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透子「あ!やなちゃん!雪くん!」
雪哉「・・・誰?お前の友達?」
やなぎ「いや知らない・・・」

透子「嘘でしょ。私達友達じゃん・・・」

雪哉「初対面だよな?」
やなぎ「うん。ごめんね」

透子「どうなってるんだろ・・・」 
透子「あっ!幸ちゃんだ!幸っちゃ―――」
幸「・・・」

透子「無視とか酷くない?みんな私の事知らないの・・・?」

透子「!?」
透子「駆くん!みんながね、私のこと知らないの・・・」
駆「は?誰だよオマエ」
透子「やめてくれよ・・・(絶望)」
透子「――という夢を見ていたんだ」
透子「なーんだ夢かぁ・・・そうだよね、みんなが私を知らないはずないもんね。ねー駆くん」駆「誰だよお前。勝手に人の家に上がってくるな。出てけ」
透子「やめてくれよ・・・(絶望)」

駆1「透子にちゃんと話しておくんだろ?」
駆「ああ」
駆2「まだ決められないのか?」
駆「ああ」
駆1「先延ばしにしてどうするんだ?時間が経てば経つほど言いにくくなるだけだぞ」
駆「ああ」
駆2「お前がモタモタしてるのなら俺達が言っておいてやるよ」

駆1「母さんが演奏旅行に付いて一緒に世界を回らないかって誘ってくれてるんだ」
透子「え?それって――」
駆1「そうなれば透子とはしばらく会えなくなる」

透子「そんなの嫌だよ。やっとお互いの気持ちが理解し合えたのに・・・」

駆1「俺も透子と離れ離れになるのは不本意だから断るつもりだ」
透子「駆くん・・・ありがとね」
駆2「母さん。演奏旅行には俺も行くよ」
美和子「あらホント?」
駆2「うん。母さんと一緒にいる時間は昔から少なかったからね。たまには母さんとのんびり過ごしたいんだ」
美和子「嬉しいこと言ってくれるわね。ガールフレンドのあのコはどうするの?一緒に連れてく?」
駆2「ガールフレンドでもなんでもないよ。ただの知り合いだから一緒に行きたいとは思わない」
美和子「そう。じゃあ二人で世界を回りましょうか」
駆1「母さん。折角の誘いで悪いけど旅行には一緒に行けない。透子がいるからね」
美和子「アンタこの前一緒に行くって言ったじゃないの!」
駆2「透子。俺は親子の絆は大事だと思っている。だからお前とはこれで縁を切る。世界を見てくるよ」

透子「そんな・・・行かないって言ってたのに・・・」 
透子&美和子「駆(くん)!どういうことなの!?」
駆「まさか俺の分身が別々の事を言ったのか!?」透子&美和子「分身?何のこと?」
駆「"俺は影分身の使い手"で『俺の他にも俺があと二人いる』んだ」透子&美和子「頭大丈夫?」

透子「ジョナサン・・・あなたもしかして『駆くん』?(哲学)」
駆=鶏(方程式成立)
駆「やぁ透子。やっと会えたね。鶏は良いものだ・・・」
透子「・・・」
透子「あなた達のご子息は鶏だったんですか?」
利尋「おう駆。お前も何か食べるか?今日は鶏らしく鶏の餌でいいか?」
駆「それでいいよ」
透子「ついに人間の矜持まで捨て去ってしまったの・・・?」」
駆「透子。君は根本的なところから勘違いしているよ」

透子「どういうこと?」
駆「沖倉駆なんて人間は最初からいなかったんだ。透子が近頃変な現象に遭遇するのも透子の心が沖倉駆が人間であって欲しいと心の奥底で願っているからだよ。俺は最初から鶏だったんだ」
透子「そっかぁ!(←知恵遅れ)」
透子「駆くんの正体は鶏だったんだって。この前教えてくれたんだ(嬉々)」 雪哉&やなぎ&祐&幸「人間の言葉が喋れる鶏なんているわけないだろ!!(論破)」

幸「二人を麒麟館に連れてきたのには理由があるの」
祐「幸っちゃんは既に気付いていると思うけど俺、幸ちゃんの事が好きだから」

幸「知ってる。それも含めて透子ちゃんと祐くんに打ち明けなければいけないと思ったの」

透子「うわぁ~、キレイな月」
幸「麒麟館の展望台から見える月は格別なんだよ」

祐「つーことは幸ちゃんは俺達に月を見せに来たの?」
幸「うん。そしてここで月が見れる事とある人物に出会った事が符合して私に勇気をくれた」
祐「ごめん。よくわかんない」
 
幸「ある日ね、私が思い悩んでいたところにモジャモジャのオジサンが来たの。その人は言ったわ、『己の運命に迷ったのなら――カードに頼ってみるのも一興かと』と。私は差し出されたカードを恐る恐る引いてみた。すると"THE MOON"と書かれたカードが逆位置になっていたの。意味は『迷いなく進む事』だって」
祐「それと今回の事とどう関係してるのさ」
幸「今から私の本心を透子ちゃんと祐くんに打ち明けます。私は紛うことなき"レズ"です」 
祐&透子「ファ!?」

幸「今までよくしてくれた祐くんには本当に申し訳ないけど私、男には興味ないの。レズハッピーな人間なの。透子ちゃんが好きで好きでたまらないの。気がつけばいつでも あなたのことばかり 女の子同士じゃ だめなのかな? 他の子と話すと ちょっと嫉妬するの でも止められないの ゆるしてよね」
祐「オウ、唐突に桜TrickのOP歌詞口ずさむのやめろや」
透子「幸ちゃんの事は好きだけど・・・恋人未満の好意だし。それに私は駆くんの事が・・・」
祐「ちょっと待ってよ!幸ちゃん!その変な奴に会ったことが今回の決断に繋がっているんだろ? 占いなんて信じるなよ。あんなもんただのハッタリだぞ。言われたことを真に受けるから当たっていると錯覚するんだ!」
幸「それは違うわ。だって私が会ったのは間違いなく偉人だもの。あんな有名な人の占いが外れるはずがないわ」祐「誰だよそいつ。名前を言ってくれ。幸ちゃんに変な事吹き込んだ罰として叩きのめしてやる」
幸「レオナルド・ダ・ヴィンチ」
祐「とっくの昔に死んでんじゃねーか!!そいつ偽者だよ!!」
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