が限界だったらしい
その一冊を小毬は大事に大事にしていた
それがぺんぎんさんのお話
お星様の国まで旅をするペンギンのお話
雨の日、小毬がびしょ濡れになりながら病室に駆け込んできた
途中で転んだらしく手にはドロドロの絵本
拓也は小毬のために再び新しい本を作ることにした
出来上がったのは3ヶ月先の事だった
その本がにわとりとひよこのお話だった
それ以降、お兄さんが小毬に対して反応することが少なくなってきた
ほとんど寝たきり状態になっていた
ある夜、拓也が屋上に行こうと困りにいう
流れ星を見ようと提案した
でも小毬は流れ星は嫌だった
マッチ売りの絵本の通りだとするとそれはとても悲しいことだから
悲しいことなんてない、と拓也は言う
「次に目を覚ましたとき、小毬の前にいないかもしれない」
だけど小毬の側にいつも居続ける
そういう夢にしてしまえばいい
居なかったことは忘れて全部夢にしてしまえばいい
それが小毬のスイッチが入った瞬間だった
小毬はお兄さんの言葉を信じてきたからそれが嘘か本当かわからなかった
だが成長した今になってそれを思い出してしまえば自ずと答えは出てしまう
お兄さんはとっくの昔に亡くなっていた
それを知った理樹は小毬に何をしてあげられるのか
このまま気付かないふりをすることも可能だ
しかし本当に小毬を救うためには真正面から向き合わなければならない
小毬がお兄さん死を受け止め乗り越えるしかない
それからの小毬は覇気が失われ、理樹依存症になってしまった
理樹が居ないと落ち着かなくてすぐに泣き出してしまう
解決策が見当たらないまま、時間が過ぎていく
精神崩壊を起こしてしまった小毬はあろうことか理樹のことを「お兄ちゃん」と呼んで勘違いしてしまう
理樹がお兄ちゃんじゃないと言うも、小毬はお兄ちゃんと言うことをやめない
理樹にお兄ちゃんの幻影を見ているようだ
進退窮まった理樹はどうしようもなく慌てる
小次郎を頼るしか他にはアテがなかった
今の小毬の状態を伝える
トリガーとなっているのは"血"か"何かの死"
そのどちらかを見ると小毬はフラッシュバック現象を引き起こしてしまい、兄と過ごしていた頃と現実を混同し始める
そして段々とそのことを忘れていく
今までもこういうことは何度かあったようだ
小次郎の連れの"こまり"も同じような症状だった
名前だけでなく状況までもがそっくりだったのだ
小次郎には兄がいてこまりはその兄が好きだった
そのとき小次郎が取った手段は拓也と同じように兄になりすますことだった
束の間ではあったがなりすますことで平穏を取り戻すことが出来た
しかし、それは根本的な解決にはならなかった
フラッシュバックを引き起こす度に心をどんどんすり減らす
こまりが死ぬ3日前だけは小次郎を小次郎と認めたらしい
だが小次郎もこまりを救うことが出来なかった
小次郎が小毬を近付けない理由は小次郎が老い先がそれほど長くはないと判断したからだ
小次郎が死んだところを小毬に見られるようなことがあればまた同じような状態に陥る
だから避けていた
小次郎は逃げた
じゃあ理樹はどうする?小次郎と同じように逃げて兄の演技を続けるのか?
理樹はこんな連鎖を断ち切るために何か別の方法が無いかと模索する
小次郎は力の去り際に一枚の紙切れを渡す
神北拓也のお墓がある場所だった
理樹は拓也のお墓を見ながらどうすればいいかを考える
もし拓也がこの場にいたら小毬にしてやれることはなんだろうか・・・
それを思いついただけでも大きな収穫だった
寮に帰った理樹は小毬が部屋に残していった拓也が描いた絵本を読んでみた
読んでみると拓也の伝えたかったことがなんとなくだが理樹にはわかったような気がした
本当に悲しいだけのお話をお兄さんが書くはずがない
にわとりはひよこのことを忘れ、ひよこは卵のことを忘れる。でも最後にはにわとりは卵だったことを思い出している
理樹は拓也の伝えたかったことを自分なりに解釈して絵本を作り上げることを決意
拓也の絵とは雲泥の差で下手くそなのは自覚していたが何回も何回も描き直して仕上げていく
完成品を比べて見ると明らかに拓也の絵とは別物だったがそれでも思いが伝わればいい
屋上に小毬を呼び出して「もう逃げるのはやめよう」と伝える
小毬は相変わらずお兄ちゃんと呼んでくる
お兄さんが居ないことを明確に伝える理樹
小毬は行き場を失う
心の拠り所を失った小毬に理樹はお手製の絵本を握らせる
拓也の伝えたかったことはこうだ
幼少の頃はどれだけ嫌なことがあってもそれを忘れてなかったことにしてもいい。でも成長して大人になったらその嫌なことを少しづつでもいいから受け止めて強く生き抜いていって欲しい
理樹は拓也の思いを小毬にわかりやすく絵本にしてあげた
今、小毬に理樹と拓也の二人の思いが伝わった
小毬は自然と元の状態に戻っていった
理樹を理樹と認識したようだ
それから小毬は理樹に「会わせたい人がいる」と言われ一緒に出かけた
小毬の手には理樹が一生懸命作った絵本が肌身離さず握られていた
最後のページが空白だったので小毬が書き足していた
げんそうのおばあさんはやがてきえてしまって、しょうじょはひとりになってしまったけど。
それでも、しょうじょはいろんなしあわせをみつけて、しあわせにくらしましたとさ
END
短くしようと思ったのにいつの間にか長くなってんよ~www
●美魚 リトルバスターズのメンバーで野球の練習をしていた時、ボールが中庭に飛んでいって理樹が拾いに行ったとき樹の下で本を読んでいた美魚
偶然にも飛んできたボールが美魚に当たってしまい理樹が謝るところから美魚とのコンタクトが出来た
美魚はいつも一人でいた
一人でいることが好きだったようだ
でも理樹が美魚を誘ったことからマネージャーとしてだがリトルバスターズのメンバーに加わってくれた
本人も結構気に入っているようだ
美魚は無類の本好きで特に大事にしていた本があった
短歌集だ
いつも肌身離さず持ち歩いてる美魚
ある日、それが本人の知らない間になくなってしまう
理樹は協力して見つけてあげる
見つかった時、美魚は心底安堵した表情を浮かべた
よほど大事な物だったのだろう
そして理樹はその短歌集を見せて貰うことにした
一部のページだけ頻繁に開かれているページを発見する
そのページには
白鳥は哀しからずや空の青
うみのあをにも染まず
ただよふ
とか書かれた
美魚はこの歌に特別な意味を見出しているらしい
理樹には何のことかはさっぱりだったが
そんなある日、恭介が短歌コンクールがあるので応募してみないかと提案してきた
リトルバスターズの面子も参加したが碌なものが出来なかった
理樹は美魚と協力して応募するためにネタを探しまわる
恭介が町に繰り出すことになった
理樹も同行する
夕方の帰り道、美魚を発見した理樹
だが雰囲気が少し違ったようだ
翌日、美魚に昨日のことを聞いてみる
しかし美魚は出かけていないと言う
理樹は違和感の正体に気付いた
体が弱いということでいつも日傘を差している美魚が日傘を持っていなかったのだ
美魚はその人物に対して疑問を抱く
そして普段よりも積極的に理樹に詰め寄る
私とどこか違うところはなかったか?と
理樹は「西園さんが見せたことのない笑顔をしていたよ」と答える
それを聞いた美魚は少し憂いた
放課後再び短歌ネタを探すために外に出かけることにする二人
河川敷の下で美魚は意味深な台詞を口にする
「私にも子供の頃、大切な子がいました。いつかはわかりませんがそう遠くない未来に再会するでしょう」と
美魚はその子に会いたがっていた
翌日、美魚が学校を欠席した
理樹は昨日の河川敷で美魚がくしゃみをしていたから風を引いたのだと思い込んでいた
しかし理樹はそこに漠然とした不安を覚えてしまう
基本的に友達が少なく、いつもいないような扱いをされている美魚
欠席したからと言って他のみんなからも全く気にされない
意識しているのは理樹だけのようだ
それが切欠で何かが始まってしまうのではないか
そこで一人の男子生徒が遅刻して登校してきた
意外な話を理樹は聞くことになる
その生徒によると外で美魚を見かけたという
でも「傘をしてなかった」とのこと
美魚がサボりなとどは考えにくかった
他人の見間違えじゃないのかと考えたかったが、その傘を差していない"美魚に似た誰か"は理樹も自分の目で目撃しているだけあって不安は募るばかりだ
夕方に美魚に会いに行く
やっぱり今日は一日寝ていたようだ
美魚を見た人がいる、という話を持ち出すと美魚は見間違いだと言った
そして美魚は一緒に行きたい場所があると言って、明日の朝に理樹に迎えに来るように頼んだ
どうやら今日が短歌コンクールの締め切り日だったようだ
あの夕焼けの河川敷で美魚は何かを感じ取ったようだ
何気ない風景でも見ている人間それぞれで感じ方が違う
いつも一人でこの世の風景を見ている美魚
だがあの日は隣に理樹がいた
一人で見る景色よりも二人で見る景色に感じ方の違いを抱いた美魚
普段なら意味を見出さないはずの美魚があの時は意味を見出した
そして短歌は理樹と自分の二人で作ったものだと言う
内容は・・・見せてもらえなかった
とりあえず無事提出完了
発表は来週の水曜日になるらしい
休日、理樹は美魚の部屋にお邪魔することになった
面白そうな本を美魚から借りようとする
しかし美魚は何故か浮かない顔だ
そして"私自身"とも言える一番大切な短歌集の本を理樹に持っていて欲しいと渡す
理樹は肌身離さず持っていた美魚の大事な本を受け取るのは躊躇したが美魚の強い意志を感じ取って持つことにする
それから二人は商店街に出かけた
本屋を発見すると飛びつくように駆けていく美魚
新刊が発売されていたので目をキラキラさせている
本当に本が好きなようだ
しばらく本屋を堪能した後、美魚は一緒に行きたい場所があると行って理樹を連れ出す
海だった
「ここは、終わりの始まる場所ですから」
謎掛けのような台詞を吐く美魚
波打ち際に行き、手のひらで水を掬っては流れ落とす行為を繰り返す
美魚がこちらに振り返った
まるで消えてしまいそうな儚そうな顔をしていた
風が、吹いた
一瞬砂が目に入り、顔をしかめる理樹
たったそれだけの動作の間に、一瞬美魚が消えたような気がした
「一見ありえないことでも必ずそこには理由があるんです」
美魚の言うことはやはりよくわからない
理樹は今にもどこかへ行ってしまいそうな美魚の手を強く握った
美魚も握り返してくれた
そのまま二人は浜辺でのんびりと雑談をしながら過ごした
帰り際、
「"最後"にあなたとこの場所にこれて良かったです」
いきなり別れのような言葉を口にする美魚
終わりはいつだって海から始まる
私は白鳥(しらとり)みたいになりたかった
彼女のように孤独で、気高く、美しく、誰とも交わらない存在に
そう願っていた
「この二週間あまり、楽しかった。でもそれも今日でおしまいです」
「やっと会えた」
聞こえたのは別の声
今この場所にいるのは美魚と理樹だけのはず
いつのまにかその少女は海を背にして立っていた
「初めまして、じゃないか。一度会ってるよね?理樹君」
この少女こそが理樹が商店街で見かけたという美魚によく似た少女
「美鳥」
美魚はその少女を美鳥と言った
久しぶりの再会だが理樹に対して背を向けている美魚の表情は窺い知れない
「お別れの挨拶は終わった?」
「・・・はい」
理樹の及ぶ範囲じゃないところで話が進んでいく
全く理解が出来ない
この突如現れた美鳥という少女は何者なのか
美魚がどこに行くのか尋ねる理樹
でも美魚は「直枝さんには関係ありません」と言って回答を拒否する
美鳥はすぐ"西園さん"は戻ってくるという
美魚という人間と美鳥という人間
並べてみて初めてわかる間違い探し
単独では気付かないことでもこうして近くで見ることで違いはハッキリとわかる
比べてみると明らかに違う、何もかもが違う
でも、ふたりはどうしようもなく同じに映る
まるで鏡像のように
「ねぇ、美魚。いつまで日傘差しているつもりなのかな?理樹君には知られたくないのかな?」
そして美鳥が美魚の近くに寄るとずっと感じていた違和感の正体が明確になる
影だ
夕日を背にしているということは理樹の前には影が伸びていないとおかしい
だが美鳥の頭の部分だけは影がない。露出している部分にも影がなかった
さらに美鳥は美魚の手から日傘を取っ払い、美魚の影を夕日の下に晒す
美魚にも顔の部分の影がなかった
これが美魚と美鳥の二人の秘密だった
そのショックかどうかはわからないが理樹は持病のナルコレプシーで倒れてしまう
理樹が目覚めたのは寮のベッドだった
真人に聞くと「"西園"がここまで運んでくれた」らしい
翌日から理樹はリトルバスターズのメンバーたちと昼食や行動を共にした
何気ない日常が過ぎていく
なにか、忘れている気がする――――
鞄の奥に入っていた本を何気なく開いてみる
読み癖のついたページを開いてみると
白鳥は哀しからずや空の青
うみのあをにも染まず
ただよふ
その歌を見てようやく気付いた
どうしてあんなに大事な彼女を忘れていたのだろう
学校に来ていなかったことも今更思い出した
謙吾や真人に聞いてみるも美魚が学校に来ていたかどうかの記憶があやふやになっていた
苛立ちを感じる矢先に――――
「おはよー」
快活な声が聞こえてきた
みんながその少女を"西園美魚"と認識する中、理樹だけは明確に彼女が"美鳥"であることを知っていた
明らかに別人だというのにまるでそこにいるのが当たり前のような感じで美鳥は溶け込んでいた
他の生徒達も全く異を唱えることがない
異常に気付いているのは理樹だけだ
しかし今目の前にある景色は『現実』だ
現実がここにあるというのに前は違っていたとどうして言い切ることが出来るのだろう
記憶なんて曖昧なものだ
理樹はそんな風に感じ始めていた
だがそんな考えを否定する。美魚は確かにいた。今いるあの美鳥という少女は少し前までは美魚だった。それだけは絶対に間違いない。だがそれを証明するものがない。だって周りの誰もが"美鳥"を"西園美魚"だと認識しているのだから。人間というものは大多数の人間が肯定する事柄において自分だけが異を唱えるとなるとその意見は酷く不確かなものになりがちだ。今まさに理樹が遭遇している状況はそういうものだった
そんな中、中庭にいた鈴が興味深いことを言う
「なにかが違う。あたしが知っている美魚は一緒にいると楽しい子だ。みどりって子は知らない」
だが鈴も今いる美鳥が美魚ということは否定しておらず、結局のところ明確な手掛かりは得られない
「もし、今いる西園さんが前の西園さんとは別人だと言ったら、鈴は信じる?」
「それは信じない。あたしは覚えている。みおと一緒に野球をしたこと、一緒に遊んだこと。そのみおがみおじゃないとしたら、"あたしは自分の記憶を疑わなければいけなくなる"」
理樹にはその言葉が辛かった
本当に理樹にしか違和感がないのだ
他のみんなにはもう"刷り込まれている"
みんなが間違っていて、理樹だけが正しいのだとしたら
それはみんなが正しくて理樹だけが間違っているのと同じ事だ
戸惑っている理樹に美鳥が接触してくる
美鳥は自分のことを理樹に美魚と呼んで欲しいと言う
だがそれだけは絶対にしてはならない
もし美鳥を美魚と呼んでしまった場合、"美鳥が西園美魚になってしまう"からだ
美鳥は記憶の曖昧さというのを理樹に思い知らしめる
一週間前夕飯に何食べた?
これは案外覚えていそうで実に朧げな質問だ
思い出したとしても他人に違うと言われてしまえば、"そうだったかもしれない"で片付けられてしまう
美鳥はそういう面から理樹を責めてきた
「じゃあ美魚がどんな眼鏡掛けていたか知ってる?」
「西園さんは眼鏡を掛けていなかった」
とは言うものの、美魚が眼鏡を掛けていたシーンを思い出す理樹
「どうして忘れていたんだろう。西園さんは確かに眼鏡をしていたのに」
「本当に美魚は眼鏡を掛けていた?」
段々頭が混乱してくる理樹
記憶の曖昧さを痛感する
もちろん美魚は眼鏡など掛けていなかった
でも理樹は完全に美鳥の思惑にハマりつつあった
それからも美鳥は美魚と同じように振る舞う
理樹は何とかして美鳥を美魚と混同しないように理性を保ち続けていた
頼れる恭介に相談してもみんなと同じ反応だった
だが恭介は理樹の背中を押してくれる
「お前はお前を信じろ。俺たちの言葉に頼るな」
理樹は美魚のことを忘れないようにひたすら美魚が好きだった歌を音読し続ける
学校でとある教室の前を通りかかかる
そこで理樹気付いた
とても重要なことを失念していた
以前美魚が提出した短歌コンクールの作品の展示
もうとっくの前に発表されていて、今まさに片付けられようとしていた
少しだけでもいいから見せてもらうことに
きっとそこには美魚が残した何かしらのメッセージがあるはずだ
美魚の作品は目立たないところにひっそりと飾られていた
風に乗り 白い翼で 君と行く
青の狭間の
常の島
あの日、何気ない美魚との会話は美魚にとってはとても印象深かったらしい
話した内容をほぼそのままに歌にしていた
もう迷わない、確かに西園美魚はいたんだ
もしもう一度美魚に会えるとしたらあそこしかない
美魚と別れた海に向かう
そして彼女は姿を現した
美魚は美鳥が『西園美魚』になることを別に悪いとは思っていなかった
それでもそうなってしまった時、西園美魚はそこにはいない
理樹は美魚を何とか引きとめようとするが美魚にはまだ届かない
美魚は白鳥になりたいと言っていた
孤独を心から願っているのだ
西園美魚という名から自由になりたい、それが美魚の望みだった
美鳥は美魚が失くした影、大切な妹らしい
美魚は自分と美鳥の過去について話し始めた
幼い頃、美魚は絵本の登場人物になりきってごっこ遊びをするのが好きだった
ある日、白雪姫ごっこをしていた時、鏡に向かって定番の台詞を言った
すると鏡から別の声が聞こえてきた
それが美鳥の誕生だった
目の前には自分がもう一人いた
それから美魚の生活は格段と楽しくなった
一人よりも二人、美鳥と一緒にごっこ遊びをするのが日課になっていた
だがそんな美魚を見兼ねた美魚の両親が美魚を病院へ連れていく
もちろん、"美鳥"なんて存在が見えるのは美魚だけ
そしてそれは周りの人間からしてみれば一人で誰かと喋っている異様な光景だった
病院で治療を受けるにつれて美鳥に会える機会が減っていくことになっていく
そして最初から美鳥なんて子はいなかったんだ、と美魚は段々思うようになっていた
病院に通い始めてから半年
「ねぇ美魚ちゃん。美鳥は今どこにいるの?」
「そんな子は知らない」
それ以来美魚は美鳥を忘れた
しかし唐突に思い出してしまう日がくる
それがあの歌
白鳥は哀しからずや空の青
うみのあをにも染まず
ただよふ
学校の授業でこの歌を聞いた時、美魚は卒倒してしまい同時に美鳥のことを再び思い出した
海と空の狭間でひとりぼっちに漂う白鳥
それが美鳥の事でなくて、他の誰の事だというのだろうか
保健室で目が覚めた時、一羽の鳥が側から飛び立つのが聞こえた
それが自分の大切な一部を失ったことなのだと
その日から美魚は自分の影を失った
美魚は美鳥を忘れてたことに罪悪感を持っていたのだ
だから美鳥に会って美鳥の代わりになりたかった
そして海と空の狭間にある場所こそが美魚が真に望む場所だった
後は理樹が美魚のことを忘れてくれさえすればその場所に行ける
理樹は行ってしまいそうになる美魚を必死で引き止める
人は誰しもが孤独だ
孤独である以上交わることはないのかもしれない
しかし孤独である故に、他人を求めるというのもまた事実
美魚が必要だということをぶつける理樹
でも美魚と美鳥の願望は一致していた
美魚は忘れられたくて、美鳥はこちらの世界で過ごしたいと願っている
見事に合致していた
もし美魚のことを理樹が覚え続けようとするのならば、また美鳥は忘れられてしまう
美魚はそれを許さない
どちらかを選べばどちらかが消える
苦渋であった
美魚はそのまま何処へ消えてしまう
為す術もなく泣き崩れる理樹
そこで携帯に着信が
電話を掛けてきたのは美鳥だった
「泣いてないでやるべことがあるでしょう? お姉ちゃんのところに行かなきゃ。」
なんと美鳥は最後の最後理樹に味方をしてくれた
美魚をこの世界に取り戻すために
美鳥はこの世界から消える
未練はまだまだありそうだった
だから理樹は美魚を忘れなかったように今度は美鳥のことも忘れないと誓う
勝手な言い草だが美鳥も嬉しそうだった
「理樹君は、あたしたちの"あを"なんだからっ」
美魚を連れ戻すために海に果敢に入っていく理樹
どれくらい進んだのだろう?そろそろ体の限界だった
理樹の体が沈んでいく
一方、美鳥と美魚は再び出会っていた
美魚は今までのことを美鳥に謝り、美鳥はそのことを気にはせず美魚に感謝をした
そして美魚に影を返すといった
もう二人は会うこともないだろう
しかし美魚の中で美鳥は生き続ける
沈んでいく理樹を美魚と美鳥は引き上げた
理樹が目を覚ますとそこにはれっきとした"美魚"がいた
意識を失っていた理樹を人工呼吸をして助けてくれた
そこで理樹と美魚は今一度想いを伝え合う
帰宅途中の夕焼け道、美魚の影は真っ直ぐに伸びていた
無事帰ってきた美魚はまた前と同じようにお気に入りの樹の下で理樹と戯れるのだった
END
●クドリャフカ 容姿は明らかに外国人っぽいのにいざ話してみるとバリバリの日本人というちょっと変わった子
家庭の事情が少し複雑で両親が忙しかったのでクドリャフカはお爺さんに預けられた
お爺さんは商社の仕事をしていたので幼い頃からクドリャフカはあちらこちら国を転々としていた
その中でも一番長くいた国がテヴアというところ
地図などにもほとんど載っていない南の島国のようだ
クドリャフカは二重国籍保持者で、生まれのテヴアと親に由来する日本の二つの国籍を同時に持っていた
クドリャフカのお爺さんはルースキィと言って、テヴアとロシア国籍の二つを持っている
クドリャフカは本来ロシア国籍を持っていてもおかしくはなさそうなものだが、お爺さんの計らいでロシアには全く行ったことがなかったし、知らない国だった
だからクドリャフカにはロシア語は片言でしか話せなかった
家族のほぼ全員が二重国籍者であり、一番シンプルなのは日本人のみの国籍しか持っていないお婆さんだけだった
翌日、理樹はテヴアという国について図書館で調べて見ることにする
色々と曰くつきの国であり、政情不安定、宗教なども入り交じっている国のようだ
公用語はロシア語・英語・キリバス系テヴア語となっている
この三つの言語ではクドリャフカは喋れそうにない
故郷の国でどうやって生活していたのか理樹は疑問に思った
英語の時間、クドリャフカが先生に当てられる
日本語しかまともに話せず、英語は苦手なクドリャフカは所々詰まってしまう
それもいつものことになっていた
学食でもその容姿に似合わぬ日本語の上手さで三年生達にからかわれてしまう
それは明らかにバカにしている風ではあったが、クドリャフカは「悪気はないのです」という
誰だって変なものを見つければ話のネタにしたくなるものだと
クドリャフカは優しすぎた。悪意を悪意とは思わないようにしていた
しかしその表情は決して心から笑っているようには見えなかった
クドリャフカは容姿と立ち居振る舞いを一致させようと努力していた
日常会話の中でも拙いながら積極的に英語を使い、英語が苦手なのを克服しようとしたが中々上手くいかなかった
実力テストの勉強をしていた時、理樹はとある絵本を見つける
内容は、あるところに鳥と獣が住んでいる村があった。どっちかすごいかという他愛も無い理由で二者は喧嘩を始めてしまう。蝙蝠はどっちについていいのかわからない。同じ気持ちだったカモノハシと一緒に暗い洞窟に住んでいた。このままでは鳥と獣、どちらにも嫌われてしまうかもしれないとカモノハシは憂いていた。そこで蝙蝠が喧嘩の仲裁をするために鳥と獣の間を行き来する。仲裁は鳥と獣の両者から嫌われてことと引換に成功した。嫌われてしまった理由はどっちつかずとして行き来していたため、鳥と獣の両者から裏切り者扱いされてしまったからだ。カモノハシのために一役買って出た蝙蝠。カモノハシは申し訳なく思ったが蝙蝠はそれでよさそうだった。
クドリャフカはその蝙蝠が好きだった
ちなみにこの絵本は小毬の落し物だったらしい
HRが終わった後、理樹にクラスの女子が話しかけてきた
クドリャフカと最近一緒に勉強している理樹
クラスの女子が面白半分で「クドリャフカが英語で赤点を取るか取らないか」という題目で賭け事をしているらしい
さすがの理樹も険しい顔になる
不快になった理樹は教室から出ようとした
そこでクドリャフカがドアを開けようとした姿のまま固まっていた
自分と一緒にいることで理樹が笑われる。自分の事はいい、だが理樹が笑われるのは嫌
とことんまで自分に厳しく、他人に甘いクドリャフカだった
しかしクドリャフカが酷く落ち込むのは理樹が一緒にいた時だけ
今更ながら理樹はクドリャフカの好意に気付いたのだった
それから実力テストに望むクドリャフカ
理樹と頑張って勉強した甲斐もあって見事赤点は回避してみせた
早朝に理樹はクドリャフカからメールで中庭に呼び出される
クドリャフカは何やらボウルを持ってきていた
お互いの体に紋様を書くおまじないをすると言い出す
この風習は"誕生日のある週かつ、『自分の好きな人』"じゃないと駄目らしい
クドリャフカの故郷のテヴアではこの儀式?で告白の意味を持つ
古代からの由来で大切なものには紋を書くようになったようだ
クドリャフカは母親から教えてもらった、エフトゥシェンコの詩を歌いながら理樹の体に紋様を描いていく
それは春の夜も夏の夜も自分のことを想って欲しいという意味だった
クドリャフカは歯車が捻れたような紋様を描いた
「世界の良き歯車となれ」、母親が教えてくれた紋様
まだクドリャフカには意味がわからずにいた
クドリャフカが描き終わると今度は理樹もクドリャフカの体に自分で思いついた紋を描いた
翌日、学食のテレビニュースでテヴア共和国航空宇宙局の事が放送されると理樹が挨拶をしても聞こえていないかのように釘付けになっているクドリャフカ
よほど関心があるようだ
ロケット打ち上げの内容で、墨色髪の綺麗な女性が流暢な英語で解説をしている
なんとその女性はクドリャフカの母親らしい
いともあっさり答えるクドリャフカ
仕事でいつも忙しいらしいからクドリャフカも見るのは久しぶりのようだ
しかしそのニュースを見た後からクドリャフカは元気をなくしてしまう
心の整理がついたら話すと理樹に言う
学食でまたもニュースにテヴアのことが映された
どうやらロケットの打ち上げが決まったらしい
クドリャフカはそれを見ながらかなりのショックを受けていた
ぼーっとしていたところに理樹が声をかける
ニュース番組が終わるまでクドは動かなかった
家庭科部の部室でクドは奇妙なことを言う
夢を見ている、そして何かとても重要なことを忘れている、と
しかしそれが何なのかはわからない
クドリャフカは自分の過去の事を話出した
母親は宇宙飛行士で、幼い頃からほとんど会っていない、父親も同じく
クドリャフカはお爺さんに預けられ、英語ではなくて日本語を教えられた
母親の手紙英語でクドリャフカには全然読めなかった
久しぶりに再会しても長くは一緒に過ごせなかった
でもクドリャフカは母親に憧憬を抱いており、将来自分も宇宙飛行士になりたかった
宇宙飛行士になるためには英語とロシア語を喋れなくてはならない
クドリャフカが必死に英語を勉強していた訳は将来のため、自分の夢のためだった
しかし実際の育ての親でもあるクドリャフカのお爺さんはクドリャフカの母親の仕事には反対していた
お爺さんの軍属時代からの付き合いだった友人が消息不明になったからだそうだ
だからお爺さんは本当はクドリャフカが母の後を継ぐのが好ましくはないと思っていた
出来るだけクドリャフカからその手の話題を避けさせた
別にいじわるをしたわけではなく、クドリャフカの身を案じてのことだ
それでもクドリャフカは夢を諦めずに向かい始めた
だが一向に夢は近付かない
半ば諦めてかけていたクドリャフカはロケットの打ち上げを見に来ない?と母親から手紙が来たが断ってしまった
その矢先に、あのニュース
ロケットの打ち上げは早期、状態も芳しくない
クドリャフカは誘いを断ったことに後悔していた
クドリャフカが見ている悪夢はそのことの不安が増長したものなのかもしれない
落ち込んでいるクドリャフカに理樹は電話をしてみれば?と言う
手紙で断ってしまったことを申し訳なく思っていたが理樹に後押しされてクドリャフカは電話してみることにした
夜にいきなりクドリャフカから部室に呼ばれる
そこには満面の表情のクドリャフカがいた
母親に電話をしたら折り返し電話をしてくれただけではなく、「帰ってくるまで基地で待っていて欲しい」と言われたとのこと
打ち上げ基地に入れるのも感激だったが、何よりも母親がこの前の手紙のことを気にしていないのが心底嬉しい
だが事態は一変する
ある日の学食、情報を持ってきたのは鈴だった
情報誌の経済面をコピーしてきた鈴のプリントに目を配らせるとそこには、ロケット打ち上げ失敗の記事が書かれていた
テレビのチャンネルをニュースに変えるとそのことが大々的に取り上げられていた
クドリャフカはそれを見るなり顔面蒼白になってしまい何かを思い出す
気分が悪そうだったので保健室に連れていく
それ以来絶望したような表情のクドリャフカ
恭介が重要な情報を持ってきてくれる
スーツを来たお偉方が肛門でクドリャフカにチケットなるものを渡していたらしい
それは飛行機の搭乗チケットと考えて間違いないだろう
クドリャフカが帰ろうとしたらどうする?と恭介は理樹に問いかける
クドリャフカを引き止めるかそれとも引き止めずに送り出すか
学校に来なくなっていた
このままではいけないと思った理樹はメールを入れて部室で会いたいと伝える
クドリャフカは同意してくれた
今テヴアでは暴動も起こっているようだ
政府の事業に反対していた人が少なくなかったからだ
クドリャフカは帰るか帰るまいか悩んでいた
理樹はそんなクドリャフカに帰ったほうがいいと言う
今あの国に行くのはとても危険なことだ
だが今行かなければこの先一生ものの後悔をする事になるかもしれない
しかしここで帰ってしまうと理樹にもう二度と会えないかもしれないというリスクも付き纏う
クドリャフカは理樹に会えなくなるのも辛い
だがここは二者択一の場面、どちらかを選ばないとどちらも得られない大事な局面
ロケット打ち上げ失敗による家族の安否は今でなくては確認が難しい
行ってしまえば理樹とは会えなくなるかもしれないが理樹は何の根拠もない『また会える』という約束をした
理樹の後押しもあってクドリャフカは帰ることを決意する
週末、荷物をトラックに積み込む
真人が手伝ってくれた
退学申請もしてしまったので寮に荷物を置いておくことは出来なかった
退学の日がやってきた
クドリャフカを迎えに来た大使館の人達
去る前にクドリャフカは理樹にお願いをする
部屋にまだ捨てる荷物があってそれを理樹に捨てておいて欲しいと言った
そして自分の頭から帽子を取ると理樹に渡した
幸運のおまじない、「に・ぷーか、に・ぺーら」と言ってクドリャフカは日本を飛び立った
それから理樹はニュースを見るのが日課となっていた
ニュースは悪化の一途を辿っていた
さらには暴徒たちが航空宇宙局関係者並びに政府関係者を公開処刑をし始めた
現地が心配でならない理樹
そんな中クドリャフカからメールが届く
クドリャフカが無事でひとまず安心する理樹
だが国を挟んでの送受信には制限があって、即座に相手に届くわけではなかった
過酷な日々が続き、ついに母親が発見される
会ったら何を話そうか楽しみにするクドリャフカ
しかし情勢の悪化に伴い、お爺さんから拳銃を渡される
クドリャフカはそんなもの持ちたくなかったが、ここはいつ暴徒に襲われてもおかしくはない地域
無所持でいるのは危険だった
銃声が聞こえてくる、耐えられなくなったクドリャフカは理樹に電話を掛ける
通話は聞こえづらかったが繋がった
理樹に助けを求めてどうしようもなくうずくまるクドリャフカ
そこで通話が途切れてしまった
助けを求められたのに遠い国で起こっていることに対して何も出来ない理樹
不甲斐なさに苛立ちを覚える
応戦を続けるクドリャフカの祖父の元に、一人の女性が立ちはだかる
打ち上げ計画は早計と判断し、反対していた人物だ
「今回の打ち上げを強行した人間は罪を償うべきです」と言い押し入ってくる
クドリャフカを見るなり、"まがい物のライカ"と言う
国費を無駄に費やした挙句、逃げた出来損ない、とも
クドリャフカに銃口を向けながらひたすら母親を非難した
起こした災いは誰かが償わなければならない
お爺さんがこの子に罪は無い、と言うがそんなのは言い逃れに過ぎなかった
手錠で両手を繋がられるクドリャフカ
しばらく歩かされると手錠を外され裸にされ紋様を描かれる
そして真っ黒な牢獄に鎖で繋がれてしまう
だがクドリャフカは自分がこうなることを予期していた
今まで自分のわがままで押し通してきたのだ、廻り回って最後には自分に返ってくる、そういうものだ
理樹は為す術もなく日常を過ごす
そんな中、恭介からクドリャフカの部屋にまだ荷物があると言われる
理樹は今になって思い出した
そういえば捨てて欲しいものがあると言われていたのだ
早速ダンボール箱を回収して中を見てみる
宇宙に関することがぎっしりと詰め込まれていた
クドリャフカの夢そのものだった
一番底に何かの金属片が入っている袋があった
個人認識票(ドッグタグ)だった
何やら書いてあったが全然読めそうになかった
さらにネジや歯車の欠片もいっぱい入っていた
それらをいじりつつ微睡みに浸っているとどこから鎖の音が聞こえてくる――――
クドリャフカはもう何日も鎖で繋がれて身動きが取れないでいた
日にち感覚もおかしくなってきていた
独り言をぶつぶつ言うクドリャフカ
あろうことか、それが遠く遠く離れた理樹にも聞こえてきたのだ
今手のひらで弄んでいる部品を捨てて欲しいとクドリャフカは言った
これは一体何なのか?考えている間にもクドリャフカの苦悶が聞こえてくる
耐えかねた理樹は「クドリャフカっ!」と思い切り叫ぶ
すると向こうにいるクドリャフカは反応する
幻聴かもしれないと思ったが間違いなく理樹の声がする
そして理樹にはクドリャフカが鎖に繋がれて苦しんでいるビジョンが見えた
クドリャフカは全てを語った
ロケットが打ち上げ失敗した時、その代償としてクドリャフカの母親と父親は亡き者にされた
そして今、自分もその"生贄"にされようとしている
理樹が手に持っているのパーツはロケットの残骸だった
それを捨ててくれればもう心残りはなかった
しかし理樹は声を大にして叫ぶ
犠牲が必要なのは間違っていると
クドリャフカは自ら死に向かっていた、それが当然の報いなのだと
でも理樹は真っ向からそれを否定した
クドリャフカに帰りたくないの?と問う
もちろん帰りたかった、こんな暗い場所で死ぬのは嫌だ
クドリャフカも「帰りたい!」と叫ぶ
手を伸ばすようにクドリャフカに言う
するとクドリャフカの手に理樹が先ほどまで持っていたパーツの残骸が現れる
それで思いっきり鎖を殴りつけると鎖は壊れた
クドリャフカは死に物狂いで外に出る
そこには"50ノーティカルマイルの空"が一面に広がっていた――――
その後、テヴアの情勢は落ち着きを取り戻し、クドリャフカは帰ってくることが出来た
校門の前で理樹を待っているクドリャフカ
こうして理樹とクドリャフカは再会し、日常を取り戻した
部室で理樹と一緒に見たいものがあるというクドリャフカ
一枚のDVDだ
再生してみると、そこには意気揚々と語る母親の姿があった
カーボンナノチューブの研究、軌道エレベーターの材料となる新素材を作ることが母親の夢だった
温暖化の海面上昇によりテヴアではひとつの島が沈んだ。それの対策を見越してのことだ
ロケットの打ち上げよりも島の対水没化事業に資金を回せ、という話も多かったが政府は打ち上げに資金を投入した
島が沈んでも軌道エレベーターを作ってその中に住めればいいな、と考えていた
夢みたいなことを大真面目に語る母親だったのだ
このDVDを通じて母親がクドリャフカに伝えたいことがあった
本当に大事な物は目には見えないものなのよ
だから、あなたにとって大事なものを見つけなさい
自分自身を失っても構わないと思える大事なものを
大切なもののために、あなたはあなたの考える"歯車"になれればいい
それが私のあなたに望む全て
それから母親は後は父親達に任せ、関係者に呼ばれて去っていった
DVDはそこで終了する
「クドは将来、何になりたい?」
「こすも、なーふと(宇宙飛行士)になりたいですっ!」
泣きながらも明確に宣言するのだった
END
●唯湖 数学の授業は何故かサボっている唯湖
中庭の間に合わせ程度に設えたテーブルで理樹とお茶するのが何気に楽しみだった
洞察力の鋭い唯湖は理樹に対していきなり「何か隠してないか?」と尋ねてくる
実はここ数日理樹の上履きに画鋲が入れられているという嫌がらせが起きていた
日に日に画鋲の量が増えていっている
その嫌がらせは本当は唯湖に対してのものだけど、唯湖に直接やる度胸がないので間接的に仲の良い理樹をターゲットに選んだらしい
しかも理樹に至っては仕返しが怖くないというのもちゃんと計算されていた
理樹はそのことが唯湖にバレてしまうと気の毒だと思って肩代わりをすることにしていた
しかし前のクラスでも同じだった謙吾は唯湖のことをこう言う
「幾度と無く嫌がらせを受けていたようだが、あの女は不敵に微笑むだけだった」と
だから理樹が今こうやって唯湖を庇っていることは実は徒労なのかもしれない
最近は数学の時間は唯湖に連れだされて理樹もサボるようになっていた
そのぶん、唯湖に教えてもらうことになっていた
今日も唯湖は何か隠していることを見抜こうとしてきたが寸前のところで理樹はかわした
翌日、今度は上履きに露骨にガムが貼り付けられていた
真人たちはもう我慢ならず犯人を見つけ出してとっちめてやるしかないと判断していたが理樹は拒む
ついに理樹も動く
犯人グループの目星はもう付いていた
女子三人組だ
その中で一番おとなしそうな杉並睦実という女性徒をターゲットにした
廊下に出たところで話しかける
というところで恭介が現れ、言い出しにくい雰囲気に
放課後に持ち越しにになった
放課後誰も居なくなった教室で理樹と睦実は嫌がらせの件について話す
睦実は罪を認めると素直に謝るが、謝るくらいなら最初からするなと理樹は怒る
睦実何故、理樹がそんなに唯湖のことを庇うのかわからなかった
理樹まで巻き込んでおいて今更庇うもへったくれもない
しかし理樹と睦実の意見は食い違っていた
どうやら睦実は理樹が嫌がらせを受けていること知らなかったようだ
睦実がやっているのは唯湖に対しての嫌がらせだけで理樹にはしてないという
下駄箱の嫌がらせについては睦実は関知してなかった
睦実が他の二人、高宮と勝沢に連絡を取ったところ二人もすぐ近くにいたらしく教室に入ってきた
いかにも知らばっくれているような喋り方だがやっていないと否定する二人
あろうことか睦実に自分達のやったことを押し付けようとしていた
理樹は激怒、だが証拠がない
それを良いことに調子に乗る高宮と勝沢
理樹があくせくしているといきなりスピーカーから声が聞こえてきた
それは高宮と勝沢が犯行を行っていることを証明するものだった
「以上、貴様らのいう証拠とやらを突き付けてみたわけだが」
唯湖がいつのまにか教室に立っていた
ついにバレてしまった
唯湖は理樹が今までこんな悪質な嫌がらせを受けていたことを知らなかったことに申し訳なく思って謝った
ちなみに何故ここまで唯湖が執拗に狙われているかといえば、去年数学教師をやり込めたことが原因のようだ
出された課題に対して全て満点を取れば授業欠席は不問とする、と数学教師は言ったが見事唯湖はそれを達成してみせた
しかしそれが気に食わなかった数学教師は生徒たちに唯湖に対する嫌がらせを行わせた
睦実は他の二人と違って単に理樹が好きで、理樹と仲良くしている唯湖が気に食わなかっただけだ
でも止めない時点で同罪とも言える
証拠も突き付けられたというのに高宮と勝沢は強気だった
臆することなく唯湖に噛み付く
もし放送を利用して他の人達に自分たちの悪事をバラすようなことがあれば唯湖とつるんでいる連中を全員潰すとまで言ってきた
「私の思い通りにならない限りこれは続く。わかったらもうやめてください高宮さんって言ってみろよ!!」
「・・・すぞ」
「え?」
「殺すぞ」
空気が凍りついた
感情の起伏がない唯湖が珍しく怒っていたのだ
唯湖は思い切り教室のドアを蹴り飛ばしそれは真っ二つに割れた
それを見るなり、高宮と勝沢は一目散に逃げていった
理樹はあまりの出来事に呆気に取られていた
気を使わせて悪かったと唯湖は改めて謝る
直接唯湖に話せばもっと早くケリが着いた問題だったかもしれない
でも理樹はそれが原因で唯湖がバスターズに顔を出さなくなるのを恐れていた
しかしそれも余計な心配だったようだ
唯湖は今のリトルバスターズという集団に属していることに満足していた
自分で怒っておいて「私でも怒るんだな」と驚いていた
ドアの後始末は真人がやったということにした
先生も納得してくれた
唯湖の前でまたもやナルコレプシーで倒れた後、理樹は唯湖の部屋に連れてこられた
唯湖も理樹の持病について把握したようだ
それからしばらくして自分の部屋に帰った理樹は恭介たちに唯湖が好きであることを見抜かれてしまうのであった
日頃唯湖にお茶を御馳走になっているので理樹はお礼として唯湖と郊外に行く約束をする
月曜日の放課後、唯湖と一緒に喫茶店に行く
雨が降っていたので道中は唯湖と相合傘になってしまった
喫茶店から出て帰る時間帯になってもまだ雨は大量に降っていた
唯湖はその豪雨の中をあえて傘をささずに帰ろうと言い出す
そう言う唯湖はなんだかとても楽しそうだ
理樹も唯湖の楽しそうな空気にアテられて一緒に飛び出す
翌朝、ずぶ濡れで帰ってきた理樹は見事に風を引いてしまった
ベッドで寝ている理樹が目を覚ますと目の前に唯湖の顔があった
見舞いに来てくれたようだ
ちょうど数学の時間だったので都合が良かった
理樹が唯湖の事が好きだとわかると恭介、真人、謙吾は協力しようとする
でもやること為すこと空回りばかりだった
そこで恭介がビッグイベントを開催しよとする
なんとグラウンドで花火を打ち上げ、それを唯湖に見て貰おうというのだ
理樹には指定した時間に唯湖と教室にいるように、と伝えた
夜に唯湖を指定の教室まで連れ出す
唯湖も心なしか楽しそうだ
私だけに見せるのは勿体無いと思わなかったのか?と問う唯湖
理樹は唯湖にだけ見せたかったと想いを伝える
花火は見事に成功し、唯湖も嬉しそうだった
見つかるとまずいのですぐさま退散する
しかしここまでしているのに中々唯湖は理樹の好意に気付かない
鋭いのに鈍いと言った具合だ
「今日の放課後、告白してみるよ」
理樹直接想いを伝えることを男衆の前で宣言した
息を飲む一同
唯湖を追って理樹は放送室まで足を運ぶ
放送室にあるピアノの音がしたのでここのいると踏んだのだ
「来ヶ谷さんが好きなんだ」
「ああ、私も理樹君は好きだよ」
好意とは取られていなかった
人間的な意味で好きだと勘違いされているようだ
そこで恋しているほうの好きと付け加えた
唯湖はしばらく押し黙る
やがて――――
「聞かなかったことには出来ないかな?
返ってきたのは拒絶だった
「多分、私には誰の気持ちにも答えることが出来ないんだよ」
端的言うと振られてしまった
みんなに報告する
これ以上はみんなも協力することは出来なかった
ここで諦めたら唯湖は今までどおり水に流して今まで通り接してくれことだろう
でも理樹は諦めきれなかった
次の日、また理樹は唯湖に会いに行く
ちゃんと答えを聞かせて欲しいという
唯湖は答えは既に言ったはずと言うが、理樹が聞きたいのはもっと単純なことで「ただ好きか嫌いか」というシンプルなものだ
唯湖は返答に困る
戸惑っている唯湖にもう一度想いを伝える
すると唯湖は恥ずかしがって放送室を出ていった
夜、落ち着かない理樹が中庭でジュースを飲んでいると唯湖が姿を現した
唯湖はまだ理樹の想いを掴み損ねているようだ
唯湖の不幸は幼い頃、そういう感情に触れることなく過ごしたことだった
だからいまいち好意というものに鈍い
しかし理樹と共に過ごしていることで少しずつだがそれが分かるようになってきた
いつも自分の調子を狂わせる理樹
唯湖も自分では知らぬうちに理樹に惹かれていた
遠回しだったが理樹の想いを受け止めてくれたようだ
恋人同士になった証に今度また喫茶店に行こうと約束した
そういえば気になったことがある
唯湖はお昼に放送をしている
だがそれは理樹意外聞いたことがないらしい
疑問に思いつつもよくわからずじまいだった
梅雨の時期に入ってるらしくなかなか雨が降り止まない
バスターズの練習も中止になっていた
唯湖もつまらなさそうだ
いつまでたっても止まない雨
いつになったら唯湖と遊びに行くことが出来るんだろうか
その晩、唯湖に電話をしてみたが通じなかった
こうしてずっと雨ばかりだと次第に日にち感覚が薄くなっていくようだ
雨がなかなか止まなくて唯湖にいつまでたっても前の店に行けないね、と愚痴る
しかし唯湖は前に約束したことを忘れていた
さらに言うなら、前に喫茶店に言って一緒に濡れて帰ったことすらも忘れていた
何かおかしなことになってると気付く理樹
違和感は雨だ
このいつまで経っても止まない雨
今日は6月20日水曜日
前の日曜日、17日は何日前だ?
告白した日が日曜日じゃないとおかしい
理樹は段々と曜日感覚がなくなっていた
翌日、真人に唯湖のことを話すと恋人同士だとは知らないと答えられる
異常事態だった
間違いなく恋人同士のはずだ
理樹は慌てて放送室に向かった
唯湖はそこにちゃんといた
落ち着きのない理樹に唯湖は冷たいものでも買ってこようと出かけた
そこで机の上に置いてあった唯湖の手帳を見る
すると覚書のように
『理樹君と付き合っている』
『毎朝クッキーを焼いていく』
『最初のデートは喫茶店』
とメモされていた
理樹は驚愕する
何故そんなことをメモする必要あるんだ、と
簡単なことだ。それは覚えておくためで、つまり忘れないようにするためのものだ
理樹意外のみんなが唯湖のことを忘れつつあった
また朝が来る
6月だというのにその日は雪が降っていた
明らかにおかしかった
おかしいことを真人や謙吾にも訴えるけれども至って当人達は冷静だ
こんなこともあるだろう程度にしか思っていない
真人に今日の日にちを聞く
6月20日
全く進んでいなかった
もし6月20日を永遠と繰り返しているのだとしたら?
理樹は部屋にある時計のカレンダーが21日を示すことはないと考えて実験をする
0時まで待つ
6月21日、確かに見た
安心した理樹はそのまま就寝する
しかし朝起きると――――
6月20日
巻き戻っていた
学校でこの前と同じ時間、同じタイミングで真人に話しかけられる
この世界の事が少しずつ分かり始めていた
『あった』ことはどこかに保存されているのか、みんなはその通りに動いている
『なかった』ことには興味を示さない。それがこの世界のメカニズムのようだ
また唯湖がいる放送室に行く理樹
目の前にいる女の子と付き合っていたはずなのに当の本人もそれを忘れてしまっていることに嘆く理樹
「忘れてしまうがいい。そんな女のことなんかな」
自虐的だった
どうして20日から先へ進まないのかわからない。理樹は唯湖にもおかしいことを訴えた。
唯湖はそれが自分のせいだと言った
そうあるように願ってしまった
この世界は唯湖の夢
唯湖が見ている夢の世界に理樹は住人として存在していた
唯湖の願いが叶う世界になっていた
世界が回る歯車がほんの少しずれただけで正常に動かなくなってしまう世界
それがここだった
歯車がずれたのは理樹が唯湖に恋をした瞬間だった
この世界がなくなれば唯湖が理樹に抱いた想いはなくなってしまう
唯湖も抗った、でもどうしようもなかった
また、この世界は徐々に崩壊に向かっている
全てが無かったことなろうとしている
崩壊が近づくにつれてどんどん理樹と付き合っていたことが薄れつつある唯湖
どんどん記憶がなくなっていく
唯湖が全部忘れてしまった時、それはこの世界の終焉を意味する
対策か何かないか探そうとする理樹
絶対に何かあるはずだと確信する
また6月20日
同じ日を繰り返す
悩み苦しんでいる理樹のところへ放送が入る
唯湖からだった
「私は照れ屋で意地っ張りだから最後まで言えなかったことがあるんだ。もしここで君と過ごしたこの感情を覚えていたなら、今度は私から言うよ。好きなんだって。恋してる方の好きなんだって」
その言葉を聞くなり唯湖に連絡を取ろうとするが携帯も繋がらない
放送室に直接向かう
唯湖の夢が崩壊する間際、理樹は唯湖に会うことが出来た
そして止まっていた時間が進み始める
唯湖はいつものようい放送室でピアノを弾いていた
そこに一通のメールが届く
差し出し人は・・・知らない名前
ほんの少しだけ期待を込めてそれに返信した
もう一度名前を見てみる
知らない名前のはずなのに胸が締め付けられるような響きがあった
『きっとそこにいくから、まってて』
「早く、来ないかな・・・」
見知らぬ誰かを待ち焦がれる唯湖だった
END
●鈴 猫と戯れていることが多い鈴
ある日、一匹の猫(レノン)の尻尾に紙が巻き付けられていることに気付く
そこにはこの学校に今起こっている問題(課題)が書かれていた
それを解決していけば"世界の秘密"を知ることが出来るそうな
差出人は全くの不明であり、動機もわからない
しかし鈴と理樹は協力してその課題に次々当たっていく
鈴が今日から一匹の猫だけを相手にするという
マイルスという猫でもう寿命らしい
最後の時まで一緒にいてあげることにした
悲しくないという鈴だが内心そんなことはないはずだ
鈴が猫と一緒にいるのは恭介が次々と新しい猫を持ってきては鈴に与えているからだ
だがそれは猫の数=猫の死を目の当たりにする、ということだ
理樹は恭介が鈴の気持ちをわかっているのか疑問に思っていた
恭介にそのことを問いかけると「理樹はいつまで経っても弱いままだな」と言われる
どうして自分の話になるのかわからなかったが、今回で二回目らしい
初めての時は鈴は取り乱し、泣きじゃくったようだ
3日後、マイルスは幕を閉じたが鈴は平静だった
鈴は猫の死を乗り越えたようだ
ある日、理樹の靴箱に封筒が入っていた
絵に書いたようなラブレターだった
それにどう返事をしたものか困ったものだが、とりあえず本人に会いに行く
杉並睦実だった
唐突ということで理樹は返事を先延ばしにしてしまう
鈴も少し前に告白されたことがあったらしい
まだ鈴はそういうものに疎かったので間に恭介が入って断ったが、理樹は自分で何とかすると言う
すると鈴が、
「あたしたちが付き合おう。そうすれば上手く行く気がする」
いきなりにも程があった
でも鈴には鈴なりの考えがあった
理樹はまだ昔のままの5人でいたかった
もし睦実と付き合ってしまった場合、5人でいられる時間は格段に少なくなってしまうだろう
しかし鈴は昔馴染みの5人のうちの一人で唯一の女子
これだったら昔と何も変わらないという鈴の案だ
というわけで睦実に断りに行く
仇で返すような形になってしまった感じがするが、それでも睦実は身を引いてくれた
恭介は二人を祝福し、謙吾は笑いながらもお似合いだと言ってくれて、真人は予想外にも鈴に嫉妬した(ホモ)
鈴と付き合い始めたはいいものの、普段と何も変わらない
鈴もちゃんと理樹の事は好きだが以前と同じように友達感覚で理樹と付き合うことにしたようだ
謎の人物から次なる課題が来る
本校の理事長が、県議会委員の人と一緒に視察に来るようだ
このクラスから案内役を二名選ばなくてはならない
鈴と理樹は立候補
理樹はともかく鈴は知らない人とのコミュニケーションが苦手なほうだ
というわけで恭介が礼儀作法を教えることに
その甲斐あってか鈴は見事にやってのける
その出来栄えの良さに感心したのか鈴にある依頼が来る
交換留学生だ
併設校の生徒とこちらの生徒をしばらく交換するというもの
何故かというとその学校のとあるグループが春休みの旅行先で事故にあってしまったらしい
助かったのは二名でそのグループは交友関係も広かったことから同級生一同に与えたショックは大きかった
そして一様に心を病んでしまったらしい
心のケアをするために健康な心を持った生徒が必要らしい
少なくとも一学期間はいて欲しいと言われた
二週間に一度は戻ってきてもいいようだ
しかし鈴は行きたくないときっぱり言う
でももう少し時間があるからゆっくり考えてみて欲しいと言われた
理樹はもちろん言って欲しくない
折角恋人同士になれたというのに・・・
逢えるとはいえ、長期間離れ離れになるのは辛い
でもこれまで頑張って課題を乗り越えてきたように、この試練も乗り越えて欲しかった
理樹は惜しいが鈴に行くべきだと伝える
その晩、理樹は外に出かける
レノンを探しに行くためだ
レノンを発見してしばらくすると、見回りの先生に見つかってしまう
早く寮に戻れと言われるが、少しの間隠れてまたレノンを観察した
するとそこから恭介が姿を現した
理樹は今になってようやく気付いた
課題を出していた犯人は恭介だったのだ
「でも、まだ答えを知るには早いな」
恭介は思わせぶりなことを言う
世界の秘密を解き明かしたか?と理樹に問う
理樹はまだわからずにいた
次に来た課題は当然の如く、「併設校を救え」だった
昨日からずっと考えたい鈴だったがやめようと言う
だが理樹は鈴に併設校に行くように催促する
それは恋人とは到底思えない台詞
鈴からしてみれば自分を遠ざけているようにしか感じられない
しかし理樹は鈴に"バスターズ以外"の友達も作って欲しかったのだ
鈴は理樹に対して苛立ちを覚えながらも行くことを決定してしまった
見送りの日、さしたる挨拶もなく鈴は行ってしまった
バスターズのピッチャーの穴は恭介が埋めた
初日から鈴のメールが来る、話せる人がいなくてどうしたらいいか迷っている鈴に理樹は頑張れとしか送れない
鈴が小毬に電話を掛けてみようとするも繋がらない
恭介の計らいで他のみんなには鈴と連絡がつかないようにしてあった
理樹だけが唯一コンタクトを取れるようだ
まるで鈴を突き放しているような恭介の行動
理樹はおかしく思った
「理樹、もうがんばれない(TT)」
鈴の顔文字が泣き顔に変わってしまった
帰っておいでと鈴に言ってあげた
鈴もそうしようとしたが出してもらえないようだ
だとすればこちらか赴けばいい、理樹は支度をして寮を出ようとした
しかしそこで待ち構えていたのは恭介
理樹を行かせようとはしない
「後三日頑張れ。次の土曜には戻ってこれるようにする」
恭介も何かに耐えるようにそう口にした
それでも我慢出来ず、色々なところに手当たり次第電話を掛けてみるが一向に鈴の行っている併設校の場所はわからなかった
そして三日が過ぎ鈴が帰ってきた
鈴は頑張った、一週間も一人きりだった
折角また会えたというのに明日の夜にはもう戻らないといけない
鈴は束の間しかこちらにいることは出来ないのだ
それが鈴の表情を緩ませたものにはしなかった
鈴は明らかに憔悴していた
理樹以外とは会いたがらなかった
でも謙吾だけは味方と判断した理樹は相談をする
みんなが鈴のためを思って突き放しているのは分かるがこれでは逆効果だと謙吾に言う
だから理樹は決断する
「鈴を連れて逃げようと思うんだ」
「おまえたちふたりが今のまま逃げたとしたら・・・その先には暗闇しかない」
謙吾は断言する
まるで時期尚早と言わんばかりだ
それでも理樹は鈴を連れて逃げることを決意した
明日の夜にはまた鈴はいなくなってしまう
その前に決断が必要なのだ
そんな理樹に謙吾は道を指し示す
それは恭介と戦う道だった――――
恭介に勝負を挑む理樹と謙吾
恭介と真人もタッグを組む
勝負する内容は野球
味方の投げるボールを先に3本柵越えさせたほうの勝ち
雨脚が強くなってきて先に一本差を着けた方の勝ちというコールドゲームになった
理樹と謙吾の番の時
いきなり謙吾が激怒して恭介に掴みかかる
何があったかはわからないが謙吾がこんなに取り乱した姿は理樹も見たことがない
理樹と真人は恭介から謙吾を引き離した
勝負は恭介&真人の勝利となってしまった
勝負には負けたが鈴をこのままにしておくわけにもいかず、鈴と理樹は早朝に寮を立つことにした
向かう先は恭介と鈴の祖父の家
何故ここにしたかというと恭介は祖父を苦手としてたからだ
万能な恭介のさらに上を行く祖父
勝負ではあの恭介ですら連敗だった
ここだったら追手も来ないだろうし、誰か来ても祖父が守ってくれると判断した
祖父は留守にしていた
仕方がないので勝手に上がらせてもらうことにする
待っていればそのうち帰ってくるだろう
しかし、待てども待てども経っても祖父は戻ってこない
お金が少なくなってきた理樹はATMに下ろしに行く
だが「このカードは、お取り扱い出来ません」と機械音声で言われ焦る理樹
カードは理樹の後見人のもので早速電話を掛けてみると、学校では今理樹が行方不明扱いになっていると言われた
既に情報が伝わっているようだ
そのことが後見人の人にも伝わり、生活費を送ることが不可能になっていた
お金が底を突き始めて生活そのものが辛くなってくる
働こうにもナルコレプシーが災いして中々働かせてもらえない
追い打ちを掛けるように理樹の前に警官が現れた
最近引っ越してきた子だよね?と問いかけられ後退る理樹
隙を見て逃げ出してしまう
巻いたと思ったところでおじさん二人の声が聞こえてくる
もうあそこは誰も住んでいない、と確かに聞こえた
その晩、警察が祖父の家を訪ねてきた
呼び鈴をしつこく鳴らして中から人が出てくるのを待っている
電気を消して居留守をしようとしたが無駄だった
出てこないと分かるや強行突破してきた
鈴を連れて逃げ出そうとしたが祖父の家に来て新しく友達になった猫達を置いてはいけないという鈴
理樹の手を振りほどいて猫たちのところへ行ってしまう
しかしそこで鈴を見失ってしまった
そこを警官に取り押さえられてしまう
そして理樹はそのまま暗闇の中に落ちた
理樹は学校に連れ戻された
だがそこに鈴はいなかった
鈴だけがいなかった
辺りは修学旅行の話で盛り上がっている
理樹は自分がもっと強かったら鈴を守れたと後悔するのだった
■シナリオ(Refrain)恐ろしい夢を見た
陰惨で凄惨で救いようの無い夢
あまりにもリアルだった
まるで自分が体験したような――――
いつもの寮、いつものベッド
真人が起き上がる
すると真人は学食に行き唐突に謙吾と喧嘩を始めてしまう
恭介に助けを求めようとする理樹
だが恭介はその場に現れなかった
翌日、謙吾が片腕を首から吊っていた
昨日の喧嘩で骨にヒビが入ってしまったらしい
新人戦が近いというのにこれでは出場出来ない
しかし謙吾は気にした様子ではなかった
理樹に何か楽しいことを提案してくれないかとさえ言ってきた
女子寮前で鈴を待つ
やってきた鈴は容姿こそそのままだが明らかに様子が違った
まるで幼児退行を起こしているような性格
さらに何かにとても怯えているようだった
理樹にしか心を許しておらず他の人に対しては必要以上に警戒する
朝食も理樹とだけ一緒に食べるようになっていた
鈴は理樹達のいる学校を休んでいる
そして併設校のもう一つの学校に通っていた
しかも特殊なクラスに厄介になっている
療養中とのこと
鈴があんな風になってしまった理由は恭介なら知っているはずだと確信して恭介の元へ行く理樹
だが何故か恭介の様子もいつもと違っていた
現実逃避したように漫画を読み続け没頭している
以前の恭介からは信じられない頼りなさと弱々しさを感じる理樹だった
学校が終わったら鈴の行っている学校に迎えに行く毎日
鈴は前は大量の猫に囲まれていたが今の変わり果てた鈴を見るやいなや、鈴の元から去ってしまった
残ったのはレノン一匹
レノンだけは鈴の元からずっと離れようとはしなかった
変わってしまった鈴をどうすれば昔のような性格に戻せるのか・・・
理樹は悩み続けた
恭介ならどうするか?それを考えてみた
もし恭介なら鈴をどうやってこの状態から復帰させるか?
理樹は遠い日の恭介みたいに振る舞えばいいのではないか、という結論に到達する
中庭で落ちていた野球ボールを転がして遊んでいるレノンを発見
それを見るなり理樹は閃く
鈴に投げてみない?と提案すると鈴は元気よく頷いた
そして思いっきり投げる
が、恐ろしいほどのノーコンだった
ありえない方向に飛んでいったボールを探すのは手間が掛かるが、それでも鈴が楽しそうにしているのを見て理樹は満足気だ
グローブも借りてきてキャッチボールの形態を取ることにした
鈴はキャッチボールがいたく気に入ったようでまたやろうと言ったら喜んで頷いてくれた
これを気にまた5人で一緒に遊べたらいいな、と理樹は思う
早速恭介にも話してみることにした
しかし相変わらずの無気力っぷりを発揮している恭介
相も変わらず漫画しか読んでいない
あまりの変わり様に理樹は落胆した
とりあえず恭介は置いておいて、今度は真人と謙吾を誘ってキャッチボールをすることにする
鈴は最初真人と謙吾に怯えていたが理樹が諭すと挙動不審ながらも落ち着いてくれた
キャッチボールを通して謙吾や真人も恐怖の対象ではなくなったようだ
見事に打ち解けることが出来た
あとは恭介だけだ
人数も増えたところでバットも使って本格的に野球っぽくしていこうと理樹が考えていた矢先に謙吾が立ちはだかる
「お前は何をしようとしているんだ?」と謙吾は問いかける
当然のごとく野球と答える理樹
すると謙吾は「なら、俺はここで降りる」と拒否してきた
昨日はあれだけ楽しそうに遊んでいた謙吾の突然の変化に理解に苦しむ理樹
今のお前の行動があいつと被る、と言う謙吾
それは恭介のことだった
理樹の知らない過去に何かあったのだろうか?
まだ計り知れない段階だった
どうしてかよくわからないまま真人に話していると「俺も降りるぜ」と言って真人もいなくなってしまう
結局残ったのは理樹と鈴
また元に戻ってしまった
二人でキャッチボールを続ける日々
「理樹この世界は謎だらけだ」、鈴も何か違和感を感じているようだ
何かがこの世界にあった
しかしそれを知らないのは理樹と鈴の二人だけのようだった
同時に理樹はこの世界の謎を紐解かなければならないという強い使命感に駆られるのだった
鈴の覚えている過去を話してもらい、状況を整理していく
そしてある結論を出す
今理樹達がいるのはリトルバスターズが結成される以前の過去であり、始まりの場所
目指すべき場所は何かが起きた場所
そして今の理樹のポジションは"以前の恭介のポジション"
解答が明示された
もう一度、恭介に変わってリトルバスターズを結成すればいいんだ
つまり今この世界では"恭介と理樹の立ち位置が逆転していた"
一番初めは恭介と鈴しかいなかった
次に仲良くなったのは真人か謙吾か?
理樹は鈴に聞く
答えは真人だった
そうと決まれば真人に話を聞きに行く
だが真人の返事はNo
一筋縄でいかなさそうだ
さらにまるで人が変わったみたいに怒声を吐き部屋から出ていく真人
理樹は鈴に月曜日からこちらの学校に復帰するように言う
鈴は最初は嫌がったが元気になったのだからこっちに復帰しなきゃと言い聞かす
理樹の席の隣にしてもらい無事、本来の学校へ復帰する
それよりも真人だ
明らかに様子がおかしい
そして事は起こってしまった
真人が校内を徘徊し、気に食わぬ生徒を殴り倒しているらしい
何かあったことだけは確実に分かるのだが詳細は全く不明
とにかく被害が拡大しないためにも、理樹は鈴と協力して真人倒すことにする
頭を使ってオリジナルのトラップを作る
理樹と鈴は何とか協力して真人を倒すことに成功した
真人がおかしくなってしまった原因は自分も含めて全てが井ノ原真人になってしまったからだった
自分がいるのに辺りには同じ格好をした自分が大量にいた
あらゆる生徒が井ノ原真人になってしまっていた
本当の自分はここにいる
だが目に映るのは自分とそっくりの自分
それが許せなかった真人は片っ端から潰していくことにした
そして理樹、鈴でさえも自分と同じ姿をしていた
だが鈴と理樹のコンビに負けた真人はようやく他人の姿を見ることが出来るようになった
理樹は見事昔の恭介と真人の出会いを再現してみせた
真人もよくやったと理樹を褒め称えた
次は謙吾だ
謙吾との出会いは3人で道場破りに行ったことだった
こちらから仕掛けにいったのだ
真人と鈴は負けた、恭介は何故か師範(謙吾の父親)に挑んで負けた
最終的には3人で挑んで勝利した
師範に
謙吾ではなく師範と戦ったのだ
そうして謙吾は仲間に加わってくれた
それの意味するところは?
事実を確認するために早速謙吾の自宅に向かう
母親が応対してくれたが父親は今いないという
目的はひとつ、再び謙吾をリトルバスターズに加えるということだ
謙吾はまだ練習中だったので恭介の様子を見に行くことにした
中に入ると完全に塞ぎ込んでいて引き篭もり状態だった
今から眠るらしかったので部屋を後にした
でも理樹は今の恭介を見て気付いた
"かつて"の自分はまさに今の恭介そのものだ
それを恭介が救い出してくれたんだ
今度は自分が敬介を助ける番だ
しかし順序良くいかなければならない
まずは謙吾だ
謙吾に会うなり、どうして恭介は謙吾の父親を倒したのか聞いてみた
だが謙吾も恭介の考えていたことはわかりかねているようだった
もう一度リトルバスターズを作ろうとしている理樹に謙吾は拒絶的な言葉を口にする
これ以上先を目指すな、と釘を刺す
どうやっても謙吾は仲間になってくれそうにない
恭介にそのことを相談しにいく
相変わらずの意気消沈っぷりだったが理樹の去り際――――
「謙吾はひとつだけ嘘をついている」
大きなヒントをくれた
授業中、しきりに謙吾を監視する謙吾
すると消しゴムを取り出すとき、折れたほうの左手を使うのを確かにみた
別に消しゴムを取り出すことくらい折れた方の手でも出来る
が、疑問なのはその後わざわざ右手で取り直し
これの意味するところは何だろう?
まさしくそれは怪我をしていることを思い出したからだ
もしかして謙吾は怪我をしていないんじゃないか――――
そんな疑問が浮かび上がる
理樹は"左手を使わなければならない状況"を作ることにした
芝居ということを知らずに不意に左手を使ってしまう謙吾
やはり謙吾のギプスは飾りだった
どうしてそんな嘘までついて怪我をしているフリをしていたのか
バレてしまった謙吾はその理由を言う
この先、リトルバスターズを結成したとしてもその先に待つのは暗闇だと名言した
一体何が未来に待ち受けているのか、逸る一方謙吾はここで結成を断念すれば一生理樹を守ると確約する
だが理樹は折れなかった
何か悲しいことがこの先にあったに違いない、真実を知るために理樹は前へ進む
お前はそんなこと知らなくていい謙吾は言って去ってしまう
やっぱり謙吾を倒すしかないのではないか、という真人の案に則り野球で倒すことを提案する
謙吾はその勝負を聞くなり、恭介の部屋に行く
「俺とも同じ勝負をしたな・・・」と恭介
「あの時お前は"禁じ手"を使った」と謙吾
謙吾の触れてはいけない部分に土足で踏み込んだ
だから謙吾はあの時怒りを爆発させたのだ
恭介に謙吾は言い放つ
俺は勝つ、そしてリトルバスターズはこれでおしまいだと
そして自分が勝った暁には、恭介に「そんな病んだフリはやめてお前も出てこい」と約束を取り付けた
恭介もその条件を飲んだ
あの時と同じく、柵越え三本先取
意外にも理樹は柵超えを打ち続けた
二対二、互角の状況でいきなり鈴がタイムと言ってピッチャー交代を要求してくる
イレギュラーな事態だったが謙吾は了承した
そして案の定、鈴は壮絶なノーコンだった
アウトは適応されるのでストライクゾーンだけに来るのを待っていればいい
だが謙吾はいつの間にかボール珠にも手を出してしまっていた
それもそのはず、もうかれこれ二時間も対峙していたからだ
冷静沈着な謙吾も焦り始めていた
ついに決着の時がきた
ボール球だと思って見逃した珠が実は変化球になっており見事にストライクゾーンに入ってしまった
謙吾は才があるということで昔から父親に剣道をやらされていた
大事なのは"やらされていた"という点だ
謙吾はつまらなさそうな顔をしながら竹刀を振っていた
望んでやっていなかったことを見抜いたのは恭介だ
だから恭介達は謙吾の父親に勝負を挑んだ
勝利を収めた後、この退屈な毎日から救ってくれた恭介に感謝し、仲間にリトルバスターズに加わったのだ
状況こそ完全再現は出来なかったものの、理樹は謙吾にデジャヴュを植え付けた
謙吾は昔の自分と今の自分を照らし合わせ、思い出し号泣したのだった
これで4人
最後は恭介だ
恭介の元を訪れる、あの日自分が塞ぎ込んでいた世界そのものだったことを思い出す
やっとここまで来た後は"かつての自分"を救うだけだ
――――何度も繰り返した
恭介は"理樹と鈴を成長させるため"だけに全てを費やした
そのためだったら何でもする、ルールだって犯す
でも"あの二人だけは絶対に助ける"
油の臭いが充満している・・・早く場所を探し当てないと
恭介は暗闇の中をずっと這いまわり続けた
"あっち"と"こっち"を何度も行き来しているせいで精神的疲労が酷い
這う・・・這う・・・這う
ひたすらその場所を見つけるために這いずる
そしてようやくその場所を見つけた恭介
「俺はこの『穴』を塞ぐためにここに居続けならなくてはならないんだ」
しかし目を閉じるとまたいる場所がリセットされてしまう
ならばこの場所を"死に場所"にすればいい
そしてここからまた世界をやり直す
ガラスの破片で自らを貫いた
意識を失いつつある恭介の元に一筋の光が差す
それは理樹の手だった
ついに理樹が迎えに来た
後ろには真人、謙吾、鈴もちゃんといる
差し伸ばされた手を恭介は確かに握った
今ここにリトルバスターズは再結成をする
理樹の提案で5人で野球をやることにした
この世界で最後の光景
リトルバスターズの終焉には相応しい
理樹がファールボウルを打ち上げる
真人はそれに必死で食らいついて捕球する
それを取るなりいきなり真人はお別れを告げる
理樹といられて本当に楽しかったと
捕ったボールを投げ返した瞬間、真人は消滅した
理樹が狼狽えていると恭介が「これからお前は何かが起きた世界へと向かう」と言う
これが辿り着いた答えだ
そして今から向かうのが本当の世界
この世界は恭介、真人、謙吾が創りだした虚構の世界だった
「生き残るのは理樹、鈴。お前たち二人だけだ」
恭介は凛とした声でハッキリと言った
修学旅行のバスが崖から転落した
理樹はそれは別の学校のグループと聞いていたが、実は当人達に起こった出来事だった
恭介達は助からなかったが理樹と鈴だけは真人と謙吾が身を挺して庇ったため、九死に一生を得た
しかし理樹と鈴は弱すぎた
この先生き残っても生活していけるかどうかはわからない
不安に感じた3人が「みんなとの出会いから事故までの一学期を永遠に繰り返す」この世界を作り上げた
現実を直視しても二人が強く生きていけるように
そして止まった時間が動き出す
謙吾と恭介も真人に続いて消える
構築していた世界が破滅に向かい、残された理樹と鈴は現実に引き戻される
いつか見た絶望の風景
本当に二人以外身動きしていなかった
理樹と鈴はバスから這い出る
理樹は唇を噛み締めながらも鈴を連れ出しその場から離れた
今から助けにいっても間に合わない、折角命を助けてくれたみんなに報いるためにもここは逃げる場面だ
鈴はみんなのところへ戻ろうとしたが理樹が引き止めた
バスから離れたところでナルコレプシーが発生し理樹は意識を失った
鈴はいつの間にか学校に立っていた
そしてかつてみんなと一緒に過ごした場所を巡り歩いた
屋上に行く、すると小毬がいた
小毬は鈴にこれが改めて"何かが起こった世界"だということを言い聞かせる
そしてこれこそが現実なのだと
泣き喚く鈴に小毬は最後は笑ってお別れをしようと言う
そして幻影?らしき小毬はその場か消えた
理樹が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった
鈴は理樹の側にずっといた
理樹以外の全てが消滅してしまって落ち込む鈴
その姿を見て、これからは鈴を守っていくと強く決意するのだった
謎の声が聞こえる
理樹と鈴はこんな結末、認めてはいなかった
声に抗い、二人で世界を構築する
理樹は鈴を引き連れて時を遡る
目覚めた場所はあの修学旅行の事故現場
バスの中だ
なんとか這い出して次はみんなを助ける算段を迅速に立てる
鈴に指示を出して次々とクラスメイトを救出していく
最後はガソリンの漏れている穴を塞いでいてくれた恭介
鈴と二人で運び出す
無事全員救出に成功した
その瞬間バスは燃え盛り、辺りに閃光が満ちた
全員大なり小なり怪我をしたものの、段々とクラスには人数が戻ってきた
謙吾も戻り、後は恭介だけだ
数日後9人で集まり何かみんなで遊ぶものについて談義する
でもいつもこういうのを取り仕切る肝心な人物が欠けているので中々決まらない
「みんな揃ってるな」
その人は唐突にやってきた
いつものように上の階からロープを垂らして理樹達の教室に降りてきた
棗恭介復活、これにて総勢10人のリトルバスターズがようやく揃った
「俺たちで、もう一度・・・修学旅行に行くぞ」
そして一同は恭介が用意したトラックに乗って海を目指すのであった――――
END
■シナリオ(EX追加分)●佐々美 10月23日
日は過ぎ理樹はまた不可思議な夢を見た
あの事故から無事生還した理樹はもうこのような不可思議な体験をすることはないと思っていた
これは誰かの記憶みたいだ
ジュースを買って部屋に戻ろうとすると一匹の黒猫に付き纏われる
触ろうとすると激しく抵抗するが理樹の後をおとなしく付いて来る
部屋まで入ってきてしまい困る理樹だったが何もせずにいたらおとなしそうにしているので、気にせず眠りに付くことにした
眠っている理樹に聞き覚えのある声が掛けられる
寝ぼけ眼で見てみると何故か目の前に笹瀬川佐々美がいた
思わず驚きの声が漏れてしまって真人が起きそうになる
すると、佐々美は猫の姿に変貌してしまった
びっくり仰天、一体どういう仕組みなのだろうか
信じられないことだが、黒猫=佐々美になっていた
真人にそのことを伝えるが当然理解してもらえるはずもない
とにかく元に戻すことが先決だ
さっき一回元に戻ったということは何か法則性みたいなものがあるはずだ
それを探すことにする
考えている最中にいきなり、変身して元の人間の姿に戻る
佐々美もどうしてこうなったのか全く状況がわかっていない
とりあえず夜も遅いので男子寮から女子寮に帰ろうとする
するとまた猫の姿になってしまった
しかし先程とは状況が変わり、猫の姿でも会話が可能となった
さすがに猫の姿のままで女子寮に戻るわけにもいかず、今日は帰れないことをルームメイトの小毬に伝えようとする
だが小毬からは猫の「にゃー」という声しか聞こえないと言われる
どうやら猫の状態でまともな会話が出来るのは理樹だけみたいだ
大体変身する条件がわかってきた
少なくともこの理樹の部屋にいる間は人間の姿になれる
でも外に出ようとすると即座に猫の姿になってしまう
また、理樹以外の誰かに人間の姿を見られようとするとすぐさま猫になってしまう
翌日から自分の声が理樹以外にも通じないかを試すためにあらゆる生徒に声を掛けてみる佐々美
しかしどれだけ多数の生徒の声を掛けようが理樹以外の他人からは猫が鳴いているようにしか聞こえないようだ
進捗は無しだった
それでもこの世界が非現実であることはこれで確定した
いくらなんでも人間が猫の姿になったりするのはおかしい
理樹はこういう体験を以前にしたと佐々美に言う
何回もループする夢の話だ
猫になるのは絶対におかしいのだから間違っているのは世界ということになる
と、なれば今度はこの世界の謎を解き明かせばいい
ミッションスタートだ
小毬も呼んで協力してもらう
でも小毬は佐々美の言葉がわからないので理樹が通訳しなければならない
こういう時頼りになる恭介に連絡を取ってみたが繋がらなかった
謙吾にも協力を要請しようとするが、佐々美はこの事を好意を抱いている謙吾には知られたくないようで黙っていて欲しいと言った
謎を突き止めるべく、今度は校舎の捜索に出る理樹
何か手掛かりがあるかもしれない
校舎裏に行こうとする理樹
だが歩けども歩けどもなかなか到達出来ない
不思議な力で校舎裏までの道のりが捻じ曲げられているようだ
ここに核心に繋がるものがあるのは明らかだ
万策尽きて一旦撤退した
部屋に帰ると佐々美が料理をしていた
出来も良く美味しく頂いていると鈴が慌てて駆け込んできた
小毬がいなくなってしまったようだ
携帯も繋がらず、まさに消滅したと言うべき事態だ
しかし小毬の残した絵本から重要な情報が得られた
この世界は誰かの想いや願いが象ったものだと仮定する
となれば、その願いを叶えればいい
でも結局はこの世界を創った本人を見つけ出して話を聞かなければ意味がない
佐々美も理樹に付いて行って学校の探索をする
すると突然、理樹はめまいに襲われた
もう起こるはずがない、持病ナルコレプシーの再発だ
そこで"現実"の世界からこちらに恭介から連絡が来る
「誰かの見ている夢」がこの世界らしい
鈴や他のバスターズのみんなも段々とこの世界からいなくなっている
それはこの世界の"事情"を知ったからだ
事情を知ったものが何らかの手を打とうとすればすぐに壊れてしまう、そんな脆い世界
だから事情を知った者は退場させられていた
これからこの世界は段々と崩壊に向かうと恭介は言う
理樹の目指すべき道は二つ
この世界の意味を全うさせるか、外への穴を見つけそこから脱出するかだ
夕方謙吾が部屋に来た
謙吾はまだ事情を知らなかったのでこの世界に留まり続けていた
だが何か異変が起こっていることだけは勘付いていて理樹にそのことを聞くが「話せない」と断る
佐々美が作ってくれた夕食を食べていると急に佐々美が語りだす
昔、一匹の黒猫を買っていたのだという
捨て猫だったが可哀想だったので佐々美が拾ってあげた
それからは毎日のように可愛がり、一緒に過ごしていた
隠れるのが好きな猫で佐々美はいつも探すのに苦労していた
そんなある日、佐々美の家族一同が引越しをすることになった
もちろん愛猫も連れて行くつもりだった
老朽化していた家は取り壊すことになっていて、引越しをする前にいつものようにどこかに隠れていると思われる猫を探そうとした
だがその日に限って猫は見つからなかった
引越しをした後もしきりに戻って佐々美は探し続けた
それでも黒猫はどこにも見当たらなかった
貼り紙もして必死に猫の行方を追い求めた
それでも駄目だった
それ以来、佐々美は猫嫌いになってしまったのだという
佐々美がトイレに行って猫の姿で戻ってくる
だがそれは佐々美ではなく本当の黒猫だった
佐々美が本当に猫になってしまったのではないかと心配する理樹
突然、黒猫が走りだした
走って追いかけると、あの入れるはずのない校舎裏に行くことが出来た
ここに何かがあるはずだ
「誰かいるの?」と問いかける理樹。すると――――
「ここに、いるよ」
脳裏にメッセージのようなものが流れてきた
しかし目の前に猫がいるだけで他にはここに何もない
すると目の前の猫から佐々美の声が聞こえてきた
わけがわからない事態に陥りつつも、佐々美を抱えて部屋に戻る理樹だった
翌日重大なことに気付く
学校の外が白い靄が掛かったみたいになくなっていた
この世界の崩壊が段々と近づいている証拠だ
誰かの願いを叶えなければならないのだとしたら、それは佐々美だ
謙吾がまだ残っている以上、考えられる原因は佐々美の恋心だ
佐々美に謙吾に想いを伝えるように促す理樹
謙吾に会って話を取り付ける。佐々美は猫のままで理樹に付いて行った
謙吾は佐々美が自分に好意を持っていることを既に勘付いていた
しかし同時に佐々美の気持ちには答えられないとも言い切った
佐々美はショックを受けるが理樹は食い下がる
昔、佐々美を助けたことがあると謙吾に言った
謙吾に心当たりはない
実はその助けたというのは本当は理樹のことだった
川で流されそうになっていた佐々美のユニフォームを見つけ、木の枝で引っ掛けて引き寄せようとするが途中で落としてしまう
それを見た理樹は問答無用で飛び込んだ
ユニフォームを無事取り戻した理樹だったが服がびしょ濡れになってしまって寮に一旦着替えを取りにいくことにした
それで謙吾に佐々美のユニフォームを渡してくれと頼んでおいたのだ
そのことを理樹は忘れていた
と、そこで佐々美の声が謙吾にも聞こえるようになる
驚いた謙吾。しかしそれも束の間、いきなり謙吾の体を白い霧が包んで消滅させてしまう
ついに謙吾もいなくなってしまった
段々と外の景色が白い靄に包まれつつあり、学校も消滅しそうになっていた
佐々美と理樹はひたすら校内を探索する
成果は相変わらず無しだった
その晩、理樹はまたあの校舎裏に行ってみることにする
「ここに、いるよ」、それだけを頼りに思いついたことだった
普通に入ることが出来た
相変わらず黒猫はそこで佇んでいた
ようやく確信を得た
この黒猫こそ、この世界を創造していた張本人だったのだ
しかし猫の姿では言葉は通じない
だから漠然的なメッセージを伝えるしかなかった
目蓋を閉じる、すると白黒映画のような黒猫視点のビジョンが見えてきた
それは今までこの黒猫が歩んできた生活
映像からこの黒猫は佐々美がかつて拾って育てていた黒猫と完全に一致した
急いでその事を佐々美に伝える
そして佐々美を連れてあの場所に行ってみる
理樹単独なら入れたのに行けなくなっていた
折角再会が出来そうだというのにあと一歩のところで壁が立ち塞がる
佐々美はそこまでやってくれた理樹に感謝をしてもうこの世界から現実に帰ってもらうことする
実は出口は既に見つけてあった
校門から外に踏み出せば現実世界に帰れる・・・はずだ
佐々美は理樹を押し出し、一人霧の掛かった世界に残ろうとする
だが穴だらけの世界。戻ろうと思えば戻れるはずだ。一旦現実に戻ったり理樹は佐々美を心配してまた戻る
そしてまた二人で諦めずに校舎裏に行ってみることにした
今度は入れるようだ
佐々美の気持ちが変わったからだろうか、会いたくないから会いたいへ
変わらず黒猫はいた。佐々美は懐かしむとともに手に抱え抱きしめた
鈴から買ってきてもらったモンペチを佐々美に渡す
黒猫は佐々美が差し出したモンペチを食べ始めた
そして佐々美は幼き日を取り戻したように黒猫と戯れ続けた
しかし段々黒猫の動きが鈍ってくる
この世界の崩壊と共に
この世界=黒猫の寿命だった
黒猫は今際の際に愛する佐々美に気付いて欲しくてこの世界を構築した
野良猫生活が長く、過酷な日々を耐え抜いてきた黒猫はかなり弱っていた
佐々美も動きを見ればそのことは一目瞭然だった
だから最期の時までずっと一緒にいてあげた
無事現実世界に降り立った佐々美と理樹
そこには息絶えた黒猫が横たわっていた
佐々美は自分の愛猫を日当たりの良い場所に埋めてやることにする
付き添ってくれた理樹、鈴、小毬、恭介に感謝した
そして数日後――――
笹瀬川佐々美はリトルバスターズの新入部員としてみんなに歓迎されるのだった
END
●佳奈多 リトルバスターズとして野球に励んでいる理樹の元に見過ごせない通知が恭介から届けられる
運動部会の部室がない同好会の人達が部室再配分の要求をしてきたらしい
それが野球部の部室も対象になったとのこと
勝手に使っているバスターズの面子としては中々手強い問題になりそうだ
そこで恭介は理樹に部室をこのまま貸してもらう交換条件として忙しい寮会を手伝うように命じた
了解して早速寮会とやらの手伝いに向かう
男子寮長のための働きなのに、終いには完全に女子寮長の仕事をやらされていた理樹
見事にこき使われている
いつの間にか佳奈多も女子寮長の隣に座って作業をしていた
仕事が終わるとすぐに教室を出ていく佳奈多
佳奈多のことを女子寮長に聞くと、色々な役割りを掛け持ちしているらしい
佳奈多は風紀委員、寮会の仕事、さらには部活までもやっていた
それから理樹は積極的に寮会の仕事をしに行く
今日は寮長に留守番を頼まれた。相談とかしに来る子がいたら対応してあげて欲しいとのこと
誰も来なかったら適当にくつろいでいてくれて良い、と結構アバウトだ
するといつの間にか佳奈多がいた
理樹を見るなり訝しんだ視線を投げかけてくる
無視して仕事を開始する佳奈多
理樹が「手伝おうか?」と言うと「自分でやるからいい」とつれない態度
暇そうにしている理樹に「あなたには他にやるべきことがあるでしょう?」と無愛想ながらも話しかけてくる佳奈多
どうにも理樹を追い出したいようだ
でも寮長に留守番を任されたので出ていくわけにもいかず居座る理樹
佳奈多は居心地悪そうにしていたが理樹はかまわず、クドリャフカのお茶を入れてあげた
そしてしつこく手伝おうか?と言ってくる理樹に折れて、仕事を分担することにした
夕方になって寮長が戻ってきた
仕事を終わらせた佳奈多は寮長が持ってきてくれたマフィンも食べずに教室から出ていく
理樹はありがたく頂くことにした
翌朝、佳奈多と恭介が中庭で話していた
非常に珍しい組み合わせだ
佳奈多は運動部会の事務作業もやっていたので、同好会連中の取りまとめ役を頼んでいたのだそうだ
実は佳奈多は剣道部員だった
だが今は幽霊部員扱いになっているようだ
寮会の手伝いに行くとまたもや佳奈多が何かしていた
「何やってるの?」と聞くと「何やってるのかわからないくらいなら出て行けば?」と相変わらず素っ気ない佳奈多
それでも理樹は佳奈多に喰い付いていく
佳奈多も相手にするのも面倒になってきたのか仕事を回してくれる
仕事が終わって理樹が手持ち無沙汰になるとすぐに「帰れば?」と言ってくる
やっぱり厄介者なのには変わりないらしい
だが理樹が寮会の仕事を手伝うのは既に日課になっており、その度に佳奈多となんやかんやで一緒に仕事することが多くなっていった
ある日、学食で佳奈多を発見する理樹
食事をご一緒することにした
しばらく会話していると佳奈多が何かに気付いたように席を立つ
学食の入り口に葉留佳がいた
葉留佳を見るなり、葉留佳の分の食事を持ってきてあげる佳奈多
葉留佳は少し気後れしながらも佳奈多に感謝する
佳奈多はトマト苦手だったので残していた
それを理樹が「貰ってもいい?」というと佳奈多は皿を差し出した
葉留佳も貰うことに
「ありがとう、『おねえちゃん』」
「・・・人前では言わないようにって言ったでしょう」
佳奈多の顔が歪む
何故だろう、佳奈多と葉留佳は姉妹であることは今初めて聞いたのにそれは以前から知っていたような・・・自明の理の気がした
食事を済ませた葉留佳は学食から出ていく
「ばいばい、かなた」
「!」
「あはは」
葉留佳は笑いながら去っていった
姉妹の楽しそうなやり取りに理樹も頬が緩む
羨ましそうに佳奈多のことを見ていたが佳奈多には何か思うことがあるようだ
自分がきょうだいがいないことを少し残念に思う理樹
「きょうだいがいるからっていいものとは限らない」と佳奈多は言う
隣の芝は青く見えるというものだ
実際当人達にしてみれば色々と厄介事もあるのだろう
今日も今日とて佳奈多と寮会の仕事をこなす
珍しいことに謙吾がやってきた
男子寮長に用があったようだが外出していた
謙吾は佳奈多を見つけるなり「たまには部活に顔を出せ」と言う
佳奈多はばつが悪そうに『元』副主将だから別に行かなくてもいい、とあっさり切り捨てる
幽霊部員扱いだったが主将がやめてくれというまではやることにしていた
別に好きでやっているわけではなくてなんとなくやっているだけだった
ここ最近葉留佳の様子がおかしいと女子寮長から話を聞く
ちょうどグラウンドに行くと佳奈多が運動部会の取りまとめを行なっていた
ちゃんと恭介の言ったとおりに動いてくれていた佳奈多
理樹は感謝すると同時に葉留佳のことを聞いてみる
考えてみるが元気のない葉留佳に佳奈多も心当たりがなかった
それもそのはず、あまり深い話はしないからだった
これで部活の問題は解決、無事に野球部部室を継続して使わせてもらうことが出来そうだ
終わったのにまだ寮会に顔を出している理樹
寮長と話していると外が騒がしい
理樹が現場に行くと二人の女子生徒がアルコールランプを巡って何やら問答をしている
片方の生徒は大量のアルコールランプを運んでおり、もう片方の生徒がそれを1つくらい貸して欲しいと揉み合ってしまう
それで一緒に持っていたランプやライターが地面に落ちてしまう
火の手が上がってしまった
偶然その場所に居合わせた佳奈多は状況をすぐ推察し理樹に消火栓からホースを持ってくるように檄を飛ばす
何とか消化してその場は収まった
だが佳奈多は激怒してしまう
女子生徒達には悪気はなかったのだが佳奈多はこれが嫌がらせか何かと勘違いしてしまったらしい
ランプを借りようとした女子生徒の襟元を掴みあげ詰問を始める
理樹が事情を説明すると佳奈多は落ち着きを取り戻して生徒を開放した
消火していたので佳奈多の服は濡れてしまっていた
吸い込んだ水を絞ろうとしたところで自分の迂闊さに気がつく
濡れたシャツの下、両腕に何か赤黒いものが纏わりついているような・・・
佳奈多は両腕を抱くようにして隠した
しかし時既に遅し、他の生徒達にもそれは見えてしまっていた
「なにあれ、気持ち悪い・・・」
佳奈多は顔を伏せたままその場から去っていく
理樹は地面に落ちていた上着を取って佳奈多の後を追うことにした
先程のことで何かを思い出したのか佳奈多は喉を押さえて吐いていた
理樹が背中をさすろうとしても手を払われる
その瞬間、理樹は先程の佳奈多の腕に見えた傷を間近で見てしまった
ミミズ腫れのような、やけどのような跡がびっしりと腕を覆っていた
理樹が心配するも佳奈多はパニックになっていて理樹を理樹と認識していなかった
まるで怖い何かを憎みながら、怯えていた
声を掛けて落ち着くように促すと佳奈多はようやく理樹を認識した
濡れている上着を着せるわけにもいかなくてとりあえずは自分の上着を佳奈多に着せた
どうしようか迷っていると良いところに唯湖が通りがかった
事情をいち早く察した唯湖に佳奈多のことを任せた
翌日、佳奈多腕の噂は校内に広がってしまっていた
学食にて浮かない顔でルームメイトの佳奈多を待っているクドリャフカがいた
理樹が佳奈多の事をクドリャフカに聞くとある程度は知っていた
今落ち込んでいる佳奈多の手助けをしてあげて欲しいと理樹に頼む
出来ることをやってみようと決心するのだった
放課後、寮長室に足を向ける理樹すると中から佳奈多と誰かの声が聞こえてくる
相手の女子は佳奈多と葉留佳の"監視役"だった
佳奈多の傷痕の事が周知されてしまったことが二木の家に連絡が入ってしまったようだ
監視役の女子はお役御免で転校するらしい
さらに佳奈多には『相手』も用意されていると伝えた
佳奈多は全てを見越したように諦観した
話が終わった後、佳奈多に声を掛けようとしたが後ろからちょんちょんとつつかれる
葉留佳だった
葉留佳は今の話をもう既に知っていたらしい
『相手』というのについて聞いてみた
それは佳奈多の結婚相手のことだった
佳奈多は優秀だったから実家の跡継ぎになっていた
でもここまで気が早いとは思っていなかったようだ
葉留佳は佳奈多が自分の身代わりになったのだという
複雑な家の事情を理樹に話始めた
家の事情の事はどうでも良かった、葉留佳はただ居場所が欲しかっただけだった
そして居場所を教えてくれた人がいた、と言う
その人に支えられて頑張ってもいいかなと思った
理樹にはそれが誰なのかわからない
だが遠い昔、そんなことがあったような――――
葉留佳が元気がなかったのは自分が佳奈多に対して何もしてやれないという無力感からだった
葉留佳はもっと佳奈多と話してみることにする
理樹も葉留佳と同様に佳奈多に対して何か出来ないか考える
幼い頃からずっと比べられて育った二人
いつも勝者は佳奈多
勝った子にはご褒美が与えられて、負けた子にはお叱りが待っていた
佳奈多は負けた葉留佳とも喜びを分かち合えるように褒美はいつも半分こしていた
葉留佳は最初嫌がるが最終的には受け取っていた
佳奈多にはその理由がわからなかった
この日も勝者の佳奈多は叔父達からビー玉を貰っていた
葉留佳にもあげようとするが手を払われてしまう
だから私は"いつも"みたいにいじわるをした
「じゃああげるのやーめた」
佳奈多がそう言うと葉留佳は泣きそうになる
どうしてそんな顔をするの?どうして素直に欲しいと言わないの?そうすれば全部あげてもいいのに。葉留佳になら全てをあげたっていい。葉留佳が側にいてくれるのならば
「でもそれだとはるかがかわいそうだから、いっこだけはるかにかしてあげる。かすだけだからね。わたしが返してほしいといったらすぐに返すんだよ」
こうしたら葉留佳は必ず受け取ってくれる
こんなやり方は本心ではなかったがこの日も葉留佳はビー玉を受け取ってくれた
翌日女子寮の前で聞き慣れた声がした
佳奈多と葉留佳だ
足早に校舎へ向かおうとする手を葉留佳が掴む
しかしすぐさま振り払われてしまう
お互い辛そうだった、払った方も払われた方も
だが葉留佳は諦めなかった。『いつか得た強さ』で佳奈多に必死で話しかける
でも佳奈多は葉留佳の言葉をぴしゃりと遮って校舎に入っていった
今日から一緒に教師に行こう、と葉留佳が言ったら怒られてしまったのだ
親戚達がいつ来るかわからない状況だから佳奈多には葉留佳と仲良くしているところを見られてはいけないのだ
この歳になってもまだ続いている叔父達の戒めに佳奈多も葉留佳も苦しめられているのだろう
もっと話がしたい、これからは今まで出来なかった分も
葉留佳は折れずに佳奈多に話しかけ続ける
佳奈多はどんどん葉留佳に怯えているようになっていた
葉留佳に話しかけられるとすぐさま場所を移動した
葉留佳とは話したくないのに、クドリャフカとは話しているのが葉留佳には羨ましかった
赤のではなく実の姉妹だというのに距離が遠い
授業参観にも叔父達はこなかった
叔父達にとってどうでもいい存在なのだと理解した
『さいぐさ かなた様』
宅配業者の人が荷物を届けに来た
しかし自分のことを三枝という人間はあまりいない
三枝の跡取りになったらそう名乗るように言われていたからだ
荷物の中身が少々気になったが余計なことをして怒られるのも嫌だったので放置した
珍しく佳奈多が遅刻してきたと葉留佳が言う
精神的に追い詰められているのは明らかだった
幼い頃からくだらない競争ばかりしていた二人
最初はどうして佳奈多がいじわるするのかわからなかった
でもそれはある"約束"をしていたからだった
「いつかお母さんやお父さん達に会いに行こう」
『それまでは仲が悪いふりをしよう』
幼かった二人の約束事
しかし仲が悪いふりをしているうちにどれが本当かわからなくなってくる
もしかして本当に悪意があるのではないか?段々と疑心暗鬼に駆られてくる
全てが悪意に満ちてくる
それが葉留佳の嵌ってしまった落とし穴だった
でも、今は違う。佳奈多は葉留佳を決して嫌ってなどいない、むしろ正反対の感情を持ち合わせている
今ならそれが分かる。"もう自分は救ってもらったから"
また私が勝った
勝負に勝つだけではなく勝ったのならはるかをいつもみたく罵らなければならない
それが苦痛だった
部屋に入るとテーブルの上にメモ書きと箱が置いてあった
「今回の勝利品を贈る」とだけ
開けてみると中には髪留めが4つ入ってた
佳奈多はその4つという数に疑問を抱いた
同じ物を二つずつ。双子の私達に
そうだったらいいな、と佳奈多は解釈した
今日は10月13日、もしかしたらと思う
勝負に負けた葉留佳が叔父達から仕打ちを受けて部屋に戻ってきた
いつものように罵ろうとした佳奈多だったが今日ばかりは出来なかった
佳奈多に怯えている葉留佳に髪留めを差し出す
確信はないがたぶんこれは母親達が送ってくれたものだと佳奈多は言った
私達への誕生日プレゼントなのかもしれない
勝負に負けて引け目を感じているのか、やっぱり葉留佳は貰うのを拒もうとする
佳奈多はいつも罵って葉留佳に物を与えていたがその日だけは「いつも、ごめんね」と言って優しく微笑んだ
葉留佳も普段とは違う佳奈多の態度に少しだけだが笑い髪留めを受け取った
葉留佳はそれを貰うなり、「昔約束したとおりなんだね」と佳奈多に言う
やっぱり姉はただ演技をしていただけだった
本当はちゃんと自分のことを好いていてくれた
「手をぬくのも、大変なんだよ?」
「・・・手を、抜く?」
佳奈多に衝撃が走る
今より小さい頃、時々は葉留佳が佳奈多に勝っていた
この妹ときたらその時姉が虐められてとても辛そうにしているのを見兼ねたのか、自分が"ダメな子役"を買って出たのだ
佳奈多は努力型の秀才、努力もせずに佳奈多に勝つ葉留佳は天才だったのかもしれない
しかし葉留佳は見事に泥を被る役を担った
それは姉のためだった
そしてその日改めて葉留佳は言った、どんなことをされてもそれが佳奈多の芝居だと
その時廊下から叔父達の足音が聞こえてきた
私たちはまた『仲の悪い兄弟に戻った』
佳奈多がいきなりグラウンドの利用申請を厳格化し始めた
全く意図がわからないので佳奈多に話をしにいく
風紀委員がいる委員会室を覗いてみることにした
他の風紀委員からも佳奈多が珍しく理屈に適っていないことばかり口にするものだから異議が飛び交っていた
結局多数決で厳格化は否決されてしまった
様子がおかしい佳奈多に理樹が話しかけると自嘲的に笑う佳奈多
今のままでいたい、私は変わりたくない
一人にして欲しいと佳奈多が言ってきたので部屋を出た
気を張り詰めすぎていた
寮会に顔を出し寮長に佳奈多に何か言ってくれないかと頼む理樹
でも本人が望んでいることだから寮長も手が出せない状態だった
佳奈多を助けてあげたい
「誰かを救おうなんて傲慢だ」
いつか誰かに言われた気がする
それでも理樹は自分の意志を貫き通すことにした
竹刀を振っている間は楽だ
相手を叩きのめすことだけを考えていればいいから
他に嫌なことは何も考えなくていいから
剣士としては失格の極みだ
部員が大会三位に入賞した御祝をしてくれることになった
私は遠慮した
こうして外に触れさせてもらうだけで私は恵まれているんだ
葉留佳は今頃どうしているだろうか?
私が・・・私が頑張らなければ葉留佳がいなくなってしまう
やりたくもない剣道だっていつかは武器になるかもしれない
「振りたくもない竹刀を振るのはどんな気分だ?」
「腕が痛いわね」
振り向きざまに宮沢に竹刀を振りかぶる
「そんな剣では何も倒せやしない」
宮沢はあっさり拳で防いでみせた
「変わりたくないの。でも変わってしまいそう。だから振るの」
「ずっと、変わらなければいいのにな・・・」
同類?まさか。仮にそうだとしてもタイプが違う
「剣道は好きか?」
「嫌い。大嫌い」
「そうか」
宮沢は笑みを浮かべながら去っていった
また竹刀を振ろうとする
しかし体が傾き、地面がすぐ側まで近づいていきた――――
クドリャフカが慌てて理樹の部屋に入ってきた
佳奈多が倒れているのを発見したようだ
一人では運べないので理樹に協力を求めてきた
理樹も急いで佳奈多の元へ向かった
雨は嫌いだ
雨の降った日には碌なことがない
この日もそうだった
久しぶりに葉留佳を見た。名前を呼ぼうとしたが憔悴して虚ろな目をしていたため躊躇った
叔父達は言った
「その髪留めがどうして二つあるか知っているか?それは永遠にお前が二番手であるという意味だ。佳奈多は既に一つ捨てた」
私は捨てていない。あの大事な大事な髪留めを捨てるなんてありえない
机の中に大事にしまっておいたはずの髪留めがひとつ、泥水の中に捨てられた
叔父達は「佳奈多はそんなことしない」と否定する葉留佳が信じられなくて目の前で確認したいらしく下劣な提案をしてきた
葉留佳の味方になってあげたい、葉留佳のために何か言ってやりたい
でもここで肯定してしまったら妹はもっと酷い目に遭うんじゃないか?
私は何も言えなかった
黙っていることしか出来なかった
私の態度を遺憾に思ったのか競争はより激化することになる
私はずっと勝ち続け、"約束"のために妹を侮辱し続けた
でもそれは妹の憎しみを増幅させているだけに過ぎなかった
今日も剣道で葉留佳を打ちのめした
「いままでうそをついてきたんだ。ときどきやさしかったのも、ぜんぶうそだったんだ。あたしをだましたんだ」
「だってしょうがないじゃない。私とあなたとでは『違う』のよ。あなたと私じゃ誰だって私を選ぶでしょう。誰だってね」
大人達が言いそうな吐き気のする台詞だった
勝負が終わった後葉留佳の住んでいるところを見て絶句した
ボロボロの小屋、雨風なんて全く凌げない。何でこんなところに葉留佳はいるのだろうか
私が頑張れば葉留佳には何もしないという約束ではなかったのか?
「わたしのはるかになにをしたぁぁっ!!」
知らずの内に親族の胸ぐらを掴んでいた
理由を聞かなれば納得が出来ない
叔父達が言うには私が『慣習』を変えようとしたのが原因だったらしい
こんな腐った慣習はもう御免だ。早く解放されたい、そう思ったのがいけなかった
私にはまだそういう権利は無かったようだ。少なくとも結婚するまでは
「今やろうとしていることをやめ、お前自身の未来を今捨てろ。そうしたら妹を解放してやってもいい」
叔父達には私が両親を探していることもバレていた
私が頑張れば葉留佳には手を出さないという約束を守らなかった連中なぞ信用出来るものか
心底そう思ったがこのままでは葉留佳が先に壊れてしまうのは明確だ
もう一度確認を取る。私が言いなりになれば葉留佳にはもうこれからは絶対に何もしないと
叔父達は私の質問に次々と肯定していく
「じゃあ、私、はるかと・・・手を繋いでもいい?」
「それはダメだ」
冷たい言葉が降ってきた
私と葉留佳の誤解が解ける日はもう来ないのだろうか。でももうそれで良い。葉留佳が生きていけるのならばそれで良い
私は物言わぬ人形になろう――――
叔父達の条件を飲んだ
それが私が全てを諦めた日だった
佳奈多がベッドの上で目覚めた
倒れた原因は過労
理樹が隣にいることに気付くとどうしているの?と聞く
心配だからという極単純な理由
佳奈多の助力になりたい理樹は佳奈多のに手を差し伸べる
何もかも一人でやって生きてきた佳奈多
正義の味方なんか現れなかった
今回も自分で解決しなければいけないのに、自らの問題だから
でも目の前にある手を取ってしまいそうな、そんな自分が最低だった
「差し伸べられた手を取ることは最低なことじゃない」
どこまでも果てしなくお人好しな理樹
ゴリ押しにも程がある善意に佳奈多もついに折れた
それから佳奈多は少し眠る
起きると傍らに葉留佳がいた
葉留佳の居場所を作るために悪者になった佳奈多
でもそのためにやった行いは決して許されるものではない
誠意を込めて葉留佳に謝った
「『もういいよ』って私、あのときゆったよ?」
葉留佳はいつかの台詞を繰り返した
佳奈多はずっと葉留佳が夢見ていた両親との生活を実現させた
しかしそれは夏まで間だけだった
これからのことを葉留佳に話すと葉留佳は大人しく聞いてくれた
葉留佳は佳奈多の辛かった心情を汲み取り、宥めてあげた
佳奈多が望んだただひとつの願い
妹に許してもらうこと、がようやく実現した
佳奈多はそれだけで本当に救われたように安心した
葉留佳は今後のアドバイスを佳奈多に送る
荷を下ろせばいい、ということで佳奈多の仕事量を激減させることにした
剣道部を退部、風紀委員も辞退し寮会の仕事のみにした
風紀委員の腕章も外した
心身をリフレッシュした佳奈多は以前よりも居心地がよさそうだ
これで思い残すことはない
授業中いきなり校門に黒塗りの車が現れる
そこには佳奈多の姿があった
実家に帰るのだろうか
理樹はその姿を見つけるなり、みんなに手伝ってもらい窓から直接グラウンドに降り立ち佳奈多のところまで言った
後から葉留佳たちも来た
元々は夏の終わりまでと決めていたらしい
それが少しだけ早くなっただけのこと。飄々と答える佳奈多
それは嘘だよ!葉留佳が強く言う。気圧される佳奈多
「あそこは帰る場所じゃない。もし帰るというのならみんなで一緒に付いて行く!」
無茶苦茶なことを言う葉留佳
そこまでして佳奈多を引き止める葉留佳の必死さに、自分への想いを嬉しく感じた佳奈多は「やっぱり、帰りたくない」とハッキリ言った。ここに居たいと
「後で後悔しても知らないぞ」
捨て台詞を残して、男たちは去っていった
そしてそれは現実のものとなってしまう
とあるホテル佳奈多の学園生活に終止符が打たれようとしていた
佳奈多の結婚相手の顔見合わせが行われるようだ
それを阻止すべく動き出すバスターズの面子
佳奈多が現れる頃合いを見計らって掻っ攫う
突然のことにびっくりした佳奈多だったが呆れて物も言えなかった
色々とぶち壊しさらには一時的に3人分の退学届を出してきたという葉留佳
先行きは不安だが今回のお見合いには親族の大半も反対していたらしく味方は多そうだった
ほとぼりが覚めるまでどこか別の所で暮らすことにしたのだ
あまりの大立ち回りに呆れ果てながらも楽しそうな佳奈多。葉留佳はしてやったりと得意気な顔だ
二人の姉妹の幸せそうな顔を見ながら満足する理樹だった
END
どうもこの姉妹のルートは自然とタイピングが進むw
●沙耶 真人に貸したノートを教室の机に入れっぱなしにしてきてしまったため、予習が出来ない理樹
仕方ないので学校まで取りに行くことにする
誰もいないはずの学校なのにいきなり誰かに組み伏せられる
女の子の声だった
振り返ろうとするが顔を見ることは許してくれなくて、このまま真っ直ぐ行って非常階段から外に出ていけと言われてしまう
大人しく従う理樹、でも気になる
危険かもしれないと思いつつもまた校舎に引き返す
ドアを開けて覗いてみるがもう誰もいなかった
床に生徒手帳が落ちていた
中を見てみると、朱鷺戸沙耶という名前であることが判明した
同じ二年の生徒だった
翌日、生徒手帳を返そうと沙耶のいる教室に向かう理樹
和気藹々と談笑していた沙耶だったが理樹の顔を見るなり目つきが鋭くなる
ついさっき初めて会ったばかりだというのに沙耶からメールを着信していた
屋上に行くと沙耶がいた
「あなたは死ぬの、これから」
いきなり死の宣告を受ける理樹
なんか夜の校舎をうろついていたことにより、"闇の執行部"に拉致されるやらなんやら言われる
さっぱり意味がわからない理樹だが、どうやら夜の校舎にいたのが沙耶だということを知られてはいけないらしい
「ゲーム・・・スタート」
口封じのため理樹突然理樹を屋上から突き落とそうとする
なんとかフェンスの端を掴んで持ち堪える理樹
目の前の沙耶に助けてというが相手は殺意を持ってこんなことをやっているのだから当然助けてくれるはずなんかない
あまつさえ本物の銃まで取り出してトドメをさせようとしてきた
もうダメだと思ったその時、真人がナイスタイミングで下から声を掛けてくる
真人が受け止めてくれることを信じて理樹は落下していく
見事真人は理樹を受け止め、死を免れた
沙耶の言っていた闇の執行部について考えを巡らせる理樹
廊下を歩いていると人の頭と思われる謎の物体が地面から顔を出していた
実に気味が悪い
そいつは聞き取りにくい早口で喋り出す
理樹に警告をしにきたようだ
バスターズの野球練習が終わり部室に入ると突然ドアが閉められる
何か嫌な予感がしたのですぐ外に出ようとする
簡単に扉は開き外に出られたがそこでロープが首に巻き付いてくる
トラップだった
何とか謙吾に助けてもらい命からがらの目に遭う
今度は夜の中庭で警戒しながら歩いているといきなり電柱が倒れてくる
またもや理樹の命を奪おうと何者かが仕掛けてきたようだ
電柱をかわす。だが狙いは別にあった
倒れた勢いで無数の電線が理樹に向かって襲い掛かってくる
持っていたバットで何とか凌ぎ、寮に逃げ帰る
「理樹くん。あなた、面白いわ」
自分の部屋には何故か沙耶がいて、興味深そうに理樹を見ていた
三度も沙耶の攻撃をかわしたことに沙耶は感嘆していた
一度は失敗しても二度目をしくじることはないそうだ
運にも恵まれていたが運も実力のうちと判断した沙耶は理樹と手を組んでみないと誘ってくる
沙耶の目的はこの学校に隠された秘宝だという
諜報員、いわゆるスパイとしてこの学校にやってきたのだそうだ
秘宝は地下にあるらしいが入り口が見つけられず困っていた
仕方なく沙耶に協力することにした
協力すると言うやいなや拳銃を渡される、もちろん実銃だ
夜の校舎に侵入しようとするといきなり闇の執行部の影と出くわす
理樹が銃を撃つのを躊躇っていると沙耶は躊躇せずに影を撃った
目当ての教室に入るなり沙耶がどこかに入り口があるはずだと調べ始める
その間理樹は影が襲ってこないか見張りを務める
しかしこういうのは理樹のほうが向いていそうだったので交代
どうやら仕掛けがあったらしく、机と椅子をピラミッド状に積み上げると後ろの黒板に穴が空いていた
そこから地下に侵入出来そうだ
今日は入り口が分かっただけでも大きな収穫だったので、これからは作戦を練ることにする
そして翌日の晩、突入を決行
沙耶が先に降り、理樹が後から付いていくようにする
どんどん階層を下り進む
四苦八苦しながら地下8階まで行くとエレベーターらしきものを発見する
だがエレベーターの階層を見て愕然とする
パネルには60も階層が表示されていたのだ
一体沙耶の任務はいつになったら終わるのだろう・・・先の見えない戦いだった
翌日再び地下8階から探索を始めようとする
沙耶はエレベーターのパネルを銃で撃ち、「こんなのはまやかしよ。60階建ての地下迷宮なんて存在するはずがない」と自分に言い聞かせる
「・・・それがまだ明かされていない謎だとしたら?」
不意に声がした
するとこの学園の制服を着て、仮面をつけた一人の人物が現れた
闇の執行部部長、時風瞬
沙耶は気合を入れるなり時風瞬に向かっていった
辺りは静けさを取り戻す
沙耶も瞬もいない、理樹だけが地下迷宮にいた
沙耶を探すもどこにも見当たらない
仕方なく地上に戻った
もしかして今までのことは全部夢だったんじゃないか?
いやでも確かに沙耶はいた。先程まで一緒に戦っていたはずなんだ
真人や謙吾にもそれを証明しようと再び机と椅子をピラミッド状に組み立て、地下迷宮への入り口を作る
だが仕掛けも何も作動することはなかった
あたしは夜の校舎、その廊下にいた
光る文字が浮かび上げる
G、A、M、E、S、T、A、R、T
ゲームなんてもんじゃない、あたしにとってはこれが全てなんだ
ここに居るあたしがすべて。後にも先にも何もない。今だけがあたしなんだ
この世界のボス、時風瞬に再び挑む
影を倒したところで不格好な男の子に出会う
この場は校舎で追い出したがまた翌日、生徒手帳を落とした彼と会うことになる
「ねぇ、僕達どこかで会ったことない?」
信じられない言葉を聞いた
彼は私とかつて会ったことを覚えていた
嬉しかった、それが昨日ことでも"もっと前の事"でもいい
そう言って貰えたことが嬉しかった
さぁ再び地下8階を目指そう、そこでヤツは待っている――――
理樹と地下8階に来る沙耶
エレベーターの前で時風瞬は待っていた
沙耶は時風瞬に銃弾の雨を降らせる
「諦めろ、お前に俺は倒せない」
拘束され、地面に寝転がされる沙耶
別に殺されようがどうされようが構わなかった
「そうしてまた、"リプレイ"するのか?」
「あたしは最強のスパイなんだから。任務は決して失敗しないんだ!」
「おまえ、何をそんなに頑張っているんだい?」
「それは頑張るでしょ!何も知らないままで死んじゃったんだから!こんなところにあたしが駆け抜けたかった青春があったんだから!」
朱鷺戸沙耶とは瞬の愛読者の登場キャラクター
それは瞬が生み出したものだと思っていた
だが、朱鷺戸沙耶は明確なイレギュラーとしてこの世界に存在した
今回も敗北した沙耶はもう一度チャンスをくれないかと頼む
そしてもし勝ったらこの迷宮の先にある秘宝を手に入れさせて欲しいと
瞬は怪訝な顔つきになる
"原作"でもまだ秘宝の正体は明らかにされていなかったからだ
沙耶はもう考えてあると言った
三度理樹と地下8階を目指す
最終決戦の手前、沙耶は秘宝について語る
推測ではタイムマシンと言う
沙耶は過去をやり直したかった、自分の人生が到底納得の行く終わり方じゃなかったためだ
でもそうしたら理樹とは会えない
「じゃあ理樹くんもどう?」
「・・・それもいいかもね」
夢のような話だったが今この地下迷宮なんてものを探検していることそのものが夢に相違ない
ここまで来たらなんだってありそうだ
地下8階到達
三度目の正直。今度こそは勝つ
理樹と協力して左右肩に一発ずつ銃弾を撃ち込むことに成功
蹲って動けなくなる瞬
約束通り秘宝の場所まで通してもらう
奥に稼働しているエレベーターがあるようでそれに乗って、地下の最深部まで行く
地下60階にあった秘宝、それは『生物兵器』だった
小部屋に入っていく沙耶
理樹が扉を開けようとするが開かなかった
「ここでお別れよ」
突然別離の言葉を投げかけてくる沙耶
「あたしと出会うルートはね、"バッドエンド"なのよ」
全く意味がわからない。沙耶の言っていることが全然理解出来ない。説明してほしかった
沙耶はわざわざ理樹がここまで付き合ってくれたことに感謝していた
この世界の去り方、自分に銃を向けて引き金を引くだけでいい
「ありがとう、理樹くん」
そして沙耶は自分の頭に充てがった拳銃のトリガーを引いた
目が覚めた理樹は泣いていた
まるでとても長い夢をみていたような・・・
恭介にそのことを話すと闇の執行部が要注意人物にまんまと出し抜かれたらしい
タイムマシンに乗って逃げられたとかいうとんでもないオチだった
理樹は沙耶のことを思い出す
そういえば沙耶はそんなことを言ってなかったか?地下にある秘宝はタイムマシンだと思ってると
しかし実際にあったのは生物兵器だったはずだ
でももしかしたら違ったのかもしれない。あの時は沙耶が意味不明なことばかり言ってたから頭が混乱していた
もしタイムマシンに乗って過去に言ったのだとしたら――――
「起きたかい、あや」
目の前にいるのは父親だった
あれ・・・生きてるやあたし・・・
手が随分と小さい。これは子供の手だ
お父さんに夢の内容を話した。パートナーになった男の子と一緒に地下迷宮をずっと進んでいく。そのうちに男の子はあたしに恋をしてしまうのだと
「じゃあ彼にも希望はあるのかな」
ん?彼って?
「こっちに来てからずっと遊んでいる男の子だよ」
あれ?こっちにいる男の子もりきくんって言うんだ
でもなんか夢の理樹くんと違って頼りないなぁ、まぁいっか
あたしはその男の子と遊んであげることにした
END
葉留佳 ≧小毬 >美魚 >Refrain >クドリャフカ >佳奈多 >佐々美 >唯湖 >沙耶 >鈴 正直Refrainより個別の方がいいと思うのは俺だけかな?w
■各シナリオ所感葉留佳・・・見事俺の中で一位に輝いたのは葉留佳ルート。やっぱこういう家族ぐるみなのは俺にとっては良いシナリオに映りやすいんだよねw 何ていうのかな、現実は思うように上手くいかないと思っていた姉妹がさ、すれ違いで望む方向とは違うところへ行ってしまったけど最後には和解し合うっていうね
結局、どっちが三枝晶の娘かってのはわからないままで終わっちゃうんだけど、これはわからないようにして正解だと思うわ
仮にどちらがどちらか分かったとしても気まずい雰囲気になるのは分かりきってるからねw
そのままだったら、諦観。逆だった場合はもっと最悪の結末。「今まで私達がしてきたことは何だったの?」という展開になるし
俺の琴線に一番触れるシナリオだった
小毬・・・小毬ルートは一番涙腺が緩んだ。あの理樹が小毬のために絵本を作るシーンがこのリトルバスターズというゲーム
の中では一番心にグッと来るところだと俺は思うんだ。そういう意味では葉留佳ルートとは僅差です
あとマッチ売りの少女って結構悲しいお話だったのね。これは全然知らんかったから勉強になったわw
美魚・・・最もKey色が出てたシナリオじゃないかなぁと思う。Key色ってどんなんだ?って言われるとそれは人それぞれなので何とも言えないけどw
凄い詩的というかね、上品なシナリオだよね。うーむ、上手く言葉に出来ないw
ちなみに美魚ルートは人気が高いらしい。俺も中々好き
Refrain・・・たぶんこのゲームで一番人気があるパートなのは間違いない。でも俺的にはそこまで好きじゃないんだよね。結局のところ理樹と鈴を成長させるために、色々と恭介が手を回したけどそれって"恭介の手のひらの上で踊らされている"だけという意味にもとれるんだよね。全ては計画通りみたいなw
でもそのおかげで鈴と理樹は生きていく強さを手に入れたし、間違った選択はしてなかったからあながち否定的な意見で押し切ることも出来ないという・・・ モヤモヤ感が少し残る
あと、最後の過去に戻ってバスターズの面子を全員助けるというのはさすがに蛇足だと思ってしまった
個人的にあそこは理樹と鈴だけ生き残ってそのまま終わって欲しかった
全員助けちゃったら、恭介や謙吾、真人が何のためにあそこで身を挺して理樹と鈴を助けたのかわからなくなっちゃうからね。庇った意味がなくなるw
だからそのために選択肢を用意したんだろうね。プレイしている最中は「あんなところ選択肢いらなくね?」とか思ってたけどクリアした後考えてみると実に腑に落ちる
クドリャフカ・・・クドのルートは「どうせ軽い話なんだろ~?」と思ってたら予想以上に重い話で意表を突かれたというのが正直な感想ww まさかあそこまでスケールがデカくなるとは思わなかった
クドのルートで腑に落ちない点は鎖で繋がれているクドにいきなり理樹がシンクロするところ。別にどうせ夢だからと言ってしまえばオカルト現象とかそういうのは全部この作品では容認されちゃうんだけどさ、それでも俺は出来るだけ"そういう要素"が少ないほうがいいんだ。だからオカルト要素がほとんどない葉留佳や小毬のシナリオは評価が高い。所詮夢だけど(オチ)
クドルートはRefrainをクリアした後にプレイすると追加あり
さらに詳細にシナリオを知ることが可能。ここでは省く
佳奈多・・・佳奈多のルートは葉留佳のルートを佳奈多視点からユーザーに見せて描いた感じかな。佳奈多の胸にある葛藤が上手く描かれていて、特に幼少のシーンは本当に響いた。この姉妹のシナリオは好きだw
ただ"佳奈多のルートは葉留佳を救った後の話"というのが大前提になっているから、最初から葉留佳はもう佳奈多が本当は善意でやっていることを"知っている"
だから割りと馴れ馴れしく佳奈多に話していくのだけども、逆に今まで辛く当たっていたのにそんなに優しくされても困る・・・優しくされればされるほど今まで佳奈多がしてきた葉留佳への仕打ちが心を蝕む。ここら辺の心情描写がとても好き。良く描けていると思う
佐々美・・・佐々美ルートは唯一、Refrain後の話になる。黒猫の創り出した世界(マーブルファンタズム的な何か?w)に迷い込む。昔からずっと大事にしていた愛猫とは言え、年を経ると意外と気付きにくいもんなのかねぇ・・・ まぁ何年も会ってなかったらそうなるか。感動するというよりは笑えるルートだった印象が強い。最後ちゃんと見せ場あるから良かったけどw
唯湖・・・言っちゃ悪いけど手抜き臭がするwww
好き同士になったと思ったらいきなりそれが無限ループしてる世界ってw
夢とはいえ、ちょっと救われなさ過ぎてんよ~
まぁ最後はちゃんとお互いのこと覚えてたから良かったけど
相対的に見て他のルートよりも短め
唯湖ルートもRefrainクリアした後、追加選択肢あり。少しだけだけど最後の展開が変わる
沙耶・・・沙耶のルートはちょっとわかりにくいから補足。もともと朱鷺戸沙耶っていうのは恭介が大好きなスクレボという漫画の登場人物。それで現実にいる人物は"あや"って子なんだけどこの子は幼い頃父親の仕事に付いて行った際に、工事現場で事故に巻き込まれて死んじゃったのね。あやも偶然スクレボを読んでいたらしく朱鷺戸沙耶って子に憧れちゃったわけで、その羨望の気持ちが朱鷺戸沙耶というキャラに憑依したというかまぁそんな感じ。理不尽な死に方したから納得行かなかったんだろうね。ちなみにあやは幼い頃理樹と会っているのは本当。俺も自分なりに解釈してるからこれで正解かどうかはライターに直接聞いてみないとわからないw
鈴・・・鈴ルートは完全にRefrainへの布石なんだよね。だから俺はもう鈴ルート=Refrainとイコールで繋げることにしてる。一応別物扱いなんだけど単品だけではボリューム全然無いし、一緒くたにしちゃってもいいかなーと
■キャラ二木佳奈多 >>>朱鷺戸沙耶 >来ヶ谷唯湖 >古式みゆき >笹瀬川佐々美 >三枝葉留佳 >棗鈴 >西園美魚 >能美クドリャフカ >神北小毬 ●二木佳奈多かなたーん!俺だー!結婚してくれー!
いやーもう最高ですね、このキャラ。ダントツですよ
俺のハートをガッチリ掴んでくれました
かわえええええええええええええええーーー!!!
デレるまでが結構大変だけどデレるとマジで可愛い
まぁ普段のツンツンした威厳のある態度も好きなんだけどね
姉妹だからなのか寸分違わず同じ台詞をシンクロして言えるところがさすがw
真人並の言いがかりをしたりもする
いやこの文章の長さは葉留佳似かw
KeyゲーなのにNTR展開か何か?
ここで佳奈多が理樹を寝取ってたら"別の意味"で神展開だったwww
全てを悟った仏のような表情の立ち絵は不意に出されると良いシーンなのに無性に笑えてくるからやめろ
ラストの見合いの時の服が超似合ってて可愛い
天使や!天使がおるで!
かなたんの処女イタダキィー!イタダキィー!イタダキィー!イタダキィー!イタダキィー!イタダキィー!ヴォルカニックヴァイパー!!
俺の携帯のメールアドレスwww
運命を感じるぜ・・・かなたん・・・
●朱鷺戸沙耶 任務に忠実な冷酷無比な諜報員かと思いきや肝心なところで何か抜けているという天然キャラ
EX新規参加だけど気に入った
滅茶苦茶面白いよこのキャラw
というよりは風音の演技に笑っていただけもしれないww
すげぇ楽しそうに演技してるんだもん
沙耶ルートは途中から完全にギャグになってました
何気に自虐するときの台詞が長いww
ここはくそわろたwwwww
もうこれ完全に素の風音じゃねーかwwwwwwwwwwwwwwwwwほめらじwwwwwwwwwwwwwww
ちんこについて語るなwwwwwwwwwwww面白すぎるwwwwwwwwwwww
こら理樹wwwwwお前普段そんなことしないだろwww何で沙耶に対してはそんなに変態的なんだよwww
沙耶のルートは理樹も色々とぶっ壊れてるんだよなぁ・・・
これはFPSの臭いがしますね・・・
俺の血が騒ぎますよぉ~
YOU ARE ECSTASY!!
わけがわかりません
あのさぁ・・・
●来ヶ谷唯湖 昔は一番好きだったはずなんだけどなぁ。その時は佳奈多の良さに気付いてなかったからかもしれないけど
凛々しい時は好き、それ以外はただの変人だろこの人w
女子なのに女の子大好き
これ吹いたわwwwwwwww
発想の天才だろこの人
ただのエロオヤジじゃねーかwwwwwwwwww
思考がオッサン過ぎる・・・www
ここのHKR姉貴の演技鳥肌立つ程怖かったんだよなぁ
ドス効いててマジで殺されるかと思ったゾ~(恐縮)
●古式みゆき 皆さん、この人物を覚えているだろうか?
Refrainにて僅かしか登場しなかったレアキャラクターであり、"立ち絵は一瞬で一枚しかなく、2~3回クリックしたら消えてしまうという――――
彼女のことをッ!
古式さんのルート追加マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
最初見た時「うおおおーーー!!古式さん立ち絵あったんだ!」みたいな衝撃受けたからもっと出して欲しかった・・・
容姿はかなり好きです
●笹瀬川佐々美 お嬢キャラ
これを鈴と同じ民安がやってるのを知った時は結構驚いたなぁ
言われてみればすごく似てるのは一発で分かるんだけど、知るまでは完全に別の声優だと思ってたw
それくらい声の使い分けが出来てたと思う
八重歯かわゆい
中華料理得意なんですの
ちょっ!足速すぎィ!!
ふつくしい・・・
●三枝葉留佳 ムードメーカー的存在のキャラ
でも表面上だけ見ていると過去にあれだけ凄惨なことがあったなんて普通は気付かないよね・・・
話に脈絡がないのが特徴
声優は佳奈多と一緒の鈴森ちさと
佳奈多と葉留佳のキャラの使い分けは本当に凄いと思った
よく一人で対極のキャラを演じられるよね
演技力に感動した
はるちんセリフがなげ~
スゲェwww
バトルの時の台詞面白すぎるだろwwwww
いちいち大げさ過ぎんだよwwwwwwwwwww
BADEND時のストレート葉留佳
うわぁ、これはもうほとんど佳奈多ですね・・・
http://www.youtube.com/watch?v=6WLitXa4ikQ&t=5m41s ここの「ボクのハチミツぅ~♪」って言う発音で呼吸困難になるくらい笑ったwwwwwwwwwwwwwww
上手いから困るw
●棗鈴 鈴はツッコミとボケの匙加減が絶妙だったな
それと結構コミュ障だったりするw
他人に興味がない、っていうのもあったりするけど
打ち解けるまで時間は掛かるけど親しくなった友達とは積極的に話す
まさに俺だwww
おーさだはるゴリ押しはやられたww
佐々美に対しての台詞がかなり面白いw
バトルで無駄に気取ってるのが笑えるwwwww
この「あほだな」ってツッコミが一番好き
要所要所で使ってるんだけど使い所が素晴らしいw
ダイミョウザザミか何か?(MH厨)
こ↑こ↓
●西園美魚 真面目キャラかと思えばノリのいいボケキャラだったでござるwww
あと腐女子w
同人誌いっぱい持ってる
美魚といえばこの立ち絵
手の動きがヤバいwwwwwwwこの立ち絵でクソ笑ったwwwwwww
ガチムチ好きwwwwwwww
科学部部隊が来てからノリノリ過ぎてわろた
しかも科学兵器糞強いwwwww
美魚ルートの短歌をみんなで作る話は最高w
適当に人選したらえらいことになってしまったwwwwwwww
「最近夜がキツいなぁ~とお悩みのキミに」とか字余り過ぎて死ぬほどわろたwwwwwwwwwwwww
●能美クドリャフカ わふわふ犬みたいに言ってる子
バスターズの中では一番礼儀正しい
ストレルカとヴェルカっていう犬と戯れている
クドリャフカ・アナトリエヴナ・ストルガツカヤ
ストルガツカヤってなんかカッコよくね?w
●神北小毬おっとりした性格で誰に対しても臆することなく接する
成績も優秀で優等生
よく絵本を書いている
これはスピッツのチェリーを意識してるのか?w
そうだよ(便乗)
これはひどいwwwwwwwwwwwwwww
はるちんGJ!
■おまけ その他の面白かったシーン
ハイスタとか随分懐かしいw
それよりも全員ブリーフ被ってる図がやばいwww
ちょwwwww三重県ネタwwwwww
津とか軽く30分くらいで行ける距離なんだがwww
これはちょっと嬉しい
三重県ネタってところまではいい。せいぜい伊勢神宮とか赤福ネタだろ、と思ったがまさか津が来るとは思わなかったw
Go is eight
恭介のこの英語の発音がツボったwww
緑川自重www
擬声語が面白すぎるだろ恭介wwwwwwww
■筋肉END 待たせたな。リトバスはこのENDを迎えないと語れない(大嘘)
人にもよるが、俺はこのルートプレイしてる最中笑いが耐えなくて酸素の供給が間に合わなかったほどだ
ひたすら筋肉選択肢を選び、クドリャフカのルートをブッチすると
ファイナル筋肉ルートに入れるのだ
ファイナル筋肉っていうタイトル見ただけでもう爆笑したwwwwwwwww
次々と筋肉祭りに陥っていく
そして、最強の敵が立ち塞がる
は?(威圧)
我を貫き通しくだらん遊びには付き合わない。さすが佳奈多さんやでー!
理樹wwwwwwwwwwwww
理樹ちょっと黙ってろwwwwwwwwwwww
そして――――
落ちたな(勝利宣言)
GRAND END
■BGM、曲 VIDEO VIDEO VIDEO VIDEO VIDEO VIDEO op
VIDEO full
VIDEO 挿入歌
VIDEO ED
VIDEO VIDEO VIDEO VIDEO BGMも曲も麻枝准の曲が好き
やっぱりこの人はKeyというブランドには必要な人間だよ・・・ホント
作曲上手すぎる
Song for friendsは一度は聞いてみてほしい
最初の前奏でもう既にやばい、心に響く
リトバスの中の曲ではダントツで好き
素晴らしい曲だ
Instrumentalの方も捨てがたい
もちろん他の曲も良曲ばかり
あと忘れちゃいけないコレwww
VIDEO しゃららららら~ うーーーーあーーーーー えくすたしぃ~♪ えくすたしぃー↑えくすたしぃー↓ しゃーーーらーーーら えーくすたしぃーーーーー♪ 腹筋死んだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
エロシーンにこんなBGM流すなwwwwwww笑えてきてエロどころじゃねぇwwwwwwwwwwww
■総合 このリトルバスターズという作品は最終的な目標が、"事故からの生還"になってる
だからそれまでの事は『夢』として描かれている
夢というのを良いと判断するか悪いと判断するかで評価が分かれるんじゃないかと思う
俺はどちらかというと夢オチ的な展開は嫌なので、これが夢じゃなかったらもっと評価高かったと思う
でも完全に夢オチではなくて、ヒロイン達は理樹に"助けてもらったことを覚えている"という夢オチなので"無かった事ではない"
それでも朧げに覚えているだけだから夢であることには変わりないんだけどねw
とは言っても夢じゃないとこのゲーム自体成り立たないからどうしようもないけど
一つの作品として見るのではなく、各ルートを別々に捉えるならば素晴らしい出来
あまり好きじゃないのもあるけど全体的にクオリティは高い
音楽は文句なし、好みのキャラもいてキャラ面も問題無し
何気にKeyのゲームには俺がツボなキャラがほとんどの作品にいるんだよね(planetarianを除く)
Kanon→川澄舞 AIR→遠野美凪、霧島聖 CLANNAD→坂上智代、藤林杏 リトルバスターズ!→二木佳奈多 Rewrite→千里朱音 見事に俺が好きなキャラが揃ってるぜw
ついにリトバスクリア出来た・・・
マジこれ糞長いよw
エクスタシーだとなおさらそう感じるw
50時間以上は余裕でやってた気がする
俺の時間はやっと
4年前から動き出した んだな・・・w
なんであの時やめちゃったんだよクソックソッ!
まぁ2008年と言ったらFPSに夢中だったから仕方ないね
MISSION COMPLETE!!
■余談 ・実はクリアしたのは半月ほど前(5月15日、Diablo3発売日) ・この感想を書くにあたって4、5日用した ・もうこんな糞長い感想は二度と書かないと誓いたい ・むしろこの長さはWA2の時に発揮したかった(あっちも相当長いけど) S(神) Ever17 -the out of infinity- Steins;Gate この世の果てで恋を唄う少女YU-NO BALDR SKY Dive2 "RECORDARE" WHITE ALBUM2 -introductory chapter- WHITE ALBUM2 -closing chapter- A(優良) 車輪の国、向日葵の少女 G戦場の魔王 装甲悪鬼村正 11eyes -罪と罰と贖いの少女- 素晴らしき日々~不連続存在~ グリザイアの果実 キラ☆キラ euphoria BALDR SKY Dive1 "LostMemory" そして明日の世界より―― 真剣で私に恋しなさい! 最果てのイマ 英雄*戦姫 リトルバスターズ!エクスタシー←NEW B(良) CROSS†CHANNEL 車輪の国、悠久の少年少女 CHAOS;HEAD 俺たちに翼はない 3days -満ちてゆく刻の彼方で- Rewrite BALDR SKY DiveX "DREAM WORLD" 天使のいない12月 WHITE ALBUM 輝光翼戦記 銀の刻のコロナ C(普) 装甲悪鬼村正 邪念編D(微) fortissimo//Akkord:Bsusvier